【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況当事業年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が残る中、行動制限の緩和により国内旅行支援や大規模イベントの開催、海外からの旅行客増加に伴うインバウンド消費の増加など、経済活動正常化への動きが活発化いたしました。一方、原材料・エネルギー価格の高騰による物価の上昇、消費者の購買行動の抑制など不安材料もあり引続き不透明な状況が続いております。このような経営環境の下、当社は中期経営計画に掲げた企業ミッション「『必要必在』と『生活提案』で、地域社会の喜びと夢を共創する」を具現化するため様々な施策を実行いたしました。来店されたお客様の究極のワンストップ・ショッピングを実現するための『必要必在』のアクションでは、プロ職人が使用する専門性の高い資材・素材・工具等の積極的投入、防災用品コーナーの見直しと拡張を実施するなど各商品グループの品揃えを増強し、さらに通年EDLP(エブリデイ・ロープライス)商品を拡充するなど、お客様に安心してお買い物を楽しんでいただける価格設定にも取り組みました。また『生活提案』のアクションでは、変化するお客様の潜在的ニーズや要望に的確に対応した商品をセレクトする専門の担当者を配置し、海外直輸入商材を拡充、また当社独自のプレミアム商品の企画・開発等にも注力、新生活空間の提案を行い発見のある魅力的な売場づくりに取り組み、他社との差別化を図っております。2023年4月には、これらの取り組みを具現化した新店舗「ジョイホンパーク吉岡」を群馬県北群馬郡吉岡町にオープンいたしました。パーク全体の共通コンセプトとして「すべての日常に、エンタメを。」を掲げ、知的好奇心を揺さぶる「非日常体験」を演出し、「何度でも繰り返し行きたい」を感じさせる唯一無二の広域商圏型ワンストップショッピングパークを目指しております。また当店舗では「住まいのコンシェルジュ」として、お客様のニーズに合わせホームセンター事業とリフォーム事業が一体となった多角的なコンサルティング営業を展開しております。当社としては、12年ぶりに新規オープンした超大型店でありフラッグシップショップとして、既存店とのコラボレーションによる地域ドミナント化を推進しております。また地球温暖化対策や温室効果ガスの排出量削減に向けた取り組みである「SDGsのソリューションを地域社会と共創」においては、脱炭素・地域の環境に配慮した施策として、自社店舗商圏内での再生可能エネルギーを活用、太陽光発電・蓄電池システムを導入し、カーボン・ニュートラルの実現に向けて取り組んでおります。当事業年度においては、ファッションクルーズひたちなか店、幸手店、新田店、ジョイホン吉岡店の4店舗で太陽光発電の運用を開始しており、今後も順次導入店舗を拡大してまいります。将来的には、店舗施設で生み出された太陽光発電によるグリーンエネルギーを地域にめぐらせる次世代店舗「GXStore」を構築し地域内での防災・減災拠点として、電力の地産地消ネットワークによる循環型ビジネスの具現化に向けた取り組みを推進してまいります。また、当社の全施設に消費電力を一元管理するシステムを導入、当日の店舗の状況等からAIが導き出した「最適な省エネ行動」に基づき、毎日具体的な行動計画を配信し、従業員一人ひとりが適時適切な行動を実行することで、電力使用量の抑制、削減に効果を発揮しております。こうした施策を推進する一方で、地政学的なリスクに端を発した想定を超える光熱費の高騰等により利益面や従業員の生活にも大きな影響がありました。このような環境の中、従業員の生活水準の維持向上のためベースアップを実施するなど、誰もが普段の生活に不安なく、安心して意欲的に勤務できる職場環境づくりへの投資を実施しております。これらの施策に取り組んでまいりました結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(イ) 財政状態当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ44億96百万円増加し、1,609億27百万円となりました。当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ9億88百万円増加し、415億98百万円となりました。当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ35億7百万円増加し、1,193億29百万円となりました。(ロ) 経営成績当事業年度の売上高は1,233億62百万円(前事業年度比0.2%減)、営業利益は110億95百万円(前事業年度比9.3%減)、経常利益は122億40百万円(前事業年度比7.4%減)、当期純利益は85億28百万円(前事業年度比23.2%減)となりました。
なお、主要分野別および商品グループ別の売上状況は以下のとおりとなっております。
