【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績に関する経営者の説明および分析
地球温暖化が引き起こす気候変動により、深刻な大災害が世界各地で頻発しています。
わが国においても2050年までに二酸化炭素など地球温暖化の主な原因となる温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」方針が示され、企業は継続的価値創造のためにデジタルを活用した企業変革を一層加速することで、マーケティング活動を含めた企業のビジネスそのものを脱炭素型・社会課題解決型へ変容させることが求められます。
デジタルビジネスが活況を迎える一方で、企業がインターネットやデジタルテクノロジーに精通したクリエイター人材を自社で採用・育成することは難しく、人材不足が企業のデジタル推進を阻む大きな壁となっています。日本企業の約8割が事業戦略上の変革を担う人材は質・量ともに不足していると認識しており、いわゆる「デジタルトランスフォーメーション(DX)」とも呼ばれる企業のデジタルへの取組みは、成果が出ていると回答した企業は半数に満たないことが示されています(独立行政法人情報処理推進機構 DX白書2021、2021年10月11日発行)。
このような状況において、当社グループはミッション「“MEMBERSHIP”で、心豊かな社会を創る」を掲げ、デジタルビジネス運用支援を通じ、顧客企業の経営スタイルやマーケティング活動、サービスおよびプロダクトを「地球と社会を持続可能なもの」へと転換させることを目指しております。
当社グループは次の2つの社会課題「地球温暖化および気候変動による環境変化」「人口減少による年金医療制度破綻/地方衰退による自治体の消滅/財政破綻」に着目し、人々や企業が自己利益の追求のみではなく将来への希望や社会への参加意識を持ち、持続可能なより良い未来のために共に協力しあう心豊かな社会の実現に取り組んでまいります。
当社グループは、デジタル領域を中心として主に2つの事業(EMC事業・PGT事業)を展開しております。
<EMC事業の概況>
EMC事業では、EMCカンパニーを中心に、大手企業向けにデジタルを活用したビジネス成果とユーザーエンゲージメントを向上し続ける専任チーム“EMC(Engagement Marketing Center)”を編成、顧客視点での課題発見・要件定義からデジタルサービスやプロダクトの開発・運用までを包括的に支援するサービスを提供しております。
2023年3月期においては、カスタマーサクセスに注力し、顧客企業のデジタル組織の内製化を支援する方針を掲げ、主に大企業のマーケティング部門のデジタルマーケティング領域において顧客専任デジタルクリエイターチームによる長期運用支援およびCSV(※1)/脱炭素事例を創出してまいります。
当第2四半期連結累計期間においては、売上収益は5,392百万円(IFRS ※参考値:前年同四半期比12.9%増)となりました。EMCモデル提供社数は、54社(前期末比±0社)、顧客企業1社あたりの付加価値売上高は41,942千円、EMC事業に所属するデジタルクリエイター数は1,127名(前期末比227名増)となりました。
<PGT事業の概況>
PGT(Product Growth Team)事業では、2022年3月期より従来の「専門スキル保有クリエイター人材の提供」から「新技術領域によるグロース支援」に主眼を置いたサービスへ転換しております。
主に当事業はデジタル、IT技術投資に積極的であり、成長性が高いインターネットおよびベンチャー企業に対して自律型チームによる顧客のプロダクトをグロースさせる支援を行います。
当事業においても、2023年3月期においてはカスタマーサクセスに注力し、主にデジタルサービス企業及び大企業において当社顧客専任デジタルクリエイターのチームが顧客企業と一丸となり、デジタル組織内製化を実現、デジタルプロダクト(製品・サービス)開発支援を通じ、デジタル化の企画や初回の構築/導入のみならず、長期的な運用が可能な組織化を支援してまいります。
また、高付加価値の専門領域特化型社内カンパニーを積極的に立ち上げることで、新技術領域やグロース支援領域の職種を創造し、高単価かつ高稼働を実現することで収益性の強化を図っており、以下の通りカンパニーの設立を決定しております。
・AIスペシャリストが顧客企業のAIプラットフォームの選定・導入から、AI利活用における課題の策定・運用までを支援するメンバーズ AI Reach カンパニー(2022年7月設立)
・XR(※2)クリエイターが顧客企業のビジネスグロースを支援するメンバーズ XR BOOSTERカンパニー(2022年8月設立)
当事業はDX市場の盛況を背景に主力のメンバーズキャリアカンパニーに加えてデータ領域、UX(※3)等の専門領域支援サービスが引き続き順調に成長し、グループ全体の拡大を牽引しております。
