【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
①経営成績 当連結会計年度(2022年1月1日から2022年12月31日まで)の世界経済・日本経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行が続き、世界的に猛威を振るいましたが、ワクチンの接種が広く進んだことで、行動制限の緩和とともに経済活動が再開され、需要が回復してきました。一方、半導体をはじめとする電子部品や材料等の供給が国際的にひっ迫し、前年に引き続き深刻な状況が続きました。また、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化したことや、原材料・原油価格の高騰、輸送価格の上昇や配船の遅延、電気料金の値上げなどにより、先行きが不透明で予断を許さない状況が続きました。さらに、国内での物価上昇に伴う給与の引き上げ実施もコストアップの要因となりました。 このような状況の中、当社グループでは、各セグメントにおいて積極的な販売活動を進めるとともに、原価上昇に伴う販売価格の見直しを行いました。カメラ用部品や事務機用ユニットなど需要が回復した製品の増産対応を進めたほか、スキャナー関係では商談が活発化してきた政府・金融向けを中心に積極的な拡販活動を展開しました。また、歯科用ミリングマシン「MD-500」の販売を拡大したほか、事務機用ユニットや実装基板など他社製品の受託生産を推し進めるなど、小回りの利く規模、技術を生かしたスモールビジネスの拡大に取り組みました。また、フルサイズミラーレスの新製品が牽引するカメラ関連ユニットの販売、ドキュメントスキャナーのEコマースチャネルでの拡販を進めたほか、製品の包装へのプラスチック使用量を削減するなど、サスティナビリティへの取り組みも推進しました。その結果、当期の連結売上高は965億6百万円(前期比16.8%増)、連結経常利益は89億22百万円(前期比26.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は69億20百万円(前期比28.3%増)となりました。当社グループでは目標とする経営指標として売上高経常利益率15%を将来の目標としております。当連結会計年度の売上高経常利益率は、前連結会計年度の8.6%から0.6ポイント増加し、9.2%となりました。今後も目標達成に向け、当社グループの特長である小回りの利く規模、技術を生かしたスモールビジネス事業の確立を目指し、収益力の向上に努めてまいります。 なお、宇宙関連分野におきましては、2020年10月に打ち上げた当社製の超小型人工衛星「CE-SAT-ⅡB(シーイー・サット・ツービー)」と、打上げから5年半が経過した「CE-SAT-I(シーイー・サット・ワン)」の実証実験を順調に進めており、地上の高精細画像を日々撮影しております。また、衛星本体や撮影画像、内製コンポーネントの受注を順次開始しております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。(コンポーネント)コンポ―ネントセグメントにおきましては、デジタルカメラ関係は、引き続きミラーレスカメラの売上が好調に推移しており、これにより当社が製造しているシャッターユニット・絞りユニット等のカメラ部品の生産数が大幅に回復し、前年と比べ売上が増加しました。レーザープリンター・複合機向けのレーザースキャナーユニットは、テレワーク等のワークスタイルの変化によりパーソナル向けを中心に受注が増加したほか、オフィス向け複合機の需要も回復しつつあり、前年と比べ売上が増加しました。なお、ベトナム子会社において生産を行っているプリンター部品は、プリンター本体増産により部品の生産数も増え、前年と比べ売上が増加しました。これらの結果、当セグメントの売上高は570億29百万円(前期比24.2%増)、営業利益は93億99百万円(前期比31.8%増)となりました。
(電子情報機器)電子情報機器セグメントにおきましては、スキャナー製品関係では、米州・中国・東南アジア地域・韓国向け売上が前年を上回り、その他の地域と合わせた全体の売上も前年と比べて増加しました。ハンディターミナル関係では、モバイルプリンターの販売が前年を下回りましたが、業務用情報端末の新製品「GT-50シリーズ」の売上が寄与し、ハンディターミナル本体の売上が前年を上回り、全体の売上も前年と比べ増加しました。レーザープリンター関係では、レーザープリンター本体やオプション等の生産を推し進め、前年と比べ売上は増加しました。なお、当セグメントにおいて、日本国内と欧州向けに、プリントされた写真をデジタル化する用途に対応したフォトスキャナー「RS40」を発売しました。また、可動式のスポットライトを搭載し、アルミ削り出しボディを使用した小型Bluetoothスピーカー「albos Light & Speaker」を発売しました。これらの結果、当セグメントの売上高は291億45百万円(前期比11.2%増)、営業利益は34億83百万円(前期比9.3%増)となりました。(その他)その他セグメントにおきましては、情報関連事業は、各企業のシステムへの投資が縮小や延期となっておりましたが、情報セキュリティ対策ソフト「SML」においてテレワークや働き方の可視化に向けた分析パッケージの開発、提案を進めたほか、学校向け教務管理システム「SCHOOL AID(スクールエイド)」、顧客情報管理システム(CRM)等の受注活動を積極的に展開し、前年と比べ売上は増加しました。環境機器事業は、歯科用ミリングマシン「MD-500」ならびに前年に発売した新製品「MD-500S」の販売台数を伸ばしました。医療関連機器では、血圧計や滅菌カートリッジの販売は増加したものの、一部製品の減産の影響を受け、前年と比べ売上が減少しました。また、スペースワン株式会社では、小型ロケット打上げサービス開始に向けて準備を進めているため、前年同期と比べ費用が増加しました。これらの結果、当セグメントの売上高は103億31百万円(前期比1.7%減)、29億92百万円の営業損失となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。a.生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。(単位:百万円)