(主要分野別および商品グループ別の売上状況)(a)「住まい」に関する分野原材料・配送費の高騰や円安に伴う原価上昇の影響で値上げ傾向が続く中、的確なタイミングで販売価格に転嫁することにより、利益率への圧迫を抑制することに注力してきました。木材や鋼材等の素材は事業年度半ばにピークを迎えた後も高止まりが続き、高価格品の買い控え傾向が見られましたが、プロ用工具やブランド作業服等の高付加価値品への移行を政策的に進め、1品当たりの販売価格の下落を抑制するよう努めました。コロナ禍で大きく伸長した家庭菜園用品や観葉植物等は頭打ちとなりました。2022年夏は早い梅雨明けから猛暑が到来し、散水、日よけ、空調機能付き作業服等がよく動きましたが、感染症ウイルスの大規模蔓延(第7波)で、来店客数が急激に失速する動きもありました。前事業年度から続いていた半導体不足は徐々に改善され、年末には給湯器等の納品遅延はほぼ解消されました。冬は急激な寒波が到来し、凍結対策商材が動きました。また、防犯意識の高まりで、防犯カメラやセンサーライトの販売が伸長したことや、先進的設備導入を促す政策により高断熱サッシが動いたことも売上高に貢献しました。以上の結果、当事業年度における「住まい」に関する分野の売上高は、707億28百万円(前事業年度712億13百万円、前事業年度比99.3%)となりました。
(b)「生活」に関する分野感染症ウイルスが、蔓延と収束を繰り返す中、徐々に外出が盛んになりレジャー関連商材が売上を伸ばしました。旅行用品や化粧品等が伸び、またペットフードは高機能商品の販売に注力することで売上を伸ばしました。事業年度半ばにはコロナ5類移行報道があり、コロナ禍で大きく伸長していたマスクや除菌剤等は頭打ちとなり、調理用品や室内収納用品等の巣籠もり需要も減少しました。電気料金の高騰が続き節電意識の高まりから、猛暑では扇風機、寒波では石油暖房器具が売上を伸ばしました。当事業年度内で複数回にわたり、飲料メーカー等による値上げ発表がありましたが、利益率を圧迫せず、かつお客様の理解を得られるレベルで販売価格に転嫁してまいりました。以上の結果、当事業年度における「生活」に関する分野の売上高は、526億33百万円(前事業年度523億41百万円、前事業年度比100.6%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べ74億97百万円減少し349億84百万円(同比17.6%減)となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、98億7百万円の収入(前事業年度比25.0%増)となりました。これは主に税引前当期純利益122億50百万円、減価償却費29億52百万円、棚卸資産の増加24億96百万円、法人税等の支払額18億36百万円、売上債権の増加6億72百万円、未払消費税等の減少4億49百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、77億38百万円の支出(前事業年度は、13億67百万円の収入)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出86億49百万円、無形固定資産の取得による支出1億80百万円、有形固定資産の売却による収入12億58百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、95億66百万円の支出(前事業年度比21.7%減)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出41億27百万円、配当金の支払額28億89百万円、自己株式の取得による支出25億0百万円によるものであります。
③仕入及び販売の状況
(a) 商品仕入実績仕入実績を主要分野別および商品グループ別に示すと、次のとおりであります。(単位:百万円)
商品グループ
前事業年度(自 2021年6月21日至 2022年6月20日)
当事業年度(自
2022年6月21日至
2023年6月20日)
前事業年度比(%)
①住まい(a)資材・プロ用品(b)インテリア・リビング(c)ガーデン・ファーム(d)リフォーム②生活(a)デイリー・日用品(b)ペット・レジャー(c)その他
46,50314,44810,70410,99010,35938,66128,8099,078773
47,17614,99911,01911,3249,83338,54528,5539,687304
101.4103.8102.9103.094.999.799.1106.739.3
合計
85,164
85,721
100.7
(b) 販売実績販売実績を主要分野別および商品グループ別に示すと、次のとおりであります。(単位:百万円)
商品グループ
前事業年度(自 2021年6月21日至 2022年6月20日)
当事業年度(自
2022年6月21日至
2023年6月20日)
前事業年度比(%)
①住まい(a)資材・プロ用品(b)インテリア・リビング(c)ガーデン・ファーム(d)リフォーム②生活(a)デイリー・日用品(b)ペット・レジャー(c)その他
71,21322,40217,29417,17714,33952,34136,34714,9551,038
