【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減額
増減率 (%)
売上高
19,148
20,145
997
5.2
営業利益
222
95
△127
△57.1
経常利益
205
395
190
92.7
親会社株主に帰属する当期純利益
434
425
△9
△2.1
レジャーセグメントは、コロナ禍の影響が弱まり遊園地の利用客が戻る等好転しましたが、製造業向けセグメントは、建設資材の長納期化や高騰及び中国のゼロコロナ政策等、建設業向けセグメントは、電子部品・部材の長納期化や値上げ等が業績に大きな影響を与えています。その結果、連結の売上高は前年同期比増収でしたが、営業利益は減益となりました。経常利益は、政策投資株式の配当が予想を大きく上回ったこと等から増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、下記の特別利益及び特別損失を計上した結果、前度同期比微減に留まりました。
(特別利益)・政策投資株式の一部売却による投資有価証券売却益 458百万円(特別損失)・ハピネスデンキ㈱におけるのれんの一部減損損失 291百万円・サノヤス・エンジニアリング㈱におけるショットブラスト事業 にかかる固定資産の一部減損損失 98百万円
政策投資株式の一部売却は、コーポレートガバナンス・コードに基づく政策保有株式の見直し、保有資産の効率化及び財務体質の強化を図るものです。減損損失は、コロナ禍等による部材の長納期化が解消しない中、今後の業績計画を見直ししたことによるものです。
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減額
増減率 (%)
受注高
18,061
19,691
1,629
9.0
受注残高
9,721
13,202
3,481
35.8
先行きの設備投資のニーズを着実に捉え、受注残高を大きく積み上げましたが、当連結会計年度売上の受注に苦戦したことから、受注高は受注残高ほど増加しませんでした。
セグメント区分
製造業向けセグメント
建設業向けセグメント
レジャーセグメント
サノヤス・エンジニアリング㈱
機械式駐車装置の製造及びメンテナンス
〇
ショットブラストマシンの製造及びメンテナンス
〇
建設工事用エレベーターの製造及びレンタル
〇
サノヤス精密工業㈱
各種産業機械部品の製造及び組立
〇
農機及び特装自動車用部品の製造及び組立
〇
製造業向けセグメント
建設業向けセグメント
レジャーセグメント
みづほ工業㈱、美之賀機械(無錫)有限公司
乳化・攪拌装置の製造
〇
純水設備・排水処理設備及び膜分離装置の設計及び施工
〇
大型食品タンク等各種タンクの設計及び施工
〇
サノヤス・エンテック㈱
空調・給排水・衛生設備の設計及び施工
〇
環境装置の製造及びメンテナンス
〇
医療廃棄物処理装置の製造及びメンテナンス
〇
ハピネスデンキ㈱
大規模施設向け動力制御盤・分電盤・配電盤等の製造及び電気工事
〇
松栄電機㈱、松栄電気システムコントロール㈱
通信インフラ向け配電盤・分電盤等の製造
〇
サノヤス・ライド㈱、サノヤス・ライドサービス㈱
遊園地遊戯機械設備の製造及びメンテナンス
〇
遊園地施設の運営管理の受託
〇
第1四半期より、「産業向け」を「製造業向け」に名称変更しました。 松栄電機㈱及び松栄電気システムコントロール㈱は、2022年8月よりグループ入りしています。
(製造業向けセグメント)(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減額
増減率 (%)
売上高
9,416
8,704
△712
△7.6
営業利益
856
574
△281
△32.9
受注高
9,708
8,844
△863
△8.9
受注残高
4,212
5,272
1,060
25.2
乳化・撹拌装置の製造は、主力の化粧品業界において設備投資の動きが出ているものの、建設資材の長納期化や高騰の影響を受けたことから売上は前期並みとなりましたが、中国現地法人の美之賀機械(無錫)有限公司においては、大型の設備投資案件がなかったことに加え、ゼロコロナ政策の影響を受けたことから減収となりました。また、農機及び特殊自動車用部品の製造が海外生産停滞の影響を受けた他、各種産業機械部品の製造において半導体関連の売上が減少に転じたため、製造業向けセグメントは減収となりました。営業利益は、個別採算の改善に努め一定の黒字を維持しました。受注高は、同様の理由から当連結会計年度の受注に苦戦し前年同期比減少しましたが、先行きの設備投資のニーズを捉え受注残高は前年同期比増加しました。
(建設業向けセグメント)(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減額
増減率 (%)
売上高
7,192
7,520
327
4.6
営業利益
288
92
△195
△68.0
受注高
6,477
9,566
3,088
47.7
受注残高
4,333
7,484
3,150
72.7
2021年秋以降、当社製品に使用する電子部品・部材の調達の長納期化や価格の上昇が継続しています。特に、高層ビル用の配電盤を主体とする動力制御盤・分電盤・配電盤等の製造において、インバーター等の電子部品の不足から出荷遅延が発生している他、機械式駐車場装置の製造・修繕において工事の遅延が発生しています。一方、建設工事用エレベーターの製造・レンタルや空調・給排水・衛生設備装置は堅調を維持しました。その結果、売上高は前年同期比若干の増収となりましたが、営業利益は特に配電盤製造工場の稼働率が低下したことを主因に減益となりました。
