【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もありましたが、景気は緩やかな持ち直しが続きました。一方、世界的な金融引締め等を背景とした海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクがある中、日銀による金融緩和政策の部分修正もあり、物価上昇や供給面での制約、金融資本市場の変動等への影響には引き続き注意が必要な状況です。
我が国航空業界におきましては、10月に実施された政府による各種水際対策の大幅緩和により訪日客数は上向き傾向にあるものの、中国からの観光客や日本発の旅行需要などの回復は遅れており、国際線の回復にはまだ時間が掛かるものと思われます。国内線は政府による全国旅行支援の後押しもあり旅行需要に回復傾向が見られ、コロナ感染者数の高止まりが続く中でも厳しい行動制限が取られなかったこと等により、年末年始の需要は前年の実績を上回りました。今後も水際対策の緩和や経済底上げのための各種取り組みがさらに進展して行くことで、航空需要の回復につながることが期待されます。
このような経済情勢のもと、当社グループの連結業績につきましては、前期に計上したコロナ禍における対応としての航空会社等への賃料等減免を実施していないことや、前年同期に比べると熱供給販売量の増加や給排水使用量の回復傾向が続いたこと等により、売上高は19,039百万円(前年同期比7.2%増)となりました。営業利益は羽田空港一丁目プロジェクト開始に伴う資産除去債務関連の減価償却費増加や、熱供給における原材料費の増加があり2,596百万円(同15.1%減)、経常利益は不動産取得税の確定精算に伴う戻入益の発生や受取配当金の増加があったものの、諸工事の撤去費用引当金繰入額が増加し2,424百万円(同15.9%減)となりました。また、21年3月期における法人税及び消費税の修正申告を行ったことによる特別利益の計上があった他、京都のホテル用賃貸物件の譲渡契約成立に伴い、見込まれる税金費用の減少を見積実効税率へ反映したこと等により、親会社株主に帰属する四半期純利益は2,287百万円(同20.0%増)となりました。
セグメント別の業績は、次の通りであります。
①不動産賃貸事業
不動産賃貸事業は、コロナ禍対応としての航空会社等への賃料減免を実施していないこと等により、売上高は14,767百万円(前年同期比4.5%増)となりましたが、資産除去債務関連の償却費の増加等により、営業利益は2,091百万円(同17.2%減)となりました。
②熱供給事業
連結子会社の東京空港冷暖房㈱における熱供給事業は、コロナ禍対応としての航空会社等への熱料金減免を実施していないことや、販売量が冷温熱共に前年同期よりも増加傾向で推移したこと等により、売上高は2,556百万円(同18.7%増)となりました。その一方で、電気・ガス料金単価の上昇に伴う原材料費の増加が著しく、営業利益は383百万円(同27.9%減)となりました。
③給排水運営その他事業
給排水運営事業は、コロナ感染症拡大下でも今期は行動制限が発出されていないこと等もあり、前年同期に比べ空港利用者の増加に伴う給排水使用量の回復傾向が続きました。その他事業も含めた売上高は1,715百万円(同16.6%増)、営業利益は121百万円(前年同期は2百万円)となりました。
また、中長期経営計画実現に向けた動きでは、重点施策のひとつに掲げているノンアセット事業の拡大を着実に推進するため、専門子会社「AFCアセットマネジメント株式会社」を設立し6月より事業を開始している他、新たな事業領域拡大への取り組みとして、7月初旬に航空機ファンドとの出資契約を締結しております。引き続きグループ一丸となって事業活動を推進してまいります。
(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3) 経営方針・経営戦略等
〈経営方針〉
当社グループは、2022年10月1日付で新たに企業理念を制定いたしました。以下の企業理念に則り、会社の経営を行ってまいります。
企業理念 : 「私たち空港施設グループは、価値ある施設とサービスの提供を通じて、
航空の未来と魅力ある街づくりに貢献します。」
“お客様に価値ある施設・サービスを提供する”-これは創業以来の変わることのない私たちの使命です。安全・安心はもとより、快適性やサステナブルな社会の構築に向けた環境への配慮など、今後も創業以来50年余りの期間にわたり培ってきた専門的な知見と経験に基づき、お客様や社会の求める付加価値の高い施設とサービスを提供してまいります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、経営戦略等については重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
該当事項はありません。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因
当第3四半期連結累計期間において、経営成績に重要な影響を与える要因について重要な変更はありません。
(7) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、国有財産年間使用料の前払費用計上や新規融資による営業貸付金の増加等があるものの、資産除去資産の償却等により、前連結会計年度末比798百万円減少の101,669百万円となりました。
負債は、長期借入金の返済等により、前連結会計年度末比4,116百万円減少の43,045百万円となりました。
純資産は、利益剰余金や為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末比3,317百万円増加の58,623百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は55.0%と前連結会計年度末に比べ3.6ポイント増加しました。