70,72822,37517,36716,97814,00752,63336,14015,4911,000
99.399.9100.498.897.7100.699.4103.696.4
合計
123,555
123,362
99.8
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、主なものは以下のとおりであります。・固定資産の減損会計当社は、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。損益報告などの企業内部情報と、経済環境や資産の市場価格など企業外部情報に基づき、資産または資産グループごとの減損の兆候を判定し、将来の経済環境や市場環境の変化を加味した上でその資産の帳簿価額の回収が見込めるかを考慮し、減損損失の認識を判定しております。減損損失を認識すべきと判断した場合には、資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損処理しております。回収可能価額の算定に当たっては、外部の情報源に基づく情報等を含む、財務諸表作成時において入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しておりますが、新型コロナウイルスの再拡大による店舗の臨時休業など、将来の不確実な経済条件の変動等により、将来キャッシュ・フローの見積額や回収可能価額の見直しが必要となった場合、翌事業年度以降の財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。
なお、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容(イ)財政状態資産は、前事業年度末に比べ44億96百万円増加し、1,609億27百万円となりました。これは主として、有形固定資産の増加72億64百万円、商品の増加25億36百万円、流動資産その他の増加8億35百万円、売掛金及び契約資産の増加6億72百万円、現金及び預金の減少74億97百万円によるものであります。負債は、前事業年度末に比べ9億88百万円増加し、415億98百万円となりました。これは主として、未払法人税等の増加22億95百万円、資産除去債務の増加21億14百万円、未払金の増加6億8百万円、長期借入金(1年内返済予定含む)の減少41億27百万円によるものであります。純資産は、前事業年度末に比べ35億7百万円増加し、1,193億29百万円となりました。これは主として、当期純利益85億28百万円の計上および配当金の支払い28億90百万円、自己株式の取得24億99百万円、その他有価証券評価差額金の増加2億90百万円によるものであります。
(ロ)経営成績
(売上高)
当事業年度においては、中期経営計画に掲げた企業ミッション「『必要必在』と『生活提案』で、地域社会の喜びと夢を共創する」を具現化するため様々な施策を実行いたしました。まず、『必要必在』のアクションでは、プロ職人が使用する専門性の高い資材・素材・工具等の積極的投入、防災用品コーナーの見直しや拡張など品揃えの増強、さらに、通年EDLP(エブリデイ・ロープライス)商品の拡充にも取り組みました。次に、『生活提案』のアクションでは、変化するお客様の潜在的ニーズや要望に的確に対応した商品をセレクトできる専門担当者の配置、海外直輸入商材の拡充、当社独自のプレミアム商品の企画・開発、新生活空間の提案など魅力的な売場づくりに取り組みました。また、2023年4月には、これらの取り組みを具現化した新店舗「ジョイホンパーク吉岡」を群馬県北群馬郡吉岡町にオープンしております。以上のような取り組みを行いましたが、結果として売上高は、前事業年度に比べ1億93百万円減少し、1,233億62百万円(前事業年度比0.2%減)となりました。
(売上総利益・営業利益・経常利益)売上総利益は、昨年に引き続き「マージン改善とコストコントロールの継続」に取り組んだ結果、前事業年度に比べ13百万円増加し、400億14百万円(同比0.0%増)となりました。営業利益は、光熱費の高騰や新店にかかる諸経費の発生等により、販売費及び一般管理費が増加したため、前事業年度に比べ11億42百万円減少し、110億95百万円(同比9.3%減)となりました。経常利益は、営業外収益の増加と営業外費用の減少もありましたが、前事業年度に比べ9億84百万円減少し、122億40百万円(同比7.4%減)となりました。
(当期純利益)
当期純利益は、固定資産売却益の減少、減損損失の計上、法人税等の増加等により、前事業年度に比べ25億69百万円減少し、85億28百万円(同比23.2%減)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性について当社における資金需要の主なものは、運転資金(商品の仕入、販売費及び一般管理費の営業費用)および設備投資資金であります。当社の資金の源泉は主として、営業活動によるキャッシュ・フローおよび金融機関からの借入による資金調達となります。