【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による社会・経済活動の制約が緩和し、正常化に向けた動きが進んだものの、依然として見通しが不透明な状況となりました。企業収益においては資源価格の上昇や円安により二極化が進み、個人消費においては物価高による家計負担が増加し、実質賃金の低下が進行しました。世界経済においても、ウクライナ情勢や米中貿易摩擦が長期化し、世界的に進行するインフレを受け各国で利上げが相次ぐ等、金融資本市場の動向も予断を許さず、我が国の景気低迷につながるリスクを注視しなければならない厳しい状況が続きました。
当社グループが属する住宅業界におきましては、各種住宅取得支援政策やテレワークの普及、住宅ローン金利が低い状態で推移したこと等により、消費者の住宅需要は底堅い動きが見られたものの、消費者の購買力を超えて住宅価格が高止まりし、住宅需要への影響が懸念される環境が強まりました。全国の新設住宅着工戸数においては、分譲住宅が前年比プラスとなったものの、持家については前年同月比でマイナスが続き、厳しい環境となりました。当社グループの主な顧客層である持家(主に注文住宅)の建設を行う工務店・ビルダー等の住宅事業者にとっては、原材料費の上昇に対して価格転嫁が追い着かず、資金繰りが厳しくなる等のケースが増加しました。
このような事業環境のもと、当社グループは創業当時から掲げております「住宅事業者の経営を支援するために住宅産業の課題を解決する」という基本方針及び「MSJグループ中期経営計画2025年3月期」に基づき、グループ一体となり差別化を訴求する営業活動や、住宅事業者のサポート業務、住宅事業者の多角化経営を支援するための中古住宅向け戦略商品の開発検討等に注力し、各事業を推進いたしました。
この結果、当第3四半期連結累計期間における財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
① 財政状態
当第3四半期連結会計期間末の資産は、前連結会計年度末と比較して985,159千円減少し、21,516,101千円となりました。主な要因は、営業貸付金が1,201,351千円増加した一方で、現金及び預金が812,283千円、営業未収入金が1,477,820千円減少したことによるものです。
当第3四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末と比較して1,596,682千円減少し、14,076,412千円となりました。主な要因は、前受金が104,801千円、営業預り金が93,540千円増加した一方で、買掛金が166,389千円、短期借入金が1,046,990千円、未払法人税等が299,999千円減少したことによるものです。
当第3四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末と比較して611,523千円増加し、7,439,688千円となりました。主な要因は、利益剰余金が616,007千円増加したことによるものです。
② 経営成績
当第3四半期連結累計期間の経営成績は、営業収益5,491,610千円(前年同期比4.7%減)、営業利益1,244,829千円(同11.0%減)、経常利益1,245,002千円(同11.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益910,050千円(同5.4%減)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりです。
A.住宅金融事業
住宅金融事業におきましては、事業の継続的成長に向け、幅広い商品ラインナップやコンサルティング力等の強みを活かし、住宅事業者への経営支援やサポートを推進いたしました。営業拠点に関しましては、当第3四半期連結累計期間において新規に6店舗を開設いたしました。
全国の住宅ローン市場においては、独立行政法人住宅金融支援機構と民間金融機関との提携商品「フラット35」の市場が縮小いたしましたが、当社においてはコンサルティング等の付加価値向上や商品力等の差別化を推進、従前より進めてまいりました商品の多角化も進展し、当第3四半期連結累計期間における融資実行件数(銀行代理ローン商品及び提携ローン商品を除く)は前年同期比で13.7%の減少にとどまりました。また、住宅ローン業界において手数料の価格競争が激化しているなかで当社は融資手数料率を維持し、コストに関しては販売費及び一般管理費を圧縮する等、収益性の向上に努めました。
この結果、当第3四半期連結累計期間における営業収益は2,491,724千円(前年同期比2.8%減)、営業利益は833,411千円(同0.5%増)となりました。
B.住宅瑕疵保険等事業
住宅瑕疵保険等事業におきましては、主力商品である戸建住宅及び共同住宅の「新築住宅かし保険」の販売を推進するため、従前より注力しております住宅事業クラウドシステム「助っ人クラウド」及び「地盤保証」の同時提案による差別化を前面に打ち出した積極的な営業活動を展開・継続し、複数商品のクロス販売を推進いたしました。
住宅業界においては、原油価格・物価高騰に対する国の時限的な経済政策として「こどもみらい住宅支援事業」が前連結会計年度末に開始されましたが、当社グループの主力市場である「持家」の新設住宅着工戸数は前年同月比でマイナスが続き厳しい状況となりました。当第3四半期連結累計期間における保険証券・保証書・評価書・適合証等の発行件数(時限的な経済政策に対応するものは除く)は、利益貢献が大きい一部のサービスが市況の影響を受け減少したものの、こどもみらい住宅支援事業に関連して住宅の省エネ性能に関する各種サービスが増加したことにより、前年同期比で2.4%減少となりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間における営業収益は2,571,714千円(前年同期比8.0%減)、営業利益は376,046千円(同25.3%減)となりました。
C.住宅アカデメイア事業
住宅アカデメイア事業におきましては、住宅事業クラウドシステム「助っ人クラウド」及びこれに連動する「住宅メンテナンス保証」「住宅設備延長修理保証」等の住宅保証サービスの提供を推進し、グループ戦略として助っ人クラウドの追加機能開発に注力いたしました。
当第3四半期連結累計期間における住宅保証サービス件数は、注文住宅の建設を行う住宅事業者において取引社数・件数ともに増加し前年同期比で13.2%増加いたしましたが、利益貢献の大きい分譲住宅向けの住宅保証サービス件数は減少いたしました。コストに関しては、住宅事業者への支援の一環として全国3か所で運営している宿泊型住宅展示場の運営体制の再構築を進めたこと及び助っ人クラウドの追加機能開発のための改修費用・保守費用を一般管理費として計上したこと等から、営業原価、販売費及び一般管理費が増加いたしました。
この結果、当第3四半期連結累計期間における営業収益は428,171千円(前年同期比5.1%増)、営業利益は34,741千円(同46.9%減)となりました。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更、及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間において、特記すべき事項はありません。
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