【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)財政状態及び経営成績の状況
経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、各国政府による新型コロナウイルス感染防止対策と経済活動の両立が進んだことなどから消費や投資が拡大し、概ね回復基調で推移いたしました。一方、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻や原油をはじめとする資源価格の高騰など世界情勢は不安定なまま推移いたしました。
国内におきましては、新型コロナウイルス感染が第7波・第8波と拡大と縮小を繰り返し、依然として社会・経済活動への影響が出ている状況です。また、外国為替相場の変動や世界的なインフレ傾向によって物価上昇圧力が高まり、経済活動に大きな影響を及ぼしました。
医療業界では、感染者数に応じて医療機関への負担が増減しているものの、関係者の経験と努力により新型コロナウイルス患者増加による手術件数への影響は以前と比べると少なくなってまいりました。一方で、急激な円安や資源価格の上昇、電力費、輸送・運搬コストの上昇などにより多くの物資の価格が上昇したことに加え、医療現場におきましては、人手不足が常態化しております。また、政府が主導する地域医療構想の一環である病床機能再編への取り組みに関しては、本年度の診療報酬改定において急性期充実体制加算が導入されるなど、病院経営にとっては変動が大きく、かつ対応が急がれる厳しい状況が継続しております。
このような環境下、当社グループにおきましては、当第3四半期連結累計期間においても医療安全とお客様の業務効率化に資する製品の提案を積極的に展開したことなどにより売上高が伸長いたしました。顧客価値の追求を念頭に営業力の充実を図る施策を講じながら、特に最重要戦略製品である「プレミアムキット」の製品価値の訴求に注力いたしました。この「プレミアムキット」は、術前、術中、術後において発生するお客様の手間を削減するとともに、手術における医療安全が確保できる付加価値の高い製品です。発売以降お客様に高いご評価をいただき堅調に売上を伸ばしている当社の主力製品であり、当四半期においても売上が拡大いたしました。また、新型コロナウイルス感染者が増加した期間には、医療関係者向けの高機能マスクなどの需要が急増したことに加え、他社製品の供給不安から当社への引き合いが増えたことなどにより、これらの製品の売上が大きく伸長いたしました。一方、不織布製品につきましては当第3四半期から医療用ガウンなど感染防護製品の一部の販売価格について値上げを実施したことなどから販売数量が減少いたしました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は29,535百万円(前期比6.2%増)となりました。キット製品の売上高は18,156百万円(同6.3%増)、内「プレミアムキット」の売上高は11,180百万円(同12.0%増)となりました。売上原価は、円安の影響を受けて原価が上昇している製品を中心に値上げを行い改善が見られましたが、円安と電力代の上昇の影響が強く、全体としては原価率が上昇いたしました。販売費及び一般管理費は、費用の抑制に努めたことから前期に比べ減少いたしました。この結果、営業利益は5,064百万円(同5.5%増)となりました。経常利益は、前期に新キット工場の牛久市助成金収入があったことなどから増加率は減少し5,226百万円(同3.0%増)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は3,710百万円(同0.5%増)となりました。
当社グループの事業は、医療用消耗品等の製造・販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産は前連結会計年度末に比べ2,260百万円増加し、101,227百万円となりました。
流動資産は、現金及び預金1,765百万円の増加と、受取手形及び売掛金の2,604百万円の増加等により3,972百万円増加し39,262百万円となりました。固定資産のうち有形固定資産は、建物及び構築物の減価償却等による504百万円の減少、機械装置及び運搬具の減価償却等による890百万円の減少等により、1,368百万円減少し51,391百万円となりました。無形固定資産は、減価償却等による201百万円の減少により1,334百万円となりました。投資その他の資産は、投資有価証券の時価評価等による178百万円の減少等により、143百万円減少し9,238百万円となりました。この結果、固定資産は61,964百万円となりました。
当第3四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,859百万円減少し、17,111百万円となりました。流動負債は、未払金468百万円の減少、未払法人税等362百万円の減少、未払消費税等348百万円の増加等により、458百万円減少し8,890百万円となりました。固定負債は、長期借入金の返済による1,499百万円の減少等により、前連結会計年度末に比べて1,401百万円減少し8,220百万円となりました。
当第3四半期連結会計期間末の純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益3,710百万円の計上による増加、剰余金の配当による1,261百万円の減少、為替換算調整勘定2,118百万円の増加等により、前連結会計年度末に比べて4,119百万円増加し84,115百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の80.8%から83.1%へ増加いたしました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、以下に記載のキャッシュ・フローにより15,629百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,809百万円増加いたしました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益を5,226百万円、減価償却費を2,740百万円計上し、売上債権の増加2,407百万円、棚卸資産の減少918百万円、法人税等の支払1,927百万円等がありました。これらの結果、4,682百万円の収入(前年同期は4,348百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出1,123百万円、投資有価証券の取得による支出315百万円、無形固定資産の取得による支出57百万円等がありました。これらの結果、1,487百万円の支出(前年同期は1,746百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出1,499百万円、配当金の支払1,261百万円、外貨建て金銭債務の為替の変動リスクを低減する目的で行ったデリバティブ決済による収入555百万円等がありました。これらの結果、2,205百万円の支出(前年同期は6,000百万円の支出)となりました。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、305百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。