【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における世界経済は、年度前半は、米国と中国の貿易摩擦を背景に、総じて減速感が強まることとなりました。米国では、雇用環境と個人消費が底堅く推移していましたが、輸出入の停滞から製造業を中心に景況感が悪化しました。中国においても、米国による関税引き上げや前年度までの投資抑制策の影響が残り、企業の生産や投資に勢いを欠く状況が続きました。欧州では英国がEUを離脱し、停滞する外需の影響により企業活動が弱含んだ状況の中、英国と他国との通商交渉の先行きに不透明感が生じています。我が国においては、昨秋襲来した台風による甚大な被害や、増税に伴う消費の停滞等から景気の減速感が強まることとなりました。本年1月には、世界経済の重石となっていた米中間の通商問題が「第一段階」の合意に至りましたが、換わって新型コロナウイルス感染症が拡大しています。世界的に物流と人の往来が遮断され、企業の生産活動が停止し、世界経済へのマイナス影響は2009年の金融危機を超える深刻な水準に至る可能性があります。 当社グループが関わる情報通信関連やエレクトロニクス関連市場においては、米国が中国の通信機器大手企業に対して輸出規制を行う等、米中間の貿易摩擦の影響が及ぶ中、複数の国で第5世代の移動通信システム「5G」に対応するスマートフォンがリリースされ、商用サービスが拡大することとなりました。我が国においても、昨年9月に開催された国際的なスポーツイベントで大手通信キャリアが5Gのプレサービスを行い、本格的な商用化に向けた準備が進みました。AIやIoT等のデジタル技術は、製造業では生産性を改善するツールとして、流通・小売業では無人店舗やセルフレジ、キャッシュレス決済等、省人化や消費者の利便性を高める手段として、実際のビジネスシーンに多く使用されるようになりました。また、自動車関連市場は、CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)に代表される大きな転換期を迎え、より安全で快適な移動を実現するための技術革新が進みましたが、中国経済の減速等により自動車の販売台数の伸びは世界的に鈍化することとなりました。 こうした中で当社グループは、2016年度から取り組み始めた6ヶ年の中期経営計画『マスタープラン2016』の後半3年間(第2フェーズ)をスタートさせ、引き続き「既存事業の収益力強化」、「事業ポートフォリオの最適化」、「経営基盤の強化」の各施策の遂行に取り組みました。 「既存事業の収益力強化」に向けては、各種の成形品や金型、精密金属加工部品等を主力製品とする精機事業、光通信用部品とその関連機器、レンズ、光伝送装置や光電界センサー等を主力製品とする光製品事業の両セグメントにおいて、販売力と価格競争力を強化すると共に、当社グループの技術資源である精密加工・精密成形・光学技術を応用し、市場や顧客のニーズに応える新製品、新技術の開発に取り組みました。 「事業ポートフォリオの最適化」に向けては、「成長期待事業」に位置付けている精密樹脂成形品やレンズを「成長牽引事業」へと進化させるべく、顧客やパートナー企業との連携強化に努めました。併せて、当社グループの持続的な成長を促す「次世代事業」を創出するため、「成長牽引事業」や「収益基盤事業」で獲得した資金を投資するM&Aや事業提携先の模索も行いました。「経営基盤の強化」に向けては、国際経営会議やグローバル品質ミーティング等、当社グループ会社間の垣根を越えたコミュニケ―ションの機会を通して、価値観の共有や事業課題の解決に向けて議論を行いました。本社においては、小集団活動を通してボトムアップによる改善活動を継続的に実施したほか、働き方改革「メリハリワーク」を推進し、より短い時間でより多くの収益を上げる強固な組織体質の確立に努めました。
こうした諸施策を実施した結果、当連結会計年度の売上高は15,729,674千円(前連結会計年度比1.5%増)、営業利益は1,614,147千円(前連結会計年度比0.3%減)、経常利益は1,688,833千円(前連結会計年度比3.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,152,840千円(前連結会計年度比6.5%減)となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
