【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(業績等の概要)
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。
a.財政状態 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比5,360百万円増加し、195,378百万円となりました。負債は、前連結会計年度末比779百万円増加し、114,671百万円となりました。純資産は、前連結会計年度末比4,580百万円増加し、80,707百万円となりました。
b.経営成績当連結会計年度の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限が徐々に緩和される中で経済活動正常化へ向けた動きがみられました。景気は緩やかな回復基調で推移し、個人消費や設備投資、雇用情勢で持ち直しの動きがみられました。一方でウクライナ情勢の長期化によるエネルギー・原材料価格の高騰、世界的な金融引締めが進む中での円安の加速、物価上昇など、先行きの不透明な状況が続きました。このような状況の下、当社グループの連結売上高は212,817百万円(前期比3.3%増)、連結経常利益は7,983百万円(同11.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,251百万円(同12.2%減)となりました。
セグメントの業績は次のとおりです。 段ボール段ボールの国内需要は、行動制限の緩和による外出機会の増加により食料品や通販分野で堅調に推移しましたが、物価上昇による消費者マインドの冷え込みの影響もあり、生産量は前年並みで推移しました。当社グループは、主材料である原紙の二度にわたる大幅な値上げやエネルギー価格、輸送費などの上昇に対し、期初から製品値上げに取組んできましたが、一部決定時期のずれ込みもありその効果は次年度になる見込みです。一方、品質面での一級品作りを進めるとともに生産性や付加価値の向上、DX推進、労働環境の改善、ダイバーシティを含めた人材活用・人材育成に取組んでまいりました。また「ホワイト物流」推進運動の趣旨に賛同し、荷主・物流当事者として物流諸条件の改善を進め、加えて「パートナーシップ構築宣言」を公表し、取引先と持続可能な関係を築き、社会や環境に配慮した公平・公正な取引を行うよう努めております。段ボール工場では貼合機の各種生産管理装置を最新型に更新し品質面の強化や生産性の向上に取組んでまいりました。また、温室効果ガス排出削減に向けた取組みとして再生可能電力の導入や重油からガスへの燃料切替え、燃焼効率が良くCO2排出量の少ないボイラの導入、大型リフトのバッテリー車への切替など環境面での投資を進めてまいりました。紙器工場では新規設備導入により生産能力を増強するとともに新製品開発や提案営業の強化に取組み、販売量の拡大につなげました。海外では、米国の連結子会社であるサウスランドボックス社の敷地・建屋の拡張工事が完了し、最新鋭の貼合機と自動搬送装置を設置したことにより生産能力の飛躍的な改善につながりました。段ボールでは、売上高は109,939百万円(前期比9.9%増)となりましたが、原燃料コスト等の上昇により営業費用が増加し、営業利益は4,944百万円(同16.4%減)となりました。
住宅住宅市場においては、部材価格の高騰やエネルギー価格、物価上昇の影響を受け、新設住宅着工戸数は弱含みで推移しました。このような環境下、㈱スウェーデンハウスは「オリコン顧客満足度調査ハウスメーカー注文住宅」ランキングにおいて、2015年の調査開始以来9年連続で総合第1位を受賞しました。この高い評価を徹底的に訴求し高級ブランドイメージを浸透させるとともに、音声対話型に進化させた「VRモデルハウス・ウォークスルー」内覧サービスの強化や、新しいコンセプト商品「サキタテネスタ」などをリリースしてまいりました。㈱玉善は自社ホームページのリニューアルやテレビCM、折込広告などに注力し、新規集客の増加に取組んでまいりましたが、土地や部材など仕入価格の高騰に加え来場者数の落込みや住宅買い控えの影響を受け、販売棟数は減少しました。住宅の売上高は、販売棟数の減少により62,637百万円(前期比7.1%減)となりましたが、販売価格の改定や㈱玉善の買収時の棚卸資産に含まれる時価評価差額が売上原価に与える影響が解消したことにより、営業利益は2,037百万円(同9.5%増)となりました。
運輸倉庫運輸倉庫部門においては、例年より早い6月からの猛暑の影響や行動制限の緩和による旅行や外食など個人消費の持ち直しにより飲料関係の取扱数量が増加しました。また、環境に配慮したハイブリッド・EⅤトラックの導入やフォークリフトのバッテリー化を積極的に進めてまいりました。10月には体質強化をはかるため、トーウントラフィック㈱と関東宝樹運輸㈱を合併し㈱関東トーウンを設立しました。運輸倉庫の売上高は、飲料関係の取扱数量増加により40,240百万円(前期比4.3%増)となりましたが、燃料価格高騰等により営業利益は1,332百万円(同5.4%減)となりました。
(2) キャッシュ・フロー当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,685百万円減少し、14,882百万円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、7,013百万円の収入(前期は16,701百万円の収入)となりました。収入は主に税金等調整前当期純利益7,856百万円、減価償却費7,457百万円等によるもので、支出は主に法人税等の支払額3,138百万円によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、9,389百万円の支出(前期は18,216百万円の支出)となりました。主な支出は有形固定資産の取得による9,433百万円であります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、535百万円の収入(前期は4,117百万円の収入)となりました。主な収入は長期借入れによる8,998百万円で、主な支出は長期借入金の返済による6,467百万円であります。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