受注については、電気機械器具製造及び電気工事、空調衛生給排水設備の施工等順調に積み上がり、受注高、受注残高ともに大きく伸長しました。
(レジャーセグメント)(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減額
増減率 (%)
売上高
2,539
3,921
1,381
54.4
営業利益
342
849
506
147.8
受注高
1,875
1,280
△595
△31.7
受注残高
1,176
445
△730
△62.1
前連結会計年度は、2021年4月から9月にかけてコロナ禍における緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による遊園地営業の休止・自粛要請や、水際対策によるインバウンド客の消失等の影響を大きく受けました。当連結会計年度は、オミクロン株第7波・第8波による感染者数の高止まりが見られたものの、行動制限の緩和が段階的に行われ、国内利用客が戻り遊園地運営の売上が増加しました。また、客足の戻った遊園地からの機械投資や部品・修理ニーズを捕捉し、大幅増収・増益となりました。受注については、遊戯機械販売・メンテの受注を着実に積み上げましたが、当連結会計年度は大口受注がなかったことから前年同期比減少しました。
(資産)当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べて298百万円増加し、11,807百万円となりました。これは主に、現金及び預金が2,046百万円、受取手形が523百万円それぞれ減少したものの、売掛金が1,121百万円、仕掛品が627百万円、その他流動資産が520百万円、電子記録債権が429百万円それぞれ増加したこと等によるものです。当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べて24百万円減少し、13,895百万円となりました。これは主に、有形固定資産が498百万円増加したものの、投資有価証券が531百万円減少したこと等によるものです。
(負債)当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べて1,821百万円増加し、10,395百万円となりました。これは主に、資産除去債務が273百万円、1年内返済予定の長期借入金が210百万円それぞれ減少したものの、短期借入金が1,300百万円、支払手形及び買掛金が555百万円、契約負債が548百万円それぞれ増加したこと等によるものです。当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べて1,687百万円減少し、7,296百万円となりました。これは主に、長期借入金が1,217百万円、リース債務が208百万円、繰延税金負債が148百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
(純資産)当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて139百万円増加し、8,010百万円となりました。これは主に、利益剰余金が260百万円増加したこと等によるものです。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,046百万円減少し、1,329百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ818百万円支出が増加し、534百万円の資金の減少となりました。主な収入は減価償却費682百万円、契約負債の増加554百万円、税金等調整前当期純利益466百万円、減損損失394百万円、仕入債務の増加386百万円であり、一方、主な支出は、棚卸資産の増加1,010百万円、法人税等の支払額810百万円、売上債権の増加769百万円、投資有価証券売却益458百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ256百万円支出が減少し、933百万円の資金の減少となりました。主な支出は、有形固定資産の取得による支出1,032百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ607百万円支出が増加し、597百万円の資金の減少となりました。主な収入は短期借入金の純増減額1,300百万円、長期借入れによる収入1,200百万円であり、一方、主な支出は、長期借入金の返済による支出2,627百万円、リース債務の返済による支出304百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(百万円)
前年同期比(%)
製造業向け
6,662
3.9
建設業向け
5,536
10.9
レジャー
1,639
162.2
合計
13,838
15.0
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去していません。2 金額は期間中に発生した製造原価で示しています。
