【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(2022年1月1日から2022年12月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の収束の目途が立たない状況が続くなかでも、段階的に行動制限等が緩和され、経済活動の持ち直しに向けた期待感が持たれました。しかし、ロシア・ウクライナ情勢を背景とする原油を始めとした資源価格の高騰による、先進国を中心としたインフレの高進から、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く外部環境におきましては、テクノロジーの飛躍的な進化によって、これまでにない製品やサービスが次々と生み出されております。また、環境を始めとするサステナビリティへの関心の高まりやライフスタイルの変化は、価値観の多様化をより一層推し進め、シェアリングエコノミーやサブスクリプションを例とした消費のあり方にも変化をもたらしております。こうした環境変化に対応し、お客様の求める価値を提供し続けていかなければ、市場において生き残っていくことが難しい状況が続いております。
このような経営環境のなか、当社グループは、「書く、描く」を通じた“表現体験そのもの”を創造することで、すべての人が生まれながらにして持つ個性や才能といった「ユニーク」を表現する機会を創り出すことが、お客様への提供価値ととらえ、「違いが、美しい。」というコーポレートブランドコンセプト(企業理念)に基づき、活動してまいりました。具体的な活動として、障がい者が才能を発揮し、挑戦する機会を生み出すとともに、自立支援を推進することを目的として、一般社団法人障がい者自立推進機構とオフィシャルパートナー契約を締結し、“自分らしさ”をテーマに表現するパラリンアートコンテストを開催いたしました。また、サステナブルな事業体制構築に向けた取り組みとして、「ジェットストリーム」シリーズから、日本国内で回収された海洋プラスチックごみと使い捨てコンタクトレンズの空ケースからリサイクルした“ポストコンシューマープラスチック”をボールペン軸に採用した「ジェットストリーム海洋プラスチック」を発売し、「エコマークアワード2022」の「ベストプロダクト」を受賞いたしました。また、資源循環システムの構築を目指し、子供が学ぶときに初めて手にする鉛筆を通じて資源の循環を体験、実感していただけるように、鉛筆の資源循環システム「フォレストサポーター鉛筆」をテスト発売し、「2022年度ウッドデザイン賞」において奨励賞を受賞いたしました。さらに「使用済み」のプラスチック製ペンの「水平リサイクル」実証プロジェクトを開始いたしました。
これらの活動の結果、当連結会計年度における売上高は68,997百万円(対前年同期比11.5%増)、営業利益は9,243百万円(対前年同期比22.9%増)、経常利益は10,128百万円(対前年同期比21.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,951百万円(対前年同期比22.8%増)となりました。また、中期経営計画の進捗につきましては、海外売上高の構成比が50%を超えるなど、筆記具事業のグローバル化は着実に進展し、新規事業分野においては主に化粧品が好調に推移しております。
セグメント別の業績を概観いたしますと、筆記具及び筆記具周辺商品事業におきましては、海外市場を中心に販売は底堅く推移し、加えて為替の影響により売上高は伸長しました。それにより、外部顧客への売上高は66,722百万円(対前年同期比11.9%増)となりました。粘着テープ事業、手工芸品事業といったその他の事業におきましては、事業を取り巻く市場環境は依然として厳しいものの、外部顧客への売上高は2,275百万円(対前年同期比0.4%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて2,599百万円増加し、47,098百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、主に税金等調整前当期純利益10,180百万円、減価償却費2,704百万円に対し、法人税等の支払額3,356百万円により、合計で7,281百万円(前年同期比1,087百万円の収入の減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、主に固定資産の取得による支出1,577百万円により、合計で1,645百万円(前年同期比2,290百万円の支出の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、主に配当金の支払額1,795百万円、自己株式の取得による支出1,257百万円により、合計で3,895百万円(前年同期比1,140百万円の支出の増加)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
筆記具及び筆記具周辺商品事業
(百万円)
45,106
96.6
その他の事業
(百万円)
747
103.4
合計
(百万円)
45,853
96.7
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額は、販売価格によっております。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
筆記具及び筆記具周辺商品事業
(百万円)
66,722
111.9
その他の事業
(百万円)
2,275
100.4
合計
(百万円)
68,997
111.5
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
・ 売上高
国内市場ではジェットストリームを中心に筆記具の販売が底堅く、新規事業分野の化粧品も好調に推移しました。また、海外市場ではサインペンをはじめ、販売が好調、加えて為替の押し上げ影響もあり売上高は大きく伸長しました。その結果、売上高は前連結会計年度に比べて7,103百万円増加し68,997百万円(前年同期比11.5%増)となりました。
・ 営業利益
資源価格、原材料価格、物流費の高騰など利益を押し下げる要因はありましたが、売上高が大きく増加したことにより、営業利益は前連結会計年度に比べて1,722百万円増加し9,243百万円(前年同期比22.9%増)となりました。
・ 経常利益
営業利益の増加に加え、主に為替差益や受取配当金の増加により経常利益は前連結会計年度に比べて1,819百万円増加し10,128百万円(前年同期比21.9%増)となりました。
・ 税金等調整前当期純利益
経常利益の増加に加え、主に減損損失、工場再編損失の減少により税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べて2,084百万円増加の10,180百万円(前年同期比25.7%増)となりました。
・ 親会社株主に帰属する当期純利益
税金等調整前当期純利益が前連結会計年度に比べて2,084百万円増加し、非支配株主に帰属する当期純利益が107百万円減少したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度から1,292百万円増加し6,951百万円(前年同期比22.8%増)となりました。
・ 資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の資産、負債、純資産の状況は次のとおりであります。
資産は、主に現金及び預金や棚卸資産、投資有価証券が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて7,008百万円増加し130,801百万円となりました。
負債は、主に未払法人税等や長期借入金が減少したことにより、前連結会計年度末に比べて320百万円減少し25,798百万円となりました。
純資産は、主に利益剰余金やその他有価証券評価差額金、為替換算調整勘定が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて7,329百万円増加し105,002百万円となりました。
・ キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]②キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。
③資本の財源及び資金の流動性に係る分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費用、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に筆記具及び筆記具周辺商品事業に係る設備投資、余剰資金運用の為の有価証券購入等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関等からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関等からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は4,247百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は47,098百万円となっております。
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