【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、各国政府による新型コロナウイルス感染防止対策と経済活動の両立が進んだことなどから消費や投資が拡大し、概ね回復基調で推移いたしました。一方、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻や原油をはじめとする資源価格の高騰などは継続し世界情勢は依然として不安定な状態が続きました。
国内におきましては、新型コロナウイルス感染が拡大と縮小を繰返し、社会・経済活動へ影響を与えました。また、外国為替相場の変動や世界的なインフレ傾向もあり物価上昇圧力が高まり、経済活動に大きな影響を及ぼしました。
医療業界では、感染者数に合わせて医療機関への負担が増減しているものの、関係者の経験と努力によりコロナ患者増加による手術件数への影響は以前と比べると少なくなってまいりました。一方で、急激な円安や資源価格の上昇、電力費、輸送・運搬コストの上昇などにより多くの物資の価格が上昇したことに加え、医療現場におきましては、人手不足が常態化しております。また、政府が主導する地域医療構想の一環である病床機能再編への取り組みに関しては、2022年4月からの診療報酬改定において急性期充実体制加算が導入されるなど、病院経営にとっては変動が大きく、かつ対応が急がれる厳しい状況が継続しております。
このような環境下、当企業集団におきましては、当連結会計年度において医療安全とお客様の業務効率化に資する製品の提案を積極的に展開したことなどにより売上高が伸長いたしました。特に最重要戦略製品である「プレミアムキット」は当連結会計年度においても売上が拡大しております。この「プレミアムキット」は術前、術中、術後において発生するお客様の手間を削減するとともに、手術における医療安全が確保できる高付加価値製品であり、発売以降お客様に高いご評価をいただき堅調に売上を伸ばしている当社の主力製品です。また、新型コロナウイルス感染者が増加した期間には、医療関係者向けの高機能マスクの需要が急増し、一部製品の売上が大きく伸長いたしました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は38,981百万円(前期比6.0%増)となりました。キット製品の売上高は24,164百万円(同7.1%増)、内「プレミアムキット」の売上高は14,915百万円(同12.0%増)となりました。売上原価は、円安による輸入材料の高騰や電力代等の値上げ、長期滞留品の評価減が影響を及ぼし原価率が上昇いたしました。販売費及び一般管理費は、費用の抑制に努めたことから前連結会計年度に比べ減少いたしました。この結果、営業利益は6,634百万円(同8.1%増)となりました。経常利益は、前連結会計年度に計上していた新キット工場の牛久市助成金収入が終了しましたが6,653百万円(同5.8%増)となりました。また、特別損失に資産の減損があり464百万円計上いたしました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は4,316百万円(同1.2%減)となりました。
なお、セグメント情報の記載は、医療用消耗品等の製造・販売の単一事業でありますので省略しております。
財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3,213百万円増加し102,180百万円となりました。
流動資産は、現金及び預金4,497百万円の増加、受取手形272百万円の増加、売掛金348百万円の増加等により5,000百万円増加し40,290百万円となりました。固定資産のうち有形固定資産は、新キット工場Ⅱ期工事の設備投資等による建設仮勘定954百万円の増加、建物及び構築物の減価償却等による867百万円の減少、機械装置及び運搬具の減価償却等による1,236百万円の減少等により、1,203百万円減少し51,555百万円となりました。無形固定資産は、ソフトウェア仮勘定の減損損失による464百万円の減少、減価償却による317百万円の減少等により、716百万円減少し819百万円となりました。投資その他の資産は、投資有価証券の取得及び時価評価等による133百万円の増加等により、133百万円増加し9,514百万円となりました。この結果、固定資産は61,890百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ468百万円減少し18,502百万円となりました。流動負債は、支払手形及び買掛金476百万円の増加、設備関係支払手形885百万円の増加、未払消費税等406百万円の増加等により、1,785百万円増加し11,134百万円となりました。固定負債は、長期借入金の返済による1,999百万円の減少、繰延税金負債381百万円の減少等により、2,254百万円減少し7,367百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益4,316百万円の計上による増加、剰余金の配当による1,697百万円の減少、為替換算調整勘定1,306百万円の増加等により、前連結会計年度末に比べて3,682百万円増加し83,678百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の80.79%から81.82%へ増加いたしました。また、1株当たり当期純利益(EPS)は前連結会計年度の153.00円から177.95円へ増加、自己資本当期純利益率(ROE)は前連結会計年度の4.97%から5.28%へ増加いたしました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、以下に記載のキャッシュ・フローにより18,351百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,531百万円増加いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益を6,189百万円、減価償却費を3,617百万円、減損損失を464百万円計上し、売上債権の増加504百万円、未払消費税等の増加406百万円、法人税等の支払1,958百万円等がありました。これらの結果、9,176百万円の収入(前連結会計年度は8,501百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出1,318百万円、投資有価証券の取得による支出525百万円、無形固定資産の取得による支出74百万円等がありました。これらの結果、1,951百万円の支出(前連結会計年度は3,812百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出1,999百万円、配当金の支払1,697百万円、外貨建て金銭債務の為替の変動リスクを低減する目的で行ったデリバティブ決済による収入555百万円等がありました。これらの結果、3,142百万円の支出(前連結会計年度は11,049百万円の支出)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
生産実績のセグメント情報の記載は、医療用消耗品等の製造・販売の単一事業でありますので省略しております。
なお、当連結会計年度の生産実績を使用部署、用途・目的別に示すと、次のとおりであります。
区分
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
滅菌用品類(百万円)
3,293
106.1
手術用品類(百万円)
32,580
103.7
治療用品類(百万円)
38
128.7
その他(百万円)
395
108.2
合計(百万円)
36,308
103.9
(注)生産実績金額は、生産数量に当連結会計年度の平均販売単価を乗じて算定しております。
b.商品仕入実績
商品仕入実績のセグメント情報の記載は、医療用消耗品等の製造・販売の単一事業でありますので省略しております。
なお、当連結会計年度の商品仕入実績を使用部署、用途・目的別に示すと、次のとおりであります。
区分
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
滅菌用品類(百万円)
143
98.7
手術用品類(百万円)
1,663
153.4
治療用品類(百万円)
78
98.3
その他(百万円)
44
115.7
合計(百万円)
1,929
143.1
(注)金額は、実際仕入価格で表示しております。
c.受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
d.販売実績
販売実績のセグメント情報の記載は、医療用消耗品等の製造・販売の単一事業でありますので省略しております。
なお、当連結会計年度の販売実績を使用部署、用途・目的別に示すと、次のとおりであります。
区分
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
滅菌用品類(百万円)
3,487
103.7
手術用品類(百万円)
34,554
106.3
治療用品類(百万円)
192
107.8
その他(百万円)
747
101.6
合計(百万円)
38,981
106.0
(注)当連結会計年度において総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありませんので「主な相手先別販売実績」については記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析については「第2〔事業の状況〕4〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「第2〔事業の状況〕3〔事業等のリスク〕」に記載のとおりであります。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については「第2〔事業の状況〕1〔経営方針、経営環境及び対処すべき課題等〕(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容についての記載は、医療用消耗品等の製造・販売の単一事業でありますので省略しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析については「第2〔事業の状況〕4〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。また、資金については原則として短期的な預金で運用し、将来の設備投資等で使用する見込みの資金については長期的な預金等で運用しており、不足分については銀行等金融機関からの借入により調達しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5〔経理の状況〕1〔連結財務諸表等〕(1)連結財務諸表[注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。