【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され経済活動の正常化に向けた動きが見られたものの、ウクライナ情勢などによって資源・エネルギー価格上昇に拍車がかかったことや、外国為替相場での急激な円安進行、中国におけるゼロコロナ政策による都市封鎖等の影響から、先行きは不透明な状況で推移しました。
繊維業界においては、物価上昇及び実質賃金の低下から消費者の生活防衛意識が高まったことによる消費マインドの低下等により依然として厳しい環境が続いております。
このような状況において当社グループは、2023年3月期から2025年3月期までを実行期間とする中期経営計画『ATSUGI VISION 2024』をスタートさせました。本計画では、「足場固めの3年間」と位置付け、顧客ニーズの変化と多様性に的確に対応したうえで、「事業ポートフォリオの強化」、「生産体制の再編による収益基盤の強化」、「資本の効率化」の3つの重点課題に取り組むことにより収益性を高めることに注力し、将来の持続的成長のための安定した財務基盤の確立を目指しております。
その1年目である今年度は、製造原価の低減に向け国内基幹工場であったアツギ東北株式会社での生産業務を終了し、中国工場への生産移管を進めるとともに、経営環境の変化に対応した機動的な組織運営および責任の明確化を目的とした組織体制の整備や業務効率化に向けた人員配置の見直し、設備投資等を進めております。
しかしながら、販売面では行動制限の緩和による人流の回復や個人消費の持ち直しによる需要拡大を想定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の再拡大、円安の進行などによるエネルギーや食料品を中心とした物価高による消費者の生活防衛意識の高まりなどから需要が想定を下回り、また利益面でも外国為替相場での急激な円安進行や原燃料価格や物流費の高止まり、人件費の上昇などによるコストの増加等により、厳しい状況が継続しております。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は14,837百万円(前年同四半期比4.8%減)、営業損失は1,612百万円(前年同四半期は1,294百万円の損失)、経常損失は1,014百万円(前年同四半期は848百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は812百万円(前年同四半期は905百万円の損失)となりました。
セグメント別の経営成績を示すと、次の通りであります。
[繊維事業]
レッグウエア分野は、徐々に人流が回復し行動制限の緩和の動きによる個人消費の持ち直しによる動きがみられ販売数量は回復傾向となりましたが、消費者の生活防衛意識の高まりなどから高価格帯商品が苦戦し、同分野の売上高は8,248百万円(前年同四半期比4.5%減)となりました。
インナーウエア分野は、紳士インナーの拡大は堅調に推移しましたが、レッグウエア分野同様、消費者の生活防衛意識の高まりなどから全般的に厳しく、同分野の売上高は5,652百万円(前年同四半期比5.6%減)となりました。
これらの結果、繊維事業の売上高は13,900百万円(前年同四半期比4.9%減)となりました。営業損失は、中国工場への生産移管による製造原価の低減を進めておりますが、外国為替相場での急激な円安進行、原燃料価格や物流費の高止まり、人件費の上昇などによるコストの増加等により、1,896百万円(前年同四半期は1,536百万円の損失)となりました。
[不動産事業]
保有資産の有効活用を進めておりますが、当事業の売上高は406百万円(前年同四半期比1.0%減)、営業利益は302百万円(前年同四半期比1.6%増)となりました。
[その他]
その他の事業につきましては、太陽光発電による売電は天候の影響などにより発電量が減少し、介護分野も苦戦しました。これらの結果、当事業の売上高は531百万円(前年同四半期比4.6%減)、営業利益は46百万円(前年同四半期比16.9%増)となりました。
②財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末における総資産は40,061百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,172百万円減少いたしました。これは主に、将来の効率化に向けた設備投資等による現金及び預金の減少3,025百万円、有形固定資産の増加524百万円および無形固定資産の増加472百万円等によるものであります。
負債の部は8,484百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,603百万円減少いたしました。これは主に、未払金の減少747百万円、仕入債務の減少428百万円および長期借入金の減少352百万円等によるものであります。
純資産の部は31,577百万円となり、前連結会計年度末に比べ568百万円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純損失812百万円の計上や、その他の包括利益累計額の増加244百万円等によるものであります。
この結果、当第3四半期連結会計期間末の自己資本比率は78.8%(前連結会計年度末は76.1%)となりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は216百万円であります。
(5)主要な設備
第1四半期連結累計期間において、グループの生産機能をコスト競争力のある中国工場に集約し生産体制の効率化および最適化を図るため、国内の生産拠点であるアツギ東北株式会社での生産業務を終了しております。