【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間の世界経済は、社会活動がウィズコロナの新たな段階へ移行したことで持ち直しつつある一方、世界的なインフレや金利上昇から景気下振れリスクが高まりました。また、中国のゼロコロナ政策に伴う行動制限が段階的に緩和されたものの、長期化するウクライナ情勢の影響等によるサプライチェーンの混乱が経済活動の阻害要因となっています。
我が国では経済活動の平常化が進み、景気は緩やかに持ち直しましたが、資源エネルギーをはじめとした物価上昇、円安の急伸により先行きの不透明感が増しています。
このような経済状況の中、当社グループは北米事業において旺盛な需要に対応するための商品供給体制を堅持したこと等が奏功したことに加え、円安の影響により増収となりましたが、損益面は価格転嫁を上回るインフレの加速により減益となりました。
この結果、当社グループの連結売上高は、537億50百万円(前年同期比22.1%増)、営業利益は33億37百万円(前年同期比5.5%減)、経常利益は36億80百万円(前年同期比6.0%減)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は、26億75百万円(前年同期比17.1%減)となりました。この減少要因は前年同期に特別利益として債務免除益(5億8百万円)を計上したことによるものです。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
◆アジア事業
[産業資材事業]
中国の上海市をはじめとしたロックダウンが解除され、サプライチェーンが回復したことにより日本において建機・農機メーカーの生産活動が段階的に引き上げられたことから、尿素水識別センサー及び尿素SCR用モジュール・タンク等の販売が増加しました。一方でウクライナ情勢や半導体不足による影響から欧州自動車メーカーの生産台数が減少したことにより、自動車向け尿素水識別センサーの供給は限定的となりました。これらの結果、売上高は134億86百万円(前年同期比0.3%増)となり、営業利益は原材料費、物流費に加え、円安による海外調達品コストの増加等から18億30百万円(前年同期比13.4%減)となりました。
[スポーツ・建設資材事業]
民間設備投資が持ち直していることから、国内商業施設向け「スーパー・マテリアルズ」(大判セラミックタイル)の販売が増加したことに加え、鉄道施設の安全対策強化を目的とした設備投資も底堅く推移しており、「ECOセンタン」(ノンスリップタイル)の販売が好調に推移しました。また、運動場、体育館等の文教施設における改修、新設物件の需要も堅調なことから、「モンドターフ」(ロングパイル人工芝)及び体育館用床材「タラフレックス」(弾性スポーツシート)の販売が増加しました。これらの結果、売上高は80億18百万円(前年同期比18.3%増)となりました。しかしながら損益面では、工事材料費や人件費の相次ぐ上昇により、営業利益は4億14百万円(前年同期比1.0%増)に留まりました。
[その他事業]
イタリア製スポーツアパレル「MONTURA」は、テレビコマーシャルやSNSをはじめとした広告宣伝活動を強化する等、ブランドの認知度向上に努めた結果、オンライン、直営店、量販店の販売が総じて増加しました。また、ダストコントロール事業は、レンタル向けダストコントロール用マットの需要が持ち直したことで販売が増加しました。これらの結果、売上高は5億26百万円(前年同期比16.3%増)となりました。一方、損益面では広告宣伝活動を含むマーケティング費用の負担により、営業損失1億10百万円(前年同期の営業損失74百万円)となりました。
以上のことから、アジア事業全体では、売上高は220億31百万円(前年同期比6.6%増)となり、営業利益は21億33百万円(前年同期比12.9%減)となりました。
◆北米事業
幅広い用途に各種産業用ホース・継手の販売が増加しました。外食産業向け「飲料用ホース」や住宅外壁塗装用の「ペイントスプレーホース」の需要は高水準を維持しており、灌漑を含む農業分野向け「レイフラットホース」等も季節需要のピークは過ぎたものの、底堅く推移していることから前年を上回る販売を維持しました。これらの結果、現地通貨ベースでの売上高が増加したことに加え、円安の影響により、売上高は281億5百万円(前年同期比37.9%増)となりました。一方、損益面では依然として物流費の上昇圧力が強く、インフレの加速が価格転嫁を上回ったことから、営業利益は16億94百万円(前年同期比7.1%増)に留まりました。
◆欧州・南米事業
スペインとアルゼンチンに拠点を置く製造販売子会社では、北米事業の販売ネットワークを活用した消防機関向け「消防用ホース・ノズル」の米国向け輸出が増加しました。また、灌漑を含む農業分野向け「レイフラットホース」の販売は欧州諸国で堅調に推移し、アルゼンチンのオイルガス市場向け「大口径レイフラットホース」の需要も増加したことから、売上高は36億13百万円(前年同期比21.1%増)となりました。損益面では、欧州におけるエネルギー価格が高止まりしていることに加え、アルゼンチンの超インフレ会計適用がマイナス要因となるものの、適切な需要の取り込みと価格転嫁により売上高が増加したことで、営業利益は2億92百万円(前年同期比32.9%増)となりました。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて22.1%増加し、637億62百万円となりました。これは、主に受取手形、売掛金及び契約資産が5億62百万円増加した他、商品及び製品が51億10百万円増加したことによるものです。
負債合計は、前連結会計年度末と比べて18.5%増加し、283億41百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が2億9百万円増加した他、短期借入金が40億84百万円増加したことによるものです。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて25.1%増加し、354億21百万円となりました。これは、利益剰余金が24億47百万円増加した他、為替換算調整勘定が46億40百万円増加したことによるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より12億16百万円増加し、84億36百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な理由は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、14億17百万円の減少(前年同期は37億47百万円の増加)となりました。これは主に税金等調整前四半期純利益36億55百万円や棚卸資産の増加額48億84百万円が要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、7億38百万円の減少(前年同期は9億76百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出6億68百万円等が要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、23億54百万円の増加(前年同期は20億36百万円の減少)となりました。これは主に短期借入金の増加額36億21百万円、長期借入金の返済による支出19億97百万円等が要因であります。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第3四半期連結累計期間において、前連結会計年度の有価証券報告書の「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、重要な変更はありません。
なお、新型コロナウイルス感染症による影響についての仮定は、前連結会計年度の有価証券報告書の「第4 経理の状況 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(5)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は2億94百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。