セグメントの名称
生産高
前年同期比(%)
コンポーネント
55,469
112.8
電子情報機器
29,419
110.9
その他
1,497
81.2
合計
86,386
111.4
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。2. 金額は販売価格によっております。 b.受注実績 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。(単位:百万円)
セグメントの名称
受注高
前年同期比(%)
受注残高
前年同期比(%)
コンポーネント
58,690
124.2
10,017
118.7
電子情報機器
30,719
113.4
6,346
127.9
その他
10,746
97.5
3,795
122.1
合計
100,156
117.3
20,159
122.1
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.金額は販売価格によっております。
c.販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。(単位:百万円)
セグメントの名称
販売高
前年同期比(%)
コンポーネント
57,029
124.2
電子情報機器
29,145
111.2
その他
10,331
98.3
合計
96,506
116.8
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(単位:百万円)
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
販売高
割合(%)
販売高
割合(%)
キヤノン㈱
41,958
50.8
47,773
49.5
②財政状態当連結会計年度末の総資産は1,374億93百万円となり、前連結会計年度末に比べ112億24百万円増加しました。流動資産は888億93百万円となり、71億94百万円増加しました。固定資産は485億99百万円となり40億30百万円増加しました。うち有形固定資産は411億34百万円となり20億72百万円増加しました。当連結会計年度末の負債は261億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ28億26百万円増加しました。流動負債は202億98百万円となり、15億13百万円増加しました。固定負債は58億98百万円となり、13億12百万円増加しました。当連結会計年度末の純資産は1,112億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ83億98百万円増加しました。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の79.4%から78.3%となりました。
③キャッシュ・フロー当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローは税金等調整前当期純利益、減価償却費、棚卸資産の増加及び売上債権の増加等により41億63百万円の収入(前期比14億19百万円収入増)となりました。また、投資活動によるキャッシュ・フローは新製品投資、生産能力増強等の設備投資等により54億90百万円の支出(前期比5億6百万円支出増)となり、フリーキャッシュ・フローは13億27百万円のマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは社債の発行及び非支配株主からの払込みによる収入、配当金の支払等により17億20百万円の収入(前期比12億48百万円収入増)となり、これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は233億44百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億38百万円増加しました。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
②資本の財源及び資金の流動性当社グループの資金需要のうち主なものは、材料費、人件費、新製品開発に必要な研究開発費及び設備投資資金です。これらの資金需要につきましては、自己資金を充当しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結会計年度末における資産、負債の金額及び連結会計年度における収益、費用の金額に影響を与える重要な会計方針及び各種引当金等の見積り方法(計上基準)につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。連結財務諸表等の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。