〔精機関連〕精機関連では、金属材料のプレス成形や、樹脂と金属を一体で成形するインサート成形等の技術を活用した精密成形品や、成形品を効率的に量産するための高品質な金型、高い寸法精度が要求される金属部品等をお客様にご提供しております。当連結会計年度は、自動車の燃料噴射圧やブレーキ圧、太陽光等を感知するセンサー用基幹部品や、燃料供給を電子制御するエンジンコントロールユニット用ケース等の車載用インサート成形品の売上を堅調に伸ばすことができました。2017年に北海道千歳市に開設した工場に導入した製造ラインは順次稼働を始めており、現在はさらなる増産体制を整えるため、スペースの拡張工事を行っています。一方、スマートフォンやモバイル端末のキーボード等に使用される金属プレス成形品は、販売価格の下落圧力に加え、新型コロナウイルスの感染拡大により一部の顧客の中国工場が稼働を停止したことで売上が減少することとなりました。開発面では、創業以来培ってきた精密金型技術や薄肉成形技術、樹脂成形品にミクロン単位の凹凸を施す微細転写技術を応用し、自動車や医療、バイオ等の産業領域において、お客様と共に新たな製品の量産化に向けた技術課題の解消に取り組みました。 これらの結果、当連結会計年度の精機関連の売上高は8,808,078千円(前連結会計年度比0.9%増)となりました。
〔光製品関連〕光製品関連では、快適なインターネット環境を支える光通信インフラに使用される光コネクタ等の部品や、これら光通信用部品の製造機器、検査・測定装置等を主力製品としています。光通信関連以外では、高精細なテレビ映像を安定的に中継するための光伝送装置や、スマートフォン等に搭載する超小型の樹脂レンズ等をお客様にご提供しております。現在、5Gの本格的な商用化に向けて世界規模で光通信網の増強が進んでいます。これにより基地局やデータセンターを繋ぐ光通信用部品の需要は世界規模で増加傾向にあります。しかしながら当連結会計年度は、米中間の通商問題を背景に、中国企業のデータセンター投資や、米国からの制裁対象となった中国通信機器大手企業を介したサプライチェーンが停滞することとなりました。併せて、新型コロナウイルスの感染拡大により当社グループの中国工場が稼働を停止した影響で日本国内顧客への一部の納品が延伸したこと等により、光通信用部品は売上が伸び悩むこととなりました。一方、超小型の樹脂レンズは、海外のスマートフォン数機種に採用され、売上が増加することとなりました。開発面では、5Gの基地局に設置するアンテナが発する高周波電波の強度を測定する光電界センサーの商品化に向けた試作に取り組みました。 これらの結果、当連結会計年度の光製品関連の売上高は6,921,596千円(前連結会計年度比2.2%増)となりました。
当連結会計年度は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、精機関連、光製品関連の両セグメントにおいて売上高が減少することとなりました。この影響は2021年3月期に及びますが、一過性のものであり、2021年3月期の後半からは解消に向かうと想定しております。当社グループは今後も、既存事業の収益力の強化に努める一方、将来に向けて永続的に企業価値を向上することができる強固な経営基盤を確立してまいりたいと考えております。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2019年4月1日至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
精機関連(千円)
9,059,168
102.8
光製品関連(千円)
6,915,658
98.2
合計(千円)
15,974,827
100.8
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.金額は販売価格によっております。3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
精機関連
8,913,153
98.7
1,130,288
110.2
光製品関連
6,632,605
93.3
726,359
71.5
合計
15,545,758
96.3
1,856,648
91.0
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2019年4月1日至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
精機関連(千円)
8,808,078
100.9
光製品関連(千円)
6,921,596
102.2
合計(千円)
15,729,674
101.5
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
株式会社デンソー
5,337,366
34.4
5,418,576
34.4
シチズン電子株式会社
1,640,947
10.6
―
―
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。4. 当連結会計年度のシチズン電子株式会社については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(2) 財政状態当連結会計年度末における総資産の残高は27,744,754千円となり、前連結会計年度末から58,680千円増加いたしました。当連結会計年度末における資産、負債の状況とそれらの要因は次のとおりであります。
〔流動資産〕当連結会計年度末における流動資産の残高は17,339,230千円となり、前連結会計年度末から204,917千円減少しました。その主な要因は、配当金や法人税等の支払い、固定資産や自己株式の取得等により現金及び預金が減少したこと等に因ります。
