【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループの当連結会計年度の売上高は、17,334,289千円(前連結会計年度比10.7%増)となりました。
販売費及び一般管理費につきましては対面活動の正常化に伴う諸経費と採用費の増加により、5,138,843千円(前連結会計年度比14.5%増)となりました。
売上高の増加により、売上総利益は1,128,174千円増の8,374,265千円(前連結会計年度比15.6%増)、営業利益は475,610千円増の3,235,421千円(前連結会計年度比17.2%増)、経常利益は500,054千円増の3,265,047千円(前連結会計年度比18.1%増)となりました。
法人税等合計は、1,058,944千円(前連結会計年度比2.8%減)となりました。
税金等調整前当期純利益は3,263,043千円(前連結会計年度比18.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、2,204,098千円(前連結会計年度比32.4%増)となりました。なお、投資活動によるその他の包括利益は312,149千円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
(コンサルティング事業)
コンサルティング事業の当連結会計年度の業績は、売上高17,259,287千円(前連結会計年度比11.6%増)、セグメント利益5,032,397千円(前連結会計年度比14.9%増)となりました。産業別では金融、商社、運輸、通信、流通、製造を中心とした顧客へのデジタル・トランスフォーメーション戦略策定、新規事業やサービス開発、組織と人財の活性化など企業のトランスフォーメーションを支援するプロジェクトが事業を牽引しました。
人財採用につきましては、当連結会計年度において経験者56名、新卒36名が入社しました。新卒社員は10月から稼働を開始しております。2023年3月末時点のコンサルタント数は511名となっております。プロジェクト満足度は93ポイントと高い水準を維持しております。
なお、当社連結子会社の株式会社SXAの全株式をMBOの方式により譲渡いたしました。同社の業績はこれまでコンサルティング事業業績に包含して報告しておりましたが、今回のMBOに伴い、2023年3月期第4四半期以降は当社の連結対象から除外されております。
(投資事業)
新規投資等の活動を本格化した投資事業においては、2022年5月に、国内間伐材を利用した地産地消型木質バイオマス発電等の再生可能エネルギー事業を展開しているフォレストエナジー株式会社に約2億円を出資しました。さらに12月には、ドライバー専門求人サイトを運営する株式会社ドラEVERに約1億円を出資しました。また、10月から11月にかけて、企業向けに社員の健康管理サービスを提供している株式会社メンタルヘルステクノロジーズの株式を約1.5億円で取得しました。
2022年9月に投資先の株式会社eWeLLと株式会社プログリット、2023年3月に株式会社モンスターラボホールディングスが東京証券取引所グロース市場に上場しております。2023年3月にウェルネス・コミュニケーションズ株式会社の株式を全て売却しております。以上の結果、2023年3月末時点の累計投資残高は評価差額を含め約22億円となりました。
投資事業の当連結会計年度の業績は、売上高167,368千円(前連結会計年度比49.9%減)、セグメント損失130,778千円(前連結会計年度はセグメント利益45,359千円)となりました。
当連結会計年度の財政状態は以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ195,289千円減少し、14,461,633千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ771,023千円減少し、3,583,345千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ575,733千円増加し、10,878,288千円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、7,093,890千円(前連結会計年度比627,637千円減)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は2,085,443千円(前連結会計年度は2,506,041千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益3,263,043千円、売上債権の増減額248,668千円、未払金の増減額291,979千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は4,684千円(前連結会計年度は546,247千円の使用)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出140,000千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により使用した資金は2,696,554千円(前連結会計年度は474,165千円の収入)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出2,099,243千円によるものであります。
当社グループの資金につきましては原則として自己資本を中心に調達しております。また、当社取締役会は資本収益性としてROEを経営の重要指標と認識しており、営業活動を通じて獲得した資金から将来の収益獲得のための投資を行い利益成長を達成すると共に、配当及び自己株式取得による積極的株主還元を行っております。
