【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社を取り巻く市場環境は、地政学要因によるエネルギー価格の高騰、円安に伴う資機材価格の高騰及び産業用機器品納期問題の長期化等、先行き不透明感は残るものの、民間建設投資が堅調に回復し、大型再開発案件やリニューアル案件が具体化しました。
この結果、当期の経営成績は、売上高335億57百万円、営業利益6億82百万円、経常利益8億56百万円、親会社株主に帰属する当期純利益5億56百万円となりました。
セグメント別売上実績の内訳
2022年3月期
2023年3月期
増減
前連結会計年度
当連結会計年度
金 額
構成比
金 額
構成比
金 額
増減率
(百万円)
(%)
(百万円)
(%)
(百万円)
(%)
電気設備工事
21,610
74.1
25,553
76.1
3,943
18.2
商品販売
7,549
25.9
8,004
23.9
454
6.0
合 計
29,159
100.0
33,557
100.0
4,398
15.1
②受注状況
当期における電気設備工事の受注実績は、需要環境が回復するなか、前年度から着実に実施してきた提案営業の成果により、248億42百万円と前年同期を上回る結果となりました。
また、商品販売の受注実績も、年度後半から主要機種における納期問題が段階的に解消してきており、80億4百万円と前年同期を上回る結果となりました。
セグメント別受注実績の内訳
2022年3月期
2023年3月期
増減
前連結会計年度
当連結会計年度
金 額
構成比
金 額
構成比
金 額
増減率
(百万円)
(%)
(百万円)
(%)
(百万円)
(%)
電気設備工事
23,863
76.0
24,842
75.6
978
4.1
商品販売
7,549
24.0
8,004
24.4
454
6.0
合 計
31,412
100.0
32,846
100.0
1,433
4.6
(注)商品販売については受注から販売までの期間が短期であることから、受注実績と売上実績を同額としております。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、10億95百万円となり、前連結会計年度末より17百万円減少となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動による資金の増加は1億23百万円となりました。(前連結会計年度は5億89百万円の減少)これは主に、売上債権及び契約資産の増加額25億17百万円、仕入債務の増加額23億41百万円、税金等調整前当期純利益8億56百万円及び未収消費税等の増加額6億11百万円等によるものです。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動による資金の増加は2億38百万円となりました。(前連結会計年度は9億86百万円の増加)これは主に、長期貸付金の回収による収入62億円、長期貸付けによる支出40億円及び短期貸付金の支出19億6百万円等によるものです。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動による資金の減少は4億11百万円となりました。(前連結会計年度は5億34百万円の減少)これは主に、配当金の支払額3億89百万円等によるものです。
④生産、受注及び販売の実績
a.仕入実績
セグメントの名称
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
(百万円)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
(百万円)
前年同期比(%)
商品販売
6,903
7,203
4.4
合計
6,903
7,203
4.4
(注) 電気設備工事には仕入実績はありません。
b.受注実績
セグメントの名称
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
(百万円)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
(百万円)
前年同期比(%)
電気設備工事
23,863
24,842
4.1
商品販売
7,549
8,004
6.0
合計
31,412
32,846
4.6
(注) 商品販売については受注から販売までの期間が短期であることから、受注実績は売上実績により表示しております。
c.売上実績
セグメントの名称
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
(百万円)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
(百万円)
前年同期比(%)
電気設備工事
21,610
25,553
18.2
商品販売
7,549
8,004
6.0
合計
29,159
33,557
15.1
(注) 主な相手先の売上実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
三菱電機㈱
4,593
15.8
4,850
14.4
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
d.電気設備工事における受注工事高及び完成工事高の状況
1)受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
期別
区分
前期繰越
工事高
(百万円)
当期受注
工事高
(百万円)
計
(百万円)
当期完成
工事高
(百万円)
次期繰越
工事高
(百万円)
前事業年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
屋内線工事
13,565
19,064
32,629
17,547
15,081
その他工事
2,563
3,868
6,431
3,182
3,249
計
16,129
22,932
39,061
20,730
18,331
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
屋内線工事
15,081
20,376
35,458
20,520
14,938
その他工事
3,249
3,811
7,060
4,162
2,898
計
18,331
24,188
42,519
24,682
17,836
