【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症対策と経済活動の両立が進む中、中国におけるゼロコロナ政策や、ウクライナ情勢の長期化が資源価格の高騰に拍車を掛け、インフレ抑制のための利上げにより景気が減速し、厳しい状況で推移しました。日本においては、行動制限が緩和され社会経済活動に回復の兆しがみられたものの、日米間の金利差拡大による円安の進展や、資材高騰等により景気回復への懸念が増しております。当社グループの主要事業分野であります自動車関連業界におきましては、主要顧客の自動車生産は、生産の制約となっておりました部材供給不足の緩和により、回復傾向にあります。このような中、社員の感染症対策に努め、人員・部材の確保等を行い、生産量変動に合わせた生産活動を行ってまいりました。この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は、円安による為替換算の影響が大きく、原材料価格の変動等により、1,912億54百万円(前期比16.3%増)となりました。利益面では、原価改善活動を継続的に推進しましたが、生産量が変動するため原価改善の効果が出づらいこともあり、販売価格の低下や原材料等の高騰をカバーするまでには至らず、営業利益は92億98百万円(前期比13.6%減)、経常利益は円安による為替差益の計上により、132億9百万円(前期比9.6%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は93億1百万円(前期比5.1%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。(プレス・樹脂製品事業)円安による為替換算の影響や、原材料価格の変動等により、当事業全体の売上高は1,368億6百万円(前期比19.7%増)となりました。利益面では、生産量の変動に伴う原価増やエネルギー価格の高騰の影響があるものの原価改善の効果等により、営業利益は49億77百万円(前期比1.1%増)となりました。
(バルブ製品事業)
円安による為替換算の影響により、当事業全体の売上高は542億7百万円(前期比8.4%増)となりました。利益面では、原材料価格の高騰等により、営業利益は42億58百万円(前期比26.9%減)となりました。
(その他) その他は主に情報関連等のサービス事業から成っており、売上高は2億40百万円(前期比22.4%増)、営業利益は8百万円(前年同期は営業損失31百万円)となりました。
なお、セグメント別の金額は、セグメント間取引の消去後の数値であります。
当連結会計年度末の資産合計は2,580億58百万円となり、前連結会計年度末と比較して126億18百万円の増加となりました。 資産の部では、流動資産は906億90百万円となり、前連結会計年度末と比較して83億39百万円の増加となりました。これは主に現金及び預金が50億74百万円、棚卸資産が26億49百万円増加したことによるものであります。 固定資産は1,673億67百万円となり、前連結会計年度末と比較して42億79百万円の増加となりました。これは主に、時価評価および売却等に伴い投資有価証券が18億36百万円減少しましたが、有形固定資産が75億75百万円増加したことによるものであります。 負債の部では、流動負債は526億35百万円となり、前連結会計年度末と比較して77億25百万円の増加となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が12億5百万円増加したことによるものであります。 固定負債は667億1百万円となり、前連結会計年度末と比較して34億45百万円の減少となりました。これは主に、長期借入金が17億48百万円、繰延税金負債が14億12百万円減少したことによるものであります。 純資産の部は、その他有価証券評価差額金が21億84百万円減少しましたが、利益剰余金が65億74百万円、円安の進行に伴い為替換算調整勘定が55億52百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末から83億38百万円増加し1,387億21百万円となりました。 以上の結果、自己資本比率は53.4%となり、前連結会計年度末と比較して、0.6ポイント増加しました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べて49億84百万円増加し、315億93百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、241億29百万円の収入(前期は183億17百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益129億11万円、減価償却費181億95百万円による増加と、法人税等の支払額37億59百万円、その他の流動資産の増減額10億73百万円の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、164億28百万円の支出(前期は171億89百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出164億45百万円の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、35億9百万円の支出(前期は40億59百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額27億26百万円の減少によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(百万円)
前期比(%)
プレス・樹脂製品事業
134,221
19.8
バルブ製品事業
51,359
9.2
合計
185,581
16.7
(注) 1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。2 その他については、生産実績の把握が困難でありますのでその記載を省略しております。
b.受注実績当社グループでは、プレス・樹脂製品事業、その他の一部で受注生産を行っておりますが、受注額および受注残高が少額であるため、その記載を省略しております。
c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前期比(%)
プレス・樹脂製品事業
136,806
19.7
バルブ製品事業
54,207
8.4
その他
240
22.4
合計
191,254
16.3
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度(自 2021年4月1日至 2022年3月31日)
当連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)
販売高(百万円)
割合(%)
販売高(百万円)
割合(%)
トヨタ自動車㈱
49,856
30.3
49,312
25.8
