【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①財政状態の状況
当第3四半期会計期間末における総資産は前事業年度末比2,170百万円増加し、41,188百万円となりました。
その主な要因は、現金及び預金が4,226百万円増加した一方、売上債権が1,526百万円、有形固定資産が1,147百万円減少したことによるものであります。
負債は、前事業年度末比4百万円増加の25,662百万円となりました。
その主な要因は、仕入債務が2,354百万円増加した一方、短期借入金が800百万円、長期借入金が1,050百万円減少したことによるものであります。
純資産は、四半期純利益を計上したこと等により前事業年度末比2,165百万円増加し、15,525百万円となり、自己資本比率は37.7%となりました。
②経営成績の状況
当第3四半期累計期間における二次電池業界は、世界的に脱炭素社会に向けた取組みが重視される中、各自動車メーカーはEVへのシフトをより一層鮮明にし、EV市場は拡大を続けております。米国におけるインフレ抑制法(IRA)の成立や、欧州連合がガソリン車の販売を2035年に事実上禁止することで合意するなど、官民一体となったサプライチェーン構築の動きがますます活発化しております。一方で、世界的なインフレなどの影響もあり、先進国を中心に元々予想されていた程の勢いは失われています。また、電池の資源材料の価格は、依然として高い水準で推移いたしました。
このような市場環境の中、当社の足下の業績は、苛性ソーダをはじめ各種原材料等や電気料金がさらに高騰し続けておりますが、販売価格への転嫁は想定通りには進んでおりません。また、半導体等の部材不足や世界的な景気後退局面において需要動向の先行きが不透明な状況となっております。かかる状況下、生産能力年間約5万トンに対する稼働率は5割程度と依然として低く推移していることに加え、減価償却費及び労務費のコスト先行の状況は変わっておらず業績採算面で非常に厳しい状況が続いております。一方で、2019年10月に契約締結いたしましたノースボルトに対する技術支援については第1四半期に5億円の収益計上をしております。また、当社製品の主原料であるニッケル及びコバルトの国際相場が、依然として高い水準で推移し、それらが反映される売上高が増加するとともに利益面で大幅な増加要因(23億円:(ご参考)(相場関連損益)に記載)となっております。
以上の結果、売上高44,636百万円(前年同四半期比58.0%増)、営業利益2,504百万円(前年同四半期比291.5%増)、経常利益2,393百万円(前年同四半期比338.8%増)、四半期純利益は2,161百万円(前年同四半期比326.0%増)となりました。
主要な製品用途別の販売数量の概況は以下のとおりです。なお、当社は二次電池事業の単一セグメントであるため、セグメントごとに記載しておりません。
「リチウムイオン電池向け製品」
前年同四半期比で1.3%の減少となりました。用途別の増減は次のとおりです。
・車載用途(割合85%)は、顧客ごとの販売数量の増減の影響により、前年同四半期比で2.7%の増加となりました。
・民生用途(割合15%)は、最終製品の需要減少により前年同四半期比で19.0%の減少となりました。
「ニッケル水素電池向け製品」
前年同四半期比で7.8%の減少となりました。用途別の増減は次のとおりです。
・車載用途(割合100%)は、世界的な半導体や部品不足による自動車減産の影響で主要顧客からの受注が減少し、前年同四半期比で7.5%の減少となりました。
(ご参考)
(ニッケル国際相場:円換算) (単位:円/kg)
4~6月平均
7~9月平均
10~12月平均
1~3月平均
2023年3月期
3,781
3,075
3,601
-
2022年3月期
1,917
2,126
2,274
3,069
(コバルト国際相場:円換算) (単位:円/kg)
4~6月平均
7~9月平均
10~12月平均
1~3月平均
2023年3月期
10,997
8,169
7,746
-
2022年3月期
5,128
6,014
7,535
9,264
※ ニッケル LME(ロンドン金属取引所)月次平均×TTS月次平均
コバルト LMB(ロンドン発行メタルブリテン誌)月次平均×TTS月次平均
(相場関連損益)
営業利益に含まれている、主原料の購入から製品の払出までの期間の主原料の相場変動等に由来する相場関連利益(損失は△)は、以下の通りです。
(単位:億円)
第66期
第3四半期累計期間
第67期
第3四半期累計期間
第66期
7
23
10
(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期累計期間の研究開発費の総額は538百万円(売上高比1.2%)となっております。(四半期損益計算書上は試作品売却収入74百万円を控除した464百万円を計上しております。)
なお、当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。