【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)
財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の分析当第2四半期連結累計期間における日本経済は、7月以降新型コロナウイルス感染症の感染者が再拡大したものの、まん延防止等重点措置等の行動制限は課されず、個人消費を中心に緩やかな回復の動きが見られました。一方で、原油をはじめとした国際商品市況の高騰に加え、日米の金融政策の乖離等を背景とした急激な円安ドル高の進行により、エネルギー価格や原材料価格が上昇し、企業収益の悪化や消費者マインドの低迷が懸念されています。世界経済については、中国各都市でロックダウンが行われたものの、全体として新型コロナウイルス感染症が経済に与える影響は限定的となりました。しかしながら、ロシアのウクライナ侵攻を背景としたサプライチェーン(供給網)の混乱やエネルギー価格、原材料価格の上昇に加え、各国におけるインフレ抑制のための大幅な金融引き締めによる景気後退リスクが懸念されています。このような環境下、当社グループは「もっとお客さまの近くで、多様な価値を創造し続ける企業グループに変革する」という基本方針のもと、中期経営計画「Value Up+」(2021年度-2024年度)に取り組んでいます。6つの重点領域で設定したCSV目標を成長ドライバーとして成長路線を加速させるとともに、“植物のチカラ®”を価値創造の原点に、社会との多様な共有価値の創造を通じた持続的な成長を目指しております。当第2四半期連結累計期間の業績については、以下のとおりとなりました。
(単位:百万円)
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
増減額
前年同期比
売上高
195,329
275,621
+80,291
141.1%
営業利益
6,284
9,436
+3,152
150.2%
経常利益
7,171
9,895
+2,723
138.0%
親会社株主に帰属する四半期純利益
5,298
7,784
+2,486
146.9%
セグメント別の概況
≪油脂事業≫油脂事業セグメントでは、コロナ禍からの世界経済の回復に伴う油脂需要の増加に加え、ロシアのウクライナ侵攻による原材料の供給懸念、急速な円安進行等を背景として原材料価格が一段と高騰するなか、生産性向上とコスト削減に最大限努めるとともに、適正な販売価格の形成に取り組みました。また、付加価値商品の拡販に加え、新たな市場創造やソリューション提案の強化に注力したことで、売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。
◆油脂・油糧
(単位:百万円)
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
増減額
前年同期比
売上高
123,269
170,311
+47,041
138.2%
営業利益
2,607
4,188
+1,581
160.6%
[原料の調達環境] 原料の調達面では、主要原料相場が前年同期に対して上昇し、またドル円相場も前年同期に対して円安ドル高で推移したことから、大豆価格、菜種価格ともに前年同期を大きく上回りました。 <主要原料相場>大豆相場は、ロシアのウクライナ侵攻による穀物・油脂の供給不安や、乾燥による南米産大豆減産などにより、1ブッシェルあたり16~17米ドル台の歴史的な高値圏で推移しました。その後も、高温乾燥を背景とした米国産大豆の減産懸念などにより、前年同期比で大幅な高値推移となりました。菜種相場は、世界的な需給逼迫による歴史的な高値圏での推移が続くなかで、ウクライナ侵攻による穀物・油脂の供給不安や、天候不順によるカナダ産新穀の作付遅れ等から上昇し、4月には1トンあたり1,200カナダドルと史上最高値を更新する等、高値圏で推移しました。7月以降は、カナダ産や豪州産の豊作期待により800カナダドル台まで値を下げましたが、前年同期比で大幅な高値推移となりました。<為替相場> ドル円相場は、3月以降、日米の金融政策の乖離等により、急激に円安ドル高が進行しました。その後も米国の金融引き締めが継続したことや、資源価格高騰を背景とした日本の貿易赤字拡大等により、9月には145円台まで円安ドル高が進行するなど、前年同期に対して大幅な円安ドル高推移となりました。
[油脂の販売]業務用については、原材料価格が一段と高騰するなかで販売価格の改定に取り組みました。また、生活者の行動変容、人手不足やコスト上昇など「変化への対応」と「ニーズ協働発掘型」営業によるソリューション提案の強化に取り組みました。商品面では長持ち機能等を付加した「機能フライ油」や「日清炊飯油」等の機能性油脂を含む「付加価値型商品群」の積極的な提案による拡販に努めました。その結果、新型コロナウイルス感染症の影響で外食需要、観光需要が依然低迷する厳しい環境のなか、販売数量は増加し、販売単価も上昇したことで、売上高は増収となりました。加工用についても、原材料価格が一段と高騰するなか、コストに見合った適正価格での販売に取り組んだことにより、売上高は増収となりました。ホームユースについても、価格改定の発表にあわせた販売価格改定に取り組むとともに、「かけるオイルの定着」や「味つけオイルの市場育成」など、付加価値品の継続的な拡販を進めました。サプリ的オイルの販売数量が前年同期を上回る一方、販売価格改定に伴う販促機会減少の影響により、ごま油、オリーブオイル等が伸び悩み、付加価値品の販売数量が前年同期を下回りましたが、レギュラー品の販売数量増と販売単価上昇により売上高は増収となりました。以上の結果、油脂全体の売上高は増収、営業利益が増益となりました。