当第2四半期連結累計期間においては、製販分離の営業活動による案件の獲得、稼働率の向上、付加価値の高い専門領域支援サービスの順調な拡大およびチーム型への転換による高収益化等を要因として、PGT事業全体の売上は3,245百万円(IFRS ※参考値:前年同四半期比38.3%増)、3名以上のデジタルクリエイターが顧客企業専任のチームとしてサービスを提供するPGTモデル提供社数は46社(前期末比25社増)、顧客企業1社あたりの付加価値売上高は17,736千円、デジタルクリエイター数は936名(前期末比213名増)となりました。
<連結決算の概況>
当第2四半期連結累計期間の売上収益は8,213百万円(前年同四半期比20.9%増)、営業利益は288百万円(前年同四半期比21.2%減)、税引前四半期利益は237百万円(前年同四半期比34.9%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は157百万円(前年同四半期比39.5%減)となりました。
売上収益は、主にPGT事業の高付加価値領域の拡大、製販分離による営業活動の成果等により前年同四半期比20.9%増となり、堅調に推移し、第2四半期連結累計期間として過去最高を更新しました。
利益面は、主にEMC事業において営業活動における新規顧客及び案件の獲得が遅れ、未稼働者が発生したことに加えて、一部不採算案件の発生、営業及び採用、育成といった投資、クリエイター増加に伴うオフィス拡張等によりコストが増加し、連結営業利益は前年同期比で減益となりました。
しかしながら、新卒・中途社員の積極採用および育成、営業活動への投資は、通期および当社グループの継続的な成長のため将来にわたり十分収益に寄与する想定であり、企業のデジタル投資への拡大を背景として引き続き積極的な投資を行ってまいります。
なお、税引前四半期利益237百万円には投資等における金融費用51百万円が含まれております。
<当社グループ全体の方針および取組み>
当社グループは、インターネットやデジタルテクノロジーに精通したクリエイター人材の大幅な不足を予測し、先行投資として継続的な採用活動を実施しております。美術・芸術系大学、高等専門学校、四年制大学および大学院等から幅広く採用を行っており、2022年4月には当社グループ合計で前連結会計年度より120名増の484名の新卒社員が入社いたしました(地方拠点を含む。)。当該新卒社員は7月に配属し、順次稼働を開始しております。企業のデジタル投資拡大のため、引き続きデジタルクリエイターの十分な採用・教育を行ってまいります。
当社は、サービス戦略、育成戦略、営業戦略を当社グループで統合的に実行し、グループ横断で行うことを目的として、2023年4月(予定)からEMCカンパニー、メンバーズキャリアカンパニー、メンバーズエッジカンパニーの3カンパニーの統合を決定いたしました。2023年3月期は事業の統合等を含めた営業・採用・育成の一貫した体制の構築を進めてまいります。主要3カンパニーの統合を行うことで、当社グループの新卒採用・育成モデルを更に発展させ、高付加価値と高稼働率および中長期的な成長へと繋げる経営モデルを確立し、ひいてはミッションの実現に向けて世界一のデジタルビジネス運用支援の確立および高レベルのカスタマーサクセスを実現いたします。
これに先立ち、2022年10月1日付でカンパニーの営業・マーケティング部門を統合したセールス&マーケティング本部を新設、全社の営業戦略を推進、強化しております。2023年3月期第2四半期連結累計期間において奏功したPGT事業の製販分離体制を全社に展開し、通期業績達成に向け新規顧客開拓および既存顧客の取引拡大を両輪で加速いたします。加えて両事業におけるサービス領域の拡充および新卒社員の強力なスキル育成、早期稼働を通して高稼働を実現、高付加価値領域の拡大により収益性を高め、引き続き新卒・中途採用、育成を中心とした投資を強化してまいります。
わが国における新型コロナウイルス感染症の影響や地政学上の問題による経済への影響はまだ不透明なものの、企業のデジタル投資は一段と加速するものと捉えております。そのような環境において、当社グループは引き続き新規顧客の開拓を強化し、また中途採用へ注力することにより利益の源泉であるデジタルクリエイター数の拡充を図ります。併せて専門領域教育への投資を強化し、クリエイターの高単価領域カンパニーへの配置転換等により、一人当たり付加価値売上高の向上に努めてまいります。
引き続き、長期ビジョンであるVISION2030(https://www.members.co.jp/ir/pdf/20200508_04.pdf)の達成に向け、重要KPIであるソーシャルクリエイター(※4)10万人、ソーシャルエンゲージメント(※5)総量100億、社員数1万人、営業利益100億円の達成を目指して取組みを推進してまいります。