(注)1.前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2.次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
3.その他工事は、送電線工事、発変電工事、通信工事、空調工事であります。
2)受注工事高の受注方法別比率
工事受注方法は、特命と競争に大別されます。
期別
区分
特命(%)
競争(%)
合計(%)
前事業年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
屋内線工事
49.5
50.5
100
その他工事
54.8
45.2
100
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
屋内線工事
51.2
48.8
100
その他工事
84.2
15.8
100
(注) 百分比は請負金額比であります。
3)完成工事高
期別
区分
官公庁(百万円)
民間(百万円)
合計(百万円)
前事業年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
屋内線工事
2,048
15,499
17,547
その他工事
286
2,896
3,182
計
2,334
18,396
20,730
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
屋内線工事
3,477
17,043
20,520
その他工事
754
3,408
4,162
計
4,231
20,451
24,682
(注)1.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度請負金額3億円以上の主なもの
三菱地所プロパティマネジメント㈱
第一三共㈱
・三菱UFJ信託銀行本店ビル1,2発電機設備更新工事(デュアルフューエル化)
・葛西研究開発センター中央棟受変電設備更新ほか工事
三菱電機㈱
・福山工場FAB2立ち上げ整備電気設備工事
三菱電機㈱
・情報技術総合研究所特高受変電設備更新工事
三菱地所㈱
・新大手町ビル非常用発電機設備更新工事
当事業年度請負金額3億円以上の主なもの
清水建設㈱
・三郷三愛会総合病院移転新築計画
㈱フジタ
・神奈川大学理学部施設移転に伴う17・20・23号館改修工事
三菱電機㈱
・福岡事業所開発試作棟電気設備工事
防衛省防衛施設庁九州防衛局
・築城(3)庁舎新設電気工事
戸田建設㈱
・三菱千歳四谷三丁目プロジェクト工事
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
三菱電機㈱
4,575百万円
22.1%
当事業年度
三菱電機㈱
4,834百万円
18.9%
4)次期繰越工事高 (2023年3月31日現在)
区分
官公庁(百万円)
民間(百万円)
合計(百万円)
屋内線工事
4,367
10,571
14,938
その他工事
950
1,948
2,898
計
5,317
12,519
17,836
(注) 次期繰越工事のうち請負金額3億円以上の主なものは、次のとおりであります。
㈱大林組
・横浜駅きた西口鶴屋地区第一種市街地再開発事業
2024年3月完成予定
大成建設㈱
・(仮称)千葉みなと物流センター新築工事
2023年7月完成予定
三菱地所プロパティマネジメント㈱
・晴海フロント原状回復工事
2023年6月完成予定
三菱地所㈱
・ビックカメラ藤沢店受変電設備更新工事
2025年2月完成予定
三菱地所プロパティマネジメント㈱
・新大手町ビル特高受変電設備更新工事
2025年5月完成予定
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。
①当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ、31億18百万円の増加となりました。これは主に、売上高の増加による売上債権の増加7億65百万円、契約資産の増加17億63百万円及び未収消費税等の増加によるその他の増加6億7百万円等によるものです。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ、29億37百万円の増加となりました。これは主に、工事に係る材料・外注等の支払による仕入債務の増加23億71百万円、契約負債の増加4億15百万円及び未払法人税等の増加2億7百万円によるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ、1億80百万円の増加となりました。これは主に、配当金の支払3億89百万円及び親会社株主に帰属する当期純利益の計上5億56百万円等によるものであります。
2)経営成績
(売上高)
完成工事高は、民間建設投資が堅調に回復し、大型再開発案件やリニューアル案件の具体化等により、前連結会計年度に比べ18.2%増の255億53百万円となりました。また、商品売上高につきましても部材・部品供給面での制約が段階的に解消しており、前連結会計年度に比べ6.0%増の80億4百万円となりました。
(経常利益)
売上高が増加したことにより経常利益は、前連結会計年度に比べ59.8%増の8億56百万円となりました。
(法人税等)
法人税等は、前連結会計年度より増加し2億86百万円となりました。これは主に、課税所得の増加により、法人税、住民税及び事業税が増加したためであります。
(非支配株主に帰属する当期純利益)
連結子会社弘電工事株式会社の非支配株主に帰属する損益からなっております。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益5億56百万円となり、1株当たり当期純利益金額は313.76円となりました。
3)キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローについては、前掲「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ④キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.流動性及び資金の状況
1)資金需要
当社グループの運転資金需要の主なものは、工事に係る材料費・外注費・経費、商品販売に係る製品の購入の他、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。営業費用の主なものは従業員の人件費であります。
2)資金調達
当社グループは現在、運転資金及