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 経営成績に関する分析(売上高)当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症対策と経済活動の両立が進む中、中国におけるゼロコロナ政策や、ウクライナ情勢の長期化が資源価格の高騰に拍車を掛け、インフレ抑制のための利上げにより景気が減速し、厳しい状況で推移しました。このような中、当社グループでは、社員の感染防止に努め、人員・部材の確保等を行い、生産量変動に合わせた生産活動を行ってまいりました。その結果、円安による為替換算の影響とプレス鋼材価格等の上昇に伴う材料建値影響等により、第1四半期連結会計期間以降の売上高は、前期比で増収となり堅調に推移しました。第4四半期連結会計期間からプレス鋼材の有償受給化による減収影響もありましたが、引き続き円安基調の継続と材料建値影響により、通期では前期比267億円の増収となり年間を通じて過去最高となりました。プレス・樹脂製品事業は、円安による為替換算の影響とプレス鋼材価格等の上昇に伴う材料建値影響等により、第1四半期連結会計期間以降の連結売上高は、前期比で増収となり堅調に推移しました。第4四半期連結会計期間からプレス鋼材の有償受給化による減収影響もありましたが、通期では前期比225億円の増収となりました。バルブ製品事業は、円安による為替換算の影響により、第1四半期連結会計期間以降の連結売上高は、前期比で増収となり、通期では前期比42億円の増収となりました。
(利益)半導体不足の状況が緩和され、主要顧客の自動車生産が回復してきたことにより販売物量が増加し、連結営業利益への影響は通期で16億円の増益となり、グループを挙げた原価改善の推進により22億円の増益影響がありましたが、販売価格の低下による26億円、材料価格高騰による14億円、販売物量の増加による労務費の増加13億円、エネルギー価格の高騰等の減益影響により、連結営業利益は前期比14億円の減益となりました。プレス・樹脂製品事業は、販売価格の低下や設備投資の増加による減価償却費の増加、生産量の変動に伴う原価増やエネルギー価格の高騰の影響がありましたが、主要顧客の自動車生産の回復による販売物量の増加や原価改善等により、通期では前期並みの49億円となりました。バルブ製品事業は、原価改善効果等はありましたが、材料価格の高騰等により、通期では前期比15億円の減益となる42億円となりました。
② 財政状態に関する分析(資産および負債)売上の増加に伴い、流動資産のうち受取手形、売掛金および棚卸資産が増加しております。同じく、流動負債のうち支払手形及び買掛金が増加しております。戦略的な設備投資の実施の結果、固定資産のうち有形固定資産が増加しております。また、投資有価証券が時価評価および資本効率の向上を目的とした保有株式見直し等に伴い減少しております。なお、有利子負債は、総額612億17百万円であり、前連結会計年度末比8億83百万円減少しております。その内訳は、短期借入金10億15百万円(前連結会計年度末比同額)、1年内返済予定を含む長期借入金602億2百万円(前連結会計年度末比8億83百万円減少)であります。短期借入金は主に運転資金に、長期借入金は主に設備投資資金に充当しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報(キャッシュ・フロー)当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(財務政策)当社グループは、運転資金、設備資金および株式取得資金につきましては主に、自己資金、金融機関からの借入、社債発行により資金調達することを基本としております。このうち自己資金につきましては、グループ内資金を有効活用するため、グループ会社間での資金貸借を実施しております。借入につきましては、運転資金は短期借入金で、設備資金や株式取得資金などの長期資金は長期借入金で調達することを基本としております。
④ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、過去の実績等を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、見積りに用いた仮定には不確実性があるため、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。なお、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の(重要な会計上の見積り)、「2 財務諸表等 注記事項」の(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
⑤ 経営上の目標の達成状況に関する分析中期経営計画「OCEAN-22」の2022年度(2023年3月期)目標連結売上高1,750億円に対し、最終連結会計年度である2022年度(2023年3月期)実績の連結売上高は1,912億円(前期比267億円増)となりました。目標に対する達成状況については、計画策定時に想定しておりました生産物量に対し、新型コロナウィルス感染症の影響による大幅な減少や、収益認識会計基準適用の影響はあるものの、新製品開発や拡販など各事業での取り組みは概ね計画どおりに進捗しました。また、為替レートが想定以上に円安となったこともあり売上高は目標達成となりました。また2022年度の目標連結営業利益率7%台に対し、2022年度実績は4.9%(前期は6.5%)となりました。目標に対する達成状況については、2020年度からのコロナ禍において原価改善や固定費圧縮など、収益改善のスピードを上げて取り組み、成果を出してきたものの、物量変動による固定費負担の増加や、材料価格・エネルギー価格の高騰による影響で営業利益率は目標未達となりました。2022年度の目標ROA(営業利益)6%台に対し、2022年度実績3.7%(前期は4.6%)となりました。目標に対する達成状況については、営業利益率が目標未達になったことに加え、拡販のための投資や円安に伴う為替換算等により総資産が増加したことに伴いROA(営業利益)は目標未達となりました。「OCEAN-22」の振り返りを行い、長期的なあるべき姿からバックキャスティングする視点を取り入れ、グローバルを含め全部門の意見を踏まえて検討し、中長期経営構想「Beyond the OCEAN」を策定しました。また、中期的なマイルストーンとしての中期経営計画は、2026年までの4年間を期間とし、「NEXUS-26」としました。資本効率を高め、持続可能な成長を実現を目指し、2026年度の目標値を、売上高2,100億円、営業利益率7%以上、ROE8%以上としております。着実な実行を通して、ステークホルダーの皆様とともに、持続可能な社会の実現と持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
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