【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①財政状態
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に対して337億円増加し、1兆3,753億円となりました。これは主に円安による為替影響が大きく、現金及び現金同等物の増加44億円、棚卸資産の増加183億円、有形固定資産の増加62億円などによるものです。
負債合計は、前連結会計年度末に対して76億円減少し、6,064億円となりました。これは主に、仕入債務及びその他の債務の減少145億円などがあったことによるものです。
なお、親会社の所有者に帰属する持分合計は、前連結会計年度末に対して414億円増加し、7,688億円となりました。これは主に、親会社の所有者に帰属する四半期利益201億円の計上、および在外営業活動体の換算差額を主因としたその他の包括利益348億円の計上があった一方で、配当金の支払い135億円があったことなどによるものです。
②経営成績
当第1四半期連結累計期間における経済環境を顧みますと、高インフレや各国の金融引き締めが継続しており、世界景気の減速が強まる状況となっています。とりわけ、中国における景気回復ペースの鈍化が、世界経済に大きな影響となっています。また、米国消費はこれまで堅調を維持しているものの、今後の欧米経済は景気後退に陥る懸念が高まる状況となっており、さらに新興国における経済成長率も減速となっています。なお、商品市場別の状況としましては、特に半導体を中心としたデバイス市場において、これまでの特需から急速な需要減となった影響から在庫調整局面となっており、大幅な落ち込みとなっています。
今後につきましても、世界的な高インフレや景気減速が長期化する等のリスクが想定されており、先行き不透明な状況にありますので、今後の動向を引き続き注視していきます。
当第1四半期連結累計期間の米ドルおよびユーロの平均為替レートはそれぞれ137.18円および149.40円と前年同期に比べ、米ドルは6%の円安、ユーロは8%の円安に推移しました。また、南米など新興国の通貨については円安に推移しました。
このような状況の中、売上収益は、円安進行による為替のプラス影響を受け、プリンティングソリューションズ事業セグメントやビジュアルコミュニケーション事業セグメントを中心に増加し、前年同期を上回る3,148億円(前年同期比5.7%増)となりました。
事業利益は、マイクロデバイス事業における大幅な減収による影響が大きく、円安による為替のプラス影響はありましたが、前年同期を下回る155億円(同31.1%減)となりました。また、営業利益は197億円(同36.8%減)、税引前利益は282億円(同23.7%減)となりました。親会社の所有者に帰属する四半期利益は201億円(同24.3%減)となりました。
※ 事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。
報告セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
(プリンティングソリューションズ事業セグメント)
オフィス・ホームプリンティング事業の売上収益は増加となりました。インクカートリッジモデル本体の販売数量は大幅な減少となりましたが、大容量インクタンクモデル本体の販売数量が新興国での販売増によって増加となったほか、高速ラインインクジェット複合機の新製品投入によるオフィス共有IJPの売上増や、為替のプラス影響が加わり、インクジェットプリンター本体の売上は増加となりました。インクジェットプリンターの消耗品売上は、インクカートリッジ、大容量インクタンクモデルのインクボトル、オフィス共有IJPのインクのいずれも増加となりました。
商業・産業プリンティング事業の売上収益は大幅な増加となりました。商業・産業IJP本体の売上は、金利上昇に伴う投資需要の減少等で欧米向け販売が減少したものの、中国でゼロコロナ政策があった前年同期と比較して需要回復があったこと、また為替のプラス影響により増加となりました。商業・産業IJPの消耗品売上は、北米において大口顧客向けインク需要が減少した前年同期と比較して売上増となったことや、為替のプラス影響があったことで増加となりました。小型プリンターは、供給制約のあった前年同期に対して大幅な売上増となりました。
プリントヘッド外販ビジネスは、中国向けを中心に需要が増加し、大幅な売上増となりました。
プリンティングソリューションズ事業セグメントのセグメント利益は、価格対応や固定費抑制を行ったこと、また為替のプラス影響により増加となりました。
以上の結果、プリンティングソリューションズ事業セグメントの売上収益は2,151億円(前年同期比8.8%増)、セグメント利益は223億円(同6.0%増)となりました。
(ビジュアルコミュニケーション事業セグメント)
ビジュアルコミュニケーション事業セグメントの売上収益は、北米を中心とした教育市場での売上増、製品供給不足解消に伴う新興国を中心とした売上増により、大幅な増加となりました。
ビジュアルコミュニケーション事業のセグメント利益は、増収影響に加え、為替のプラス影響で増加となりました。
以上の結果、ビジュアルコミュニケーション事業セグメントの売上収益は529億円(前年同期比15.9%増)、セグメント利益は67億円(同5.9%増)となりました。
(マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメント)
マニュファクチャリングソリューションズ事業の売上収益は、中国市場での売上減の影響が大きく、大幅な減少となりました。
ウエアラブル機器事業の売上収益は、国内でのインバウンド需要などによる売上増があったものの、中国や欧米を中心とした市場減速の影響を受け、減少となりました。
マイクロデバイス事業の売上収益は、大幅な減少となりました。水晶デバイスは、市場での在庫調整影響に伴う需要減により、中国向けを中心に大幅な売上減となりました。半導体は、部材不足による生産制約のあった前年同期と比較し、売上増となりました。
マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメントのセグメント利益は、マイクロデバイス事業を中心とした売上減の影響が大きく、大幅な減少となりました。
以上の結果、マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメントの売上収益は473億円(前年同期比15.4%減)、セグメント利益は7億円(同90.8%減)となりました。
(調整額)
報告セグメントに帰属しない基礎研究に関する研究開発費や新規事業・本社機能に係る収益、費用の計上などにより、報告セグメントの利益の合計額との調整額が△143億円(前年同期の調整額は△134億円)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは273億円の収入(前年同期は123億円の支出)となりました。これは四半期利益が201億円であったことや、売上債権の減少211億円などの増加要因があったことによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産および無形資産の取得による支出138億円などがあったことにより、209億円の支出(前年同期は185億円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い135億円などがあったことにより、159億円の支出(前年同期は130億円の支出)となりました。
以上の結果、当第1四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は、為替変動の影響を合わせて、前連結会計年度末から44億円増加し、2,717億円となりました。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、エプソンが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、エプソンが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるエプソンの研究開発活動の金額は109億円です。
なお、当第1四半期連結累計期間において、エプソンの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。