③生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
ロ.受注実績
当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。
サービスの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
コンサルティング事業
17,787,849
113.8
3,893,132
118.1
投資事業
146,372
51.6
15,000
-
合計
17,934,221
112.7
3,908,132
118.6
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.投資事業の前年同期の受注残高が無かったため、前年同期比は記載しておりません。
ハ.販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
サービスの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
コンサルティング事業
17,259,287
111.6
投資事業
167,368
50.1
合計
17,426,655
110.3
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しておりません。
2.最近2連結会計年度において、総販売実績の10%を超える相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況による分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績等
ⅰ)財政状態
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は12,013,748千円(前連結会計年度比133,684千円減)となりました。主な内訳は、現金及び預金7,093,890千円、受取手形、売掛金及び契約資産2,263,554千円であります。また、固定資産は2,447,884千円(前連結会計年度比61,604千円減)となりました。主な内訳は、投資有価証券797,759千円、ソフトウエア400,943千円であります。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債は1,978,330千円(前連結会計年度比786,202千円減)となりました。主な内訳は、未払金842,657千円、未払法人税等339,489千円であります。また、固定負債は1,605,014千円(前連結会計年度比15,179千円増)となりました。主な内訳は、役員株式給付引当金1,106,107千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は10,878,288千円(前連結会計年度比575,733千円増)となりました。主な内訳は、資本剰余金4,768,396千円、利益剰余金6,762,154千円、自己株式3,972,854千円であります。
ⅱ)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は17,334,289千円(前連結会計年度比10.7%増)となりました。これは主に、継続的なコンサルティングサービス案件の受注によるものであります。
(売上原価)
当連結会計年度の売上原価は8,960,023千円(前連結会計年度比6.6%増)となりました。これは主に、コンサルタントの人件費及び外注費によるものであります。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は5,138,843千円(前連結会計年度比14.5%増)となりました。これは主に、役員報酬及び管理部門の人件費によるものであります。
(営業外損益)
当連結会計年度の営業外収益は65,431千円(前連結会計年度比96.5%増)となりました。これは主に、講演料等収入によるものであります。当連結会計年度の営業外費用は35,805千円(前連結会計年度比27.3%増)となりました。これは主に為替差損及び控除対象外消費税等によるものであります。
これらの結果を受け、当連結会計年度の営業利益3,235,421千円(前連結会計年度比17.2%増)、経常利益3,265,047千円(前連結会計年度比18.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,204,098千円(前連結会計年度比32.4%増)となりました。
ロ.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
わが国の経済は一部に弱さがみられるものの緩やかに持ち直しています。先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあり景気が持ち直していくことが期待されます。但し、世界的に金融引締めが続く中で海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分な注意が必要です。