2019年3月期
2020年3月期
2021年3月期
2022年3月期
2023年3月期
自己資本比率(%)
43.3
44.0
39.3
39.8
41.0
時価ベースの自己資本比率 (%)
18.9
17.0
16.8
13.7
13.4
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)
5.1
3.9
5.6
4.0
9.9
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
50.5
81.7
67.9
44.6
14.7
(注)自己資本比率:自己資本/総資産 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い ※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。 ※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。※キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称
生産金額(百万円)
前年同期比(%)
段ボール
段ボール
82,841
119.5
印刷紙器
1,722
114.5
(注) 1 段ボール・印刷紙器の生産金額は製造原価で表示しております。2 当社グループ(当社及び連結子会社)が営んでいる住宅事業では、「生産」を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。
(2)
受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。なお、段ボールは受注生産でありますが、生産から販売までの製品の回転が早く期末における受注残高が少ないので別表に掲げる販売実績を受注とみて大差がありません。また、運輸倉庫も販売実績を受注とみて大差がないため記載を省略しております。
セグメントの名称
受注高
前年同期比(%)
受注残高
前年同期比(%)
住宅
881棟
75.5
492棟
77.1
(注)受注高、受注残高には提携店は含まれておりません。
(3) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
段ボール
109,939
109.9
住宅
62,637
92.9
運輸倉庫
40,240
104.3
合計
212,817
103.3
(注) 1 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
㈱伊藤園
20,889
10.1
21,599
10.1
2 セグメント間の取引については相殺消去しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
(1)財政状態の分析当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比5,360百万円増加し195,378百万円となりました。流動資産は受取手形、売掛金及び契約資産や電子記録債権の増加等により前連結会計年度末比2,415百万円増加し83,628百万円となりました。固定資産は土地他有形固定資産の増加等により2,945百万円増加の111,750百万円となりました。流動負債では借入金の増加等により18,215百万円の増加となりました。固定負債は長期借入金の減少等により17,435百万円減少し、負債の部合計では前連結会計年度末比779百万円増加の114,671百万円となりました。純資産の部は、利益剰余金の増加等により純資産が前連結会計年度末比4,580百万円増加し80,707百万円となりました。
(2)経営成績の分析①売上高当連結会計年度の売上高は212,817百万円で、前連結会計年度の206,007百万円に比べ6,810百万円の増収となりました。段ボールにおいては販売量の増加等により9,923百万円の増収、住宅においては販売棟数の減少により4,773百万円の減収、運輸倉庫では取扱数量の増加等により1,659百万円の増収となりました。②営業利益当連結会計年度の営業利益は7,452百万円で、前連結会計年度の8,331百万円に比べ879百万円の減益となりました。これは主にエネルギー・原材料価格の高騰等により売上原価が前連結会計年度に比べ増加したためであります。③経常利益当連結会計年度の経常利益は7,983百万円で、前連結会計年度の8,978百万円に比べ994百万円の減益となりました。これは主に上記の営業利益の減少のほか、為替差益が減少したためであります。④特別損益特別利益は前連結会計年度に比べ275百万円減少の34百万円となりました。これは主に投資有価証券売却益が264百万円減少したためであります。特別損失は前連結会計年度に比べ149百万円減少の162百万円となりました。これは主に減損損失が153百万円減少したためであります。⑤親会社株主に帰属する当期純利益以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は5,251百万円で、前連結会計年度の5,980百万円に比べ728百万円の減益となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、(業績等の概要)(2)キャッシュ・フローに記載のとおりであります。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入れのほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資及びM&Aによるものであります。当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金につきましては、金融機関からの長期借入及び社債発行等による資金調達を基本としております。なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は69,595百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は14,882百万円となっております。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。