(※1)CSV(Creating Shared Value=共通価値の創造):企業の競争戦略論の世界的第一人者として知られる米ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が米ハーバード・ビジネス・レビュー誌の2011年1月・2月合併号(日本語版はダイヤモンド社「DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー」2011年6月号)に寄稿した論文で提唱した概念。CSVとは、「社会的課題の解決と企業の利益、競争力向上を同時に実現させ、社会と企業の両方に価値を生み出す取り組み」を意味する。
(※2)XR(クロスリアリティ):「VR(仮想現実)」「AR(拡張現実)」「MR(複合現実)」の総称
(※3)UX(ユーザーエクスペリエンス):製品やサービスなどを利用するにあたって得られる「体験・経験」のこと。
(※4)ソーシャルクリエイター:デザイン思考を持ち、ビジネスの推進や制度設計、アウトプットを通じて社会課題の解決を図ろうとするクリエイター(職人)志向性の高い人材のこと。
(※5)ソーシャルエンゲージメント:社会課題解決施策としてメンバーズグループが手がけたコンテンツ・プロダクト・サービスに対する接触回数のこと。
(2)財政状態の分析
資産、負債及び資本の状況
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は9,697百万円(前連結会計年度末比707百万円の減少)となりました。これは主として、その他の金融資産が930百万円、有形固定資産が114百万円増加したものの、現金及び現金同等物が1,304百万円、営業債権及びその他の債権が442百万円減少したことによるものです。
負債合計は、3,876百万円(前連結会計年度末比632百万円の減少)となりました。これは主として、引当金が79百万円増加したものの、営業債務及びその他の債務が360百万円、未払法人所得税が225百万円、リース負債が108百万円減少したことによるものです。
資本合計は、5,820百万円(前連結会計年度末比75百万円の減少)となりました。これは主として、資本金が52百万円、資本剰余金が53百万円増加したものの、利益剰余金が170百万円減少したことによるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末より1,304百万円減少し、3,922百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において営業活動の結果獲得した資金は、272百万円(前年同四半期は293百万円の獲得)となりました。収入の主な内訳は、営業債権及びその他の債権の減少額423百万円、減価償却費及び償却費242百万円、税引前四半期利益237百万円によるものであり、支出の主な内訳は、営業債務及びその他の債務の減少額354百万円、法人所得税の支払額288百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において投資活動の結果使用した資金は、1,126百万円(前年同四半期は8百万円の使用)となりました。支出の主な内訳は、投資の取得による支出992百万円、有形固定資産の取得による支出133百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において財務活動の結果使用した資金は、450百万円(前年同四半期は332百万円の使用)となりました。収入の主な内訳は、新株予約権の行使による収入93百万円によるものであり、支出の主な内訳は、配当金の支払額326百万円、リース負債の返済による支出217百万円によるものです。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
(6)従業員数
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの従業員数は452名増加し2,290名、臨時従業員数(平均雇用人員)は43名となりました。これは主に業務拡大に伴う採用によるものであります。
(7)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第2四半期連結累計期間に著しい変更があったものは、次のとおりであります。
(改修)
当第2四半期連結累計期間に完了した主要な設備の改修は次のとおりであります。
事業所名
(所在地)
セグメントの名称
設備の内容
投資額(千円)
完了年月
本社
(東京都中央区)
ネットビジネス支援事業
事務所内装設備・什器等
216,600
2022.5
ウェブガーデン仙台
(宮城県仙台市青葉区)
ネットビジネス支援事業
事務所内装設備・什器等
36,245
2022.5
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