b.受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高
受注残高
金額(百万円)
前年同期比(%)
金額(百万円)
前年同期比(%)
製造業向け
8,844
△8.9
5,272
25.2
建設業向け
9,566
47.7
7,484
72.7
レジャー
1,280
△31.7
445
△62.1
合計
19,691
9.0
13,202
35.8
(注) レジャー事業の遊園地運営は受注高及び受注残高に含めていません。
c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
製造業向け
8,704
△7.6
建設業向け
7,520
4.6
レジャー
3,921
54.4
合計
20,145
5.2
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は前期比997百万円(5.2%)増加の20,145百万円となり、営業利益は前期比127百万円(57.1%)減少の95百万円、経常利益は前期比190百万円(92.7%)増加の395百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比9百万円(2.1%)減少の425百万円となりました。造船事業を譲渡した結果、当社グループの事業は主として国内マーケットの影響を受けることになりました。国内景気は新型コロナウイルス感染症の影響から持ち直しつつありますが、部品・部材の供給の長期化や原材料価格の上昇が当社の業績に大きな影響を与えています。これらの外部環境の変化に適切に対応していく一方で、前述の通り、各社の経営規模を効率的な運営を行なえる水準に再編を進めた結果、各個社レベルでの経営水準の向上やグループ間の相互協働・補完も進んできており、経営体質の強化に繋がっています。また、既存事業の成長に加え、2020年1月の動力制御盤、分電盤、配電盤等のメーカーのハピネスデンキ㈱買収や、2022年8月の松栄電機㈱買収にもみられるように、引き続きシナジー効果が期待できる事業の強化・発掘に努めていきます。近年、若年層の減少やわが国の景気が堅調に継続していることから、雇用環境が売手市場になり、安定的な人財確保が難しくなっています。また、当社グループにおいては、ベテランから中堅・若手への技能伝承も課題の一つです。この課題の解決策の一つとして、2019年4月より60歳定年を65歳に延長する「65歳定年制度」を導入しており、安定的な新規採用活動の継続と合わせてマンパワーの継続を図っていきます。当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ818百万円増加し、534百万円の支出となりました。主な支出は、棚卸資産の増加1,010百万円でした。投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ256百万円減少し、933百万円の支出となりました。主な支出は、有形固定資産の取得による支出1,032百万円でした。財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ607百万円減少し、597百万円の支出となりました。長期借入金の返済による支出2,627百万円が主要因です。この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、1,329百万円と前連結会計年度末に比べ2,046百万円減少しました。一方、当連結会計年度末の有利子負債残高は8,505百万円となり、前連結会計年度末に比べ417百万円減少しました。キャッシュ・マネジメント・サービスを導入によりグループの資金効率を改善し、借入金の返済やリース債務の支払いを進めた結果です。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。(製造業向け)製造業向けセグメントにおいては、化粧品及び医薬品製造用の乳化装置及び撹拌機の製造が資材長納期化や資材不足の影響を受けたこと、各種産業機械部品の製造及び組立、及び農機及び特殊自動車用部品の製造及び組立が海外生産の停滞や半導体市況の悪化を受けたことから、減収・減益となりました。
(建設業向け)建設業向けセグメントにおいては、建設工事用エレベーターの製造及びレンタル、及び空調・給排水・衛生設備の設計及び施工が首都圏を中心とした建設工事の活況を背景に好調でした。一方で、大規模施設向け動力制御盤・分電盤・配電盤等の製造及び電気工事、機械式駐車装置の製造及びメンテナンスは、電子部品・部材の調達難の影響を大きく受け低迷しました。
(レジャー)レジャーセグメントにおいては、コロナ禍における行動制限の緩和が行われ遊園地の利用客が戻ったこと、利用客の戻った遊園地からの部品・修理ニーズを捕捉したことから、大きく業績が回復しました。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。なお、新型コロナウィルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。(固定資産の減損処理)当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
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