[ミールの販売]大豆ミールについては、搾油数量の増加に伴う拡販により、販売数量は大幅に増加しました。また、主要原料相場が上昇したことや、ドル円相場が円安ドル高で推移したことによる競合する輸入ミール価格の上昇などから販売単価が上昇し、売上高は増収となりました。菜種ミールについては、搾油数量が前年同期に対して下回ったことで販売数量が減少したものの、大豆ミール価格上昇の影響等から販売価格が上昇し、売上高は増収となりました。
◆加工油脂 (単位:百万円)
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
増減額
前年同期比
売上高
36,752
63,403
+26,650
172.5%
営業利益
2,489
4,621
+2,132
185.7%
海外加工油脂については、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.において、販売数量は減少したものの、パーム油相場の高騰に伴う販売価格の上昇や為替換算の影響等により、売上高は増収となりました。また、販売単価の上昇や高付加価値品の販売数量増加およびパーム油取引の時価評価、為替換算の影響等により、営業利益は増益となりました。 国内加工油脂については、需要が低迷する厳しい状況のなか、新規ユーザーの獲得および既存顧客での新規商品採用により販売数量は前年同期並みを維持、販売価格については段階的な価格改定を実現したことで、売上高は増収となりました。営業利益は原材料コストの更なる上昇に加え、ユーティリティや包装資材のコスト上昇の影響が大きく、減益となりました。
≪加工食品・素材事業≫
(単位:百万円)
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
増減額
前年同期比
売上高
25,739
30,366
+4,627
118.0%
営業利益
630
56
△573
9.0%
加工食品・素材事業セグメントでは、国内におけるチョコレートの販売数量増加や販売価格の改定と海外子会社の為替換算の影響等により、売上高は増収となりましたが、原価率上昇等の影響が大きく、営業利益は減益となりました。
チョコレートについては、大東カカオ㈱において、土産物を中心とした菓子需要の回復も見られるなか、既存顧客への販売拡大や新規顧客開拓に努めたことで販売数量が増加しました。シンガポールのT.&C. Manufacturing Co., Pte.Ltd.においては、日本国内における調製品から国産バターや脱脂粉乳使用への切り替えの影響が拡大したことにより、販売数量は前年同期を下回りました。インドネシアのPT Indoagri Daitocacaoにおいては、既存顧客との取引拡大に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により遅れていた新規顧客との取引が進展したことにより、販売数量が増加しました。更に、海外子会社の為替換算影響もあり、チョコレート全体で売上高は増収となりましたが、原価率上昇の影響が大きく営業利益は減益となりました。 調味料は、価格改定に伴い需要が減少するなかで、主力商品である「日清ドレッシングダイエット」に加え、オイルに特長をもつ「日清アマニ油ドレッシング」や「日清MCTドレッシングソース」の拡販に努めましたが、販売数量は減少しました。販売価格上昇により売上高は増収となったものの、営業利益は原価や販管費増加の影響が大きく、減益となりました。 機能素材・食品は、MCT(中鎖脂肪酸)の機能理解に向けたコミュニケーション活動により購買意欲の醸成に取り組むとともに、加工食品メーカーへのアプローチとコラボレーション商品の上市を進めました。その結果、「日清MCTオイル」等の販売数量が増加し、また原材料価格の上昇に対する適正価格での販売に努めたことにより、売上高は前年同期を上回りました。利益面では、原価上昇の影響とプロモーション展開による販管費の増加により営業利益は前年同期を下回りました。 大豆素材・食品は、原材料価格の上昇に対する適正価格での販売に努めた結果、売上高は増収となりましたが、原材料価格の上昇や前期の連結子会社売却の影響等により、営業利益は減益となりました。
≪ファインケミカル事業≫
(単位:百万円)
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
増減額
前年同期比
売上高
8,265
10,234
+1,968
123.8%
営業利益
787
848
+60
107.7%
ファインケミカル事業セグメントでは、国内外の需要回復の遅れに伴い販売数量は減少となりましたが、販売価格の改定等により、売上高、営業利益は増収増益となりました。
ファインケミカル製品は、国内の需要回復の遅れや中国経済の停滞の影響があったものの、スペインのIndustrial Quimica Lasem, S.A.U.において、欧州域内での好調な販売、特に化粧品油剤の販売が大きく増加したことにより、セグメント全体として売上高、営業利益は増収増益となりました。環境・衛生については、堅調なアルコール製剤の需要により販売数量が増加したことで売上高は増収となりましたが、原材料およびエネルギーコスト高騰の影響が大きく、営業利益は減益となりました。
