【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における世界経済は、先進国を中心に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による影響からの正常化に向けた動きが継続しましたが、昨年末からの変異株による感染再拡大に加え、ロシアのウクライナ侵攻が拍車をかけた原材料費や、エネルギー価格の高騰など、不安定な状況となりました。国内経済は、COVID-19の影響が継続したことに加え、為替相場の円安傾向や各種資材等の価格上昇に伴い不透明感が高まりました。 半導体・電子部品業界の市場は、テレワークやオンライン教育の定着及びOS更新に伴う切り替え需要によりパソコン市場が引き続き好調に推移したことに加え、データセンター向けを中心としたサーバー市場が堅調に推移したこともあり、全体として成長傾向で推移しました。 自動車業界の排気系部品市場は、昨年度の夏場以降はCOVID-19の影響から緩やかな回復基調にありましたが、世界的な半導体不足に伴う影響等により厳しい状況が継続しました。 このような情勢のもと、当社におきましては、2018年度から始動した5ヵ年の中期経営計画「To The Next Stage 110 Plan」の最終年度目標の達成に向け、人財育成を基盤に、伸びる市場に対して積極的に経営資源を投入し、既存事業の競争力強化と新規事業の拡大による安定した成長の実現に向けた取り組みを進めております。これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
①財政状態及び経営成績の状況
(ア)財政状態当連結会計年度末における総資産は6,643億32百万円(前年同期比14.8%増)となりました。流動資産は3,632億70百万円(同27.3%増)、固定資産は3,010億62百万円(同2.7%増)となりました。当連結会計年度末の負債合計は、2,936億3百万円(同14.4%増)となりました。流動負債は1,561億60百万円(同18.4%増)、固定負債は1,374億43百万円(同10.2%増)となりました。当連結会計年度末の純資産合計は3,707億28百万円(同15.2%増)となりました。
(イ)経営成績当連結会計年度の売上高は4,011億38百万円と前連結会計年度に比べ776億77百万円(24.0%)増加しました。営業利益は708億21百万円と前連結会計年度に比べ321億86百万円(83.3%)増加しました。経常利益は743億94百万円と前連結会計年度に比べ336億77百万円(82.7%)増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益は412億32百万円と前連結会計年度に比べ155億34百万円
(60.4%)増加しました。セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(電子事業)電子事業の売上高は2,369億81百万円となり、前連結会計年度に比べ42.7%増加しました。同事業の営業利益は、551億13百万円となり、前連結会計年度に比べ98.2%増加しました。
(セラミック事業)セラミック事業の売上高は906億78百万円となり、前連結会計年度に比べ3.8%増加しました。同事業の営業利益は87億18百万円となり、前連結会計年度に比べ88.2%増加しました。
(その他事業)その他事業の売上高は734億79百万円となり、前連結会計年度に比べ4.9%増加しました。同事業の営業利益は70億90百万円となり、前連結会計年度に比べ8.2%増加しました。
②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,855億92百万円となり、前連結会計年度末より587億7百万円増加しました。各キャッシュ・フローの概要は、次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によって得られた資金は、1,083億72百万円(前連結会計年度389億54百万円)となりました。これは主に減価償却費527億15百万円、税金等調整前当期純利益592億52百万円等による増加と売上債権の増加19億22百万円、棚卸資産額の増加176億1百万円等による減少によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動に使用された資金は、677億22百万円(前連結会計年度823億45百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出662億円による減少等によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によって得られた資金は、139億35百万円(前連結会計年度は62億36百万円の財務活動に使用された資金)となりました。これは主に社債の発行による収入350億円による増加と、社債の償還による支出150億円や配当金の支払額55億95百万円による減少等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(ア)生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(百万円)
前年同期比(%)
電子
239,930
48.5
セラミック
91,726
8.7
その他
14,336
11.6
合計
345,992
33.7
(注) 金額は、販売価格によっております。
(イ)受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前年同期比(%)
受注残高(百万円)
前年同期比(%)
電子
190,919
41.3
17,088
4.3
合計
190,919
41.3
17,088
4.3
(注) セラミック及びその他部門は主として見込生産であります。
(ウ)販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
電子
236,981
42.7
セラミック
90,678
3.8
その他
73,479
4.9
合計
401,138
24.0
(注)
1
主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
販売高(百万円)
割合(%)
販売高(百万円)
割合(%)
Intel
Corp.