このような環境の中、当社グループは、「コンサルティング」と「投資」を事業の軸とし、グループ各社のシナジーにより、幅広い産業・企業の価値創造、社会課題を解決する新たな市場の創出を行っております。コンサルティング事業においては、企業のトランスフォーメーションを推進するための『3つの変革(マネジメント・トランスフォーメーション、デジタル・トランスフォーメーション、サービス・トランスフォーメーション)』の実現に向けたサービス提供を目指し、事業戦略立案、業務変革、組織変革、デジタルテクノロジーやクラウドソリューションの活用、プロジェクトマネジメント、新規事業開発、企業間連携の推進等の価値創造に取り組んでいます。投資事業においては、複数の産業を横断したリジェネラティブ&ウェルビーイング領域を中心に投資活動を推進しております。「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、景気変動、新しい技術の活用、投資、情報管理、コンプライアンスと内部管理体制、人財採用及び流出、システム障害等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは、社内管理体制の整備、法令及びコンプライアンス遵守の浸透、優秀な人財の採用と育成、システム基盤の増強等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存であります。
ハ.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(コンサルティング事業)
企業のトランスフォーメーションを支援するプロジェクトが事業を牽引し、セグメント売上高は17,259,287千円、セグメント利益率は29.2%となりました。産業別では金融、商社、運輸、通信、流通、製造を中心にコンサルティングサービスに対する需要は非常に強く、目標を超える稼働率となり営業利益が増加しました。
経験者採用が順調に進捗し、KPI(重要業績指標)であるコンサルタント数は前年より増加しました。
(投資事業)
投資領域をリジェネラティブ&ウェルビーイングと位置づけ、同領域にフォーカスした直接投資を行っております。当連結会計年度に新たに3件、約4.6億円の投資を行いました。セグメント売上は、主にウェルネス・コミュニケーションズ株式会社株式売却益や投資先支援等により、167,368千円、セグメント損失は130,778千円となりました。
ニ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
客観的な指標については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりです。
連結の売上高経常利益率は18.8%(前連結会計年度比1.2ポイント増加)と過去最高水準となりました。これは主に、旺盛な顧客の需要に対応しコンサルティング事業の稼働率が上昇したことが要因です。
コンサルティング事業においては、コンサルタント数は511名(前連結会計年度末478名)に増加しました。積極的な採用活動の結果、経験者56名が入社したこと等が主な要因です。また、クライアントが評価するプロジェクト満足度も93(前連結会計年度末94)と高い水準を維持しており、高い品質のコンサルティングサービスの提供による継続案件の獲得も期待されます。
投資事業の2023年3月末時点の投資残高は約22億円となります。
引き続きこれらの指標について、戦略に基づき適正な水準となるよう取り組んでまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
各キャッシュ・フローの状況とそれらの分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、合理的な基準に基づいて実施しております。当連結会計年度末においては今後の一定期間の課税所得の発生を前提として回収可能性を判断しております。
当社グループの財政状態又は経営成績に重大な影響を与え得る会計上の見積りが必要となる項目は以下のとおりです。
イ.有価証券の評価
事業投資又は資金運用を目的として有価証券を保有しており、四半期毎に評価を行っております。これらの有価証券の評価は発行体の経営状況により影響を受けます。
ロ.有形固定資産、無形固定資産の評価
有形固定資産、無形固定資産は耐用年数に応じて減価償却を行っております。
また、有形固定資産、無形固定資産は少なくとも1年に1回は減損の判定を行っており、減損が生じた場合には減損損失を認識します。当連結会計年度末の計上額には問題はないと判断しておりますが、デジタルテクノロジーの進展が著しい状況において、特にソフトウエアに関して突然の機能的減価が生じるリスクがあります。
オフィスの原状回復費用及び利用期間を見積り、費用計上を行っております。オフィスの原状回復費用は不動産オーナーの見積り額、利用期間については不動産賃貸借契約における残存期間と仮定しております。したがって、工事費用の変動により原状回復費用が変動する可能性や、予定利用期間の変更(オフィス賃貸借契約の延長など)により費用計上額が変動(オフィス賃貸借契約を延長する場合は延長した期間に応じて計上)する可能性があります。
ハ.繰延税金資産の評価
繰延税金資産は、税務上の一時差異のうち回収可能性が認められるものを計上しております。連結会計年度末においては今後の一定期間の課税所得の発生を前提として回収可能性を判断しております。今後、十分な課税所得の発生が見込めなくなった場合には、繰延税金資産の取り崩しが必要となるおそれがあります。
ニ.株式給付引当金
取締役、執行役員及び従業員に対して当社株式による報酬があり、その給付義務に対して株式給付引当金を計上しております。取締役、従業員に対しては信託を用いた方式での株式給付を行っており、追加信託を行うことにより信託内の株式の単価が変動することによって、引当金額が変動します。また、受給対象者が受給条件を満たさない可能性は低いことから受給者が受給条件を満たす前提で引当額を計上しておりますが、受給者が受給条件を満たさない場合は、当該株式給付は発生しない可能性があります。
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