〔固定資産〕当連結会計年度末における固定資産の残高は10,405,523千円となり、前連結会計年度末から263,597千円増加しました。有形固定資産は7,995,952千円となり、前連結会計年度末から676,560千円増加しました。その主な要因は、今後の生産拡大に向けて新たな機械装置を増設し、工具器具備品を購入したこと等に因ります。また、無形固定資産は1,353,564千円となり、前連結会計年度末から405,884千円減少しました。その主な要因は、のれんの減価償却が進んだこと等に因ります。
〔流動負債〕当連結会計年度末における流動負債の残高は2,950,817千円となり、前連結会計年度末から427,932千円減少しました。その主な要因は、材料等の買掛金や未払法人税等が減少したこと等に因ります。
〔固定負債〕当連結会計年度末における固定負債の残高は1,265,853千円となり、前連結会計年度末から163,316千円増加しました。その主な要因は、退職給付に係る負債が増加したこと等に因ります。
〔純資産合計〕当連結会計年度末における純資産の残高は23,528,083千円となり、前連結会計年度末から323,296千円増加しました。その主な要因は、利益剰余金が増加したこと等に因ります。
(3) キャッシュ・フロー当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は3,550,376千円となり、前連結会計年度末から265,782千円減少いたしました。当該残高は、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みても、現在の事業活動を推進するうえで十分な水準を確保しているものと認識しております。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、当社グループの成長投資、手許資金、株主還元等の資金の配分のあり方が変わるものではありません。当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕営業活動の結果増加した資金は、2,225,752千円(前連結会計年度は2,393,920千円の増加)となりました。営業活動による資金増加の主な要因は、税金等調整前当期純利益1,691,240千円、減価償却費1,179,307千円、のれん償却額304,657千円、売上債権の減少額118,728千円等であります。資金減少の主な要因は、法人税等の支払額752,993千円、棚卸資産の増加額195,319千円、仕入債務の減少額106,444千円等であります。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕投資活動の結果減少した資金は、1,752,988千円(前連結会計年度末は1,526,805千円の減少)となりました。投資活動による資金減少の主な要因は、建物や建物付属設備、機械装置等、有形固定資産の取得による支出1,697,646千円、定期預金の預入と払戻しとの差額59,271千円等であります。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕財務活動の結果減少した資金は、685,909千円(前連結会計年度末は254,227千円の減少)となりました。財務活動による資金減少の主な要因は、自己株式の取得による支出424,256千円、配当金の支払額279,165千円等であります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成され ております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しております。また、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響については、自動車の世界販売台数や企業の設備投資の動向を鑑みる必要があります。これらの影響を定量的に測定することは困難ではありますが、証券会社が発行している関連市場の動向に関するレポートや新聞紙に掲載される記事等の客観的な情報を総合的に勘案し、新型コロナウイルス感染症は、2021年3月期の後半から徐々に収束に向かうと仮定しております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループの主要な資金需要は、製品製造に使用する原材料や部品の調達等の製造原価と、販売費及び一般管理費の他、既存製品の増産や新規製品の開発に向けた新しい機械装置の購入や既存の機械装置の改修等に使用しております。また、今後に向けては、当社グループの企業価値向上につなげるためのM&Aにも資金を積極的に投入していく考えです。現時点におきましては、これらの資金については、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金を充当していく予定であります。