115,550
35.7
173,637
43.3
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、これらの記載には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断しております。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(ア)経営成績等
a.財政状態
(資産合計)当連結会計年度末における総資産は6,643億32百万円(前年同期比14.8%増)となりました。流動資産は3,632億70百万円(同27.3%増)、固定資産は3,010億62百万円(同2.7%増)となりました。流動資産の増加の主な要因は、現金及び預金が587億7百万円増加したことによります。固定資産の増加の主な要因は、機械装置及び運搬具が172億6百万円増加したことによります。
(負債合計)当連結会計年度末の負債合計は、2,936億3百万円(同14.4%増)となりました。流動負債は1,561億60百万円(同18.4%増)、固定負債は1,374億43百万円(同10.2%増)となりました。流動負債の増加の主な要因は、支払手形及び買掛金が54億32百万円、未払法人税等92億85百万円増加したことによります。固定負債の増加の主な要因は、社債が150億円増加したことによります。
(純資産合計)当連結会計年度末の純資産合計は3,707億28百万円(同15.2%増)となりました。純資産合計の増加の主な要因は、利益剰余金が352億32百万円増加したことによります。以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の54.61%から54.88%となりました。また、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の2,262円99銭から2,611円43銭となりました。
b.経営成績
(売上高及び営業利益)売上高は、4,011億38百万円(前年同期比24.0%増)となりました。売上原価は、2,810億59百万円(前年同期比18.1%増)となりました。売上原価率は3.5ポイント改善し、70.1%となりました。この結果、営業利益は、708億21百万円(前年同期比83.3%増)となりました。
(営業外損益及び経常利益)営業外損益は、前連結会計年度の20億82百万円の利益(純額)から当連結会計年度は35億73百万円の利益(純額)となり、利益(純額)が増加しました。主な変動要因は、為替差益が13億74百万円増加したことによります。この結果、経常利益は、743億94百万円(前年同期比82.7%増)となりました。
(特別損益)特別損益は、前連結会計年度の85億50百万円の損失(純額)から当連結会計年度は151億42百万円の損失(純額)となり、損失(純額)が増加しました。主な変動要因は、固定資産除却損が35億50百万円増加したことや関係会社株式売却損を70億97百万円計上したことによります。この結果、税金等調整前当期純利益は、592億52百万円(前年同期比84.2%増)となりました。
(法人税等(法人税等調整額を含む。))法人税等は、前連結会計年度の62億46百万円から当連結会計年度は176億88百万円となり、増加しました。この結果、当期純利益は、415億63百万円(前年同期比60.4%増)となりました。
(非支配株主に帰属する当期純利益)非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の2億20百万円から当連結会計年度は3億31百万円となり、増加しました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)親会社株主に帰属する当期純利益は、412億32百万円(前年同期比60.4%増)となりました。1株当たり当期純利益は、295円35銭となりました。ROE(自己資本当期純利益率)は、12.12%となりました。
(イ)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、第2「事業の状況」 2「事業等のリスク」に記載のとおりであります。経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、特に定めておりませんが、連結中期経営計画「To The Next Stage 110 Plan」の4年目にあたる2022年3月期の期初に掲げました売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の計画に対する達成状況は、以下のとおりであります。
2022年3月期(計画)
2022年3月期(実績)
増減(計画比)
売上高
380,000百万円
401,138
百万円
21,138百万円増 ( 5.6%増)
営業利益
45,000百万円
70,821
百万円
25,821百万円増 (57.4%増)
経常利益
45,000百万円
74,394
百万円
29,394百万円増 (65.3%増)
親会社株主に帰属する当期純利益
29,000百万円
41,232
百万円
12,232百万円増 (42.2%増)
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討事項は、次のとおりであります。
(電子事業)
パッケージ(PKG)事業におきましては、パソコン向けの需要が引き続き堅調に推移したことに加え、大垣中央事業場における第1期投資の安定量産の継続、更に第3四半期からは第2期投資が計画通り量産稼働を開始したことにより、売上高・営業利益ともに前連結会計年度に比べ増加しました。マザーボード・プリント配線板(MLB)事業におきましては、一部の中国顧客のスマートフォン向けの売上が減少しましたが、モジュール基板の売上が堅調に推移した結果、売上高・営業利益ともに前連結会計年度に比べ増加しました。以上の結果、電子事業の売上高は2,369億81百万円となり、前連結会計年度に比べ42.7%増加しました。同事業の営業利益は551億13百万円となり、前連結会計年度に比べ98.2%増加しました。
(セラミック事業)
自動車排気系部品であるディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)は、半導体不足による自動車生産台数の減少に加え、世界的な脱炭素化の流れに伴い、乗用車を中心に電動化が加速した結果、売上高は前連結会計年度に比べ減少しました。営業利益は、高機能品の生産性改善、更には大型商用車向け製品への受注シフトを進めた結果、前連結会計年度に比べ増加しました。触媒担体保持・シール材(AFP)は、DPFと同様に自動車市場全体の減速による影響を受けたものの、新工場(揖斐電精密陶瓷(蘇州)有限公司)を計画通り立上げ、中国市場の需要を取り込んだことで、売上高・営業利益ともに前連結会計年度と同水準となりました。特殊炭素製品(FGM)は、半導体製造装置向け製品を中心に、世界的な半導体需要の高まりを受け、売上高・営業利益ともに前連結会計年度に比べ増加しました。以上の結果、セラミック事業の売上高は906億78百万円となり、前連結会計年度に比べ3.8%増加しました。同事業の営業利益は87億18百万円となり、前連結会計年度に比べ88.2%増加しました。
(その他事業)
建設部門におきましては、受変電設備及び非常用発電設備工事の受注に加え、環境事業における土壌分析の受注が堅調に推移し、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。建材部門におきましては、原材料費の高騰や資材調達難などウッドショックの影響を受けたものの、抗ウイルスメラミン化粧板・関連商材の販売が増加し、売上高は前連結会計年度並みとなりました。その他部門におきましては、世界的な原油価格の高騰に伴う石油製品の販売価格の上昇に加え、合成樹脂加工部門における発泡樹脂製品の販売が堅調に推移し、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。以上の結果、その他事業の売上高は734億79百万円となり、前連結会計年度に比べ4.9%増加しました。同事業の営業利益は、70億90百万円となり、前連結会計年度に比べ8.2%増加しました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、設備投資に必要な資金及びその他の所要資金には手元資金を充当することを基本的な方針とし、グループ内ファイナンスの活用による効率的な資金運用を行っております。また、資金運用の柔軟性を保つため、必要な都度、借入等による資金調達を行うこととしております。当連結会計年度の当社グループのキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリーキャッシュ・フローは、プラス406億50百万円となりました。また、財務活動によって得られた資金は、社債の発行による収入等により139億35百万円となりました。以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高(資金)は1,855億92百万円となりました。この資金の運用については、当社グループは、資金の流動性を考慮して、短期的な預金などとして運用する方針です。さらに、当社グループでは、旺盛な顧客需要に対応するために、ICパッケージ基板の生産能力増強を図る目的で設備投資を継続しており、これらの資金需要に対して資金を充当してまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。