≪その他≫
(単位:百万円)
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
増減額
前年同期比
売上高
1,302
1,306
+4
100.3%
営業利益
114
211
+96
184.1%
情報システムをはじめその他の事業セグメントは、売上高は前年並み、営業利益は増益となりました。
地域別売上高
(単位:百万円)
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
増減額
前年同期比
日本
156,235
206,800
+50,564
132.4%
アジア
21,861
36,117
+14,255
165.2%
その他
17,232
32,703
+15,471
189.8%
海外売上高比率
20.0%
25.0%
―
+5.0%
原材料価格の高騰を背景とした販売価格の上昇や為替換算の影響等から、マレーシア、中国等のアジア向けおよび欧州、米国等のその他地域への売上高は増収となりました。なお、連結売上高に占める海外売上高の割合は、前年同期に比べ5.0ポイント増加し25.0%となりました。
【参考】
売上高(単体)
(単位:百万円)
前第2四半期累計期間
当第2四半期累計期間
増減額
前年同期比
油脂事業
油脂・油糧
108,443
152,882
+44,439
141.0%
業務用・加工用
42,438
64,293
+21,854
151.5%
ホームユース
27,695
36,301
+8,606
131.1%
油糧
38,309
52,287
+13,978
136.5%
加工油脂
4,589
6,169
+1,580
134.4%
小計
113,032
159,052
+46,019
140.7%
加工食品・素材事業
8,855
9,503
+648
107.3%
ファインケミカル事業
2,715
2,923
+208
107.7%
その他
169
169
△0
99.8%
合計
124,773
171,648
+46,875
137.6%
②財政状態の分析当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ489億54百万円増加し、3,934億61百万円となりました。主な要因は、売上債権が104億87百万円、棚卸資産が279億87百万円、有形固定資産が35億7百万円増加したことであります。 負債は、前連結会計年度末に比べ372億30百万円増加し、2,174億22百万円となりました。主な要因は、仕入債務が147億59百万円、短期借入金が47億89百万円、長期借入金が148億37百万円増加したことであります。 純資産は、前連結会計年度末に比べ117億24百万円増加し、1,760億38百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が56億9百万円、その他の包括利益累計額が52億15百万円増加したことであります。
(2)
キャッシュ・フローの状況の分析当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ4億69百万円減少しましたが、連結子会社の決算期変更に伴う増加21億87百万円があり、95億93百万円となりました。
≪営業活動によるキャッシュ・フロー≫営業活動によるキャッシュ・フローは、127億3百万円の支出(前年同期は172億51百万円の支出)となりました。主な内訳は、税金等調整前四半期純利益106億90百万円、減価償却費46億96百万円、仕入債務の増加124億79百万円によるキャッシュの増加および売上債権の増加80億81百万円、棚卸資産の増加257億37百万円、法人税等の支払7億18百万円によるキャッシュの減少であります。
≪投資活動によるキャッシュ・フロー≫投資活動によるキャッシュ・フローは、32億58百万円の支出(前年同期は69億円の支出)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出49億69百万円によるキャッシュの減少であります。
≪財務活動によるキャッシュ・フロー≫財務活動によるキャッシュ・フローは、149億14百万円の収入(前年同期は227億36百万円の収入)となりました。主な内訳は、短期借入金の純増15億66百万円と長期借入による収入150億17百万円によるキャッシュの増加および配当金の支払14億59百万円によるキャッシュの減少であります。
(3)
優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)
研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は15億70百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)
連結業績予想などの将来予測情報に関する説明連結業績については、2022年5月11日に公表した2023年3月期の業績予想に変更はありません。なお、国内外の経済・社会活動への影響が大きい新型コロナウイルス感染拡大およびロシアのウクライナ侵攻長期化の影響等、今後の情勢変化により当社グループの業績予想の修正が必要であると判断した場合には、速やかに開示いたします。
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