【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、各国においてウィズコロナを前提とした経済活動の正常化が進んだ一方、世界的な物価高やロシアのウクライナ侵攻に伴う資源高、金融政策の変更や急激な為替変動など、景気の先行きは依然不透明なまま推移しました。
当社グループの事業領域であるエレクトロニクス業界におきましては、深刻化していた半導体や電子部品の需給逼迫問題が年度後半以降徐々に解消に向かうなど、サプライチェーンは落ち着きを取り戻し始めました。また、国内のICT業界におきましては、DX(Digital Transformation)推進ニーズの強まりを背景に、システムのクラウド化やサブスクリプションモデルの普及が進みました。
このようななか、当社グループにおきましては、事業構造改革による収益力向上と成長市場での事業拡大に向け、デバイス事業では既存事業の拡大と新しい収益基盤の確立、ソリューション事業ではサービス提供型ビジネスの拡大やデジタル技術の拡充に努めるとともに、顧客基盤の拡大にも注力してまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は1,611億7百万円(前期比30.4%増)、営業利益は68億47百万円(前期比62.7%増)、経常利益は55億11百万円(前期比54.8%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は38億32百万円(前期比51.8%増)となりました。
なお、連結会社間での収益及び費用の内部取引におきましては、親会社の取引は取引発生時のレートまたは為替予約レートにより換算し、在外子会社の取引は期中平均レートにより換算して相殺消去しております。当連結会計年度は円安基調で推移したことに伴い、相殺消去する費用が対応する収益を大きく上回ったため営業利益は増加しておりますが、同額が営業外費用の為替差損として調整されており、経常利益への影響はありません。
セグメント別の業績概況は次のとおりであります。
(デバイス事業)
デバイス事業におきましては、主にエレクトロニクスメーカー向けに半導体(システムLSI、マイコン、パワー半導体、液晶ディスプレイドライバIC、メモリ等)や電子部品(コネクタ、コンデンサ、液晶パネル等)の販売に加え、ソフト開発やモジュール開発等の技術サポートを行っております。
当連結会計年度におきましては、電子部品の販売が堅調に推移したことに加え、商権の拡大や家庭用ゲーム機向けの販売好調により海外半導体の売上高が増加しました。また、半導体等の需給が逼迫した状況ではありましたがその中でも商社機能を最大限に発揮できたことや前期と比べ円安基調で推移した為替相場も業績の押し上げ要因となりました。この結果、売上高は1,475億75百万円(前期比33.5%増)となりました。損益面につきましても販管費の増加があったものの、増収効果や高利益率案件の堅調により、セグメント利益は41億44百万円(前期比89.4%増)となりました。
(ソリューション事業)
ソリューション事業におきましては、ICTを利活用したネットワーク機器やセキュリティ製品をお客様の環境に合わせ設計・構築し、運用保守に至るまでワンストップにて提供しております。また、販売・生産管理をはじめとした基幹系業務システムや、人事・給与・会計等のアプリケーションをオンプレミスからクラウドまで様々な形態で提供しております。
当連結会計年度におきましては、半導体等の需給逼迫に伴う供給難の影響を受け、サーバーや通信機器等主要な製品の販売が低迷していたものの、第4四半期以降はサプライチェーンが正常化に向かったことから、通期では総じて計画通りに推移しました。この結果、売上高は135億32百万円(前期比3.6%増)となりました。損益面につきましても販管費の増加があったものの、セグメント利益はほぼ前期並みの13億66百万円(前期比0.4%減)となりました。
(注)各事業のセグメント損益は経常損益ベースの数値であります。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて57億92百万円増加し、786億1百万円となりました。これは主に売上債権の増加13億99百万円、商品の増加52億70百万円等によるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べて22億23百万円増加し、443億48百万円となりました。これは主に短期借入金の増加24億2百万円等によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて35億68百万円増加し、342億52百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加26億円、為替換算調整勘定の増加9億12百万円等によるものです。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、棚卸資産の増加及び仕入債務の減少等による支出が短期借入金等による収入を上回り、前連結会計年度末に比べて4億14百万円減少し、88億93百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加及び仕入債務の減少等による支出が、売上債権の減少等による収入を上回り、7億80百万円の支出となり、前連結会計年度が21億89百万円の収入であったことから、支出が29億70百万円増加しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得及びソフトウェアの取得等により46百万円の支出となり、前連結会計年度に比べて支出が1億2百万円減少しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加等による収入が配当金の支払等の支出を上回り2億62百万円の収入となりました。その結果、前連結会計年度が185億84百万円の支出であったことから、188億47百万円の収入増となりました。
④仕入、受注及び販売の実績
a.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
仕入高(百万円)
前期比(%)
デバイス事業
135,526
30.8
ソリューション事業
9,815
8.7
合計
145,342
29.0
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前期比(%)
受注残高(百万円)
前期比(%)
デバイス事業
138,312
△5.6
69,365
△1.8
ソリューション事業
14,371
4.3
6,369
15.2
合計
152,683
△4.8
75,735
△0.6
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前期比(%)
デバイス事業
147,575
33.5
ソリューション事業
13,532
3.6
合計
161,107
30.4
(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、総販売高の100分の10以上を占める相手先がないため記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
①経営成績の分析
当社グループでは、当社第73期(2024年3月期)を最終年度とするV73中期経営計画(V73)を策定し、その
定量目標として「自己資本当期純利益率(ROE)6%以上の維持」「経常利益25億円以上」「親会社株主に帰属する当期純利益18億円以上」を掲げており、現在実行中です。デバイス事業では既存事業の拡大と新しい収益基盤の確立、ソリューション事業ではサービス提供型ビジネスの拡大やデジタル技術の拡充に努めるとともに、顧客基盤の拡大にも注力した結果、当連結会計年度におけるROEは11.8%、経常利益は5,511百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は3,832百万円となりました。なお、V73における定量目標等は次のとおりであります。
イ.定量目標(連結基準)
当社は、ROEと経常利益を重要な経営指標と捉え、V73期間中のROE6%以上の維持を目指してまいります。
2022年3月期実績
2023年3月期実績
2024年3月期予想
ROE
6.8%
11.8%
7.2%
経常利益
3,560百万円
5,511百万円
3,500百万円
親会社株主に帰属する
当期純利益
2,524百万円
3,832百万円
2,600百万円
ロ.重要な経営指標向上に向けた課題
・事業構造改革による収益力向上と成長市場での事業拡大
・資本効率の向上
・コーポレート・ガバナンスの強化
ハ.上記課題における施策
「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営環境、中期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
②資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、営業取引から生じる運転資金であります。運転資金につきましては、金融機関等からの短期借入により資金調達を行うことを基本としております。なお、不測の事態に備え、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保することを目的として、取引金融機関3行とコミットメントライン契約を締結しております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、269億88百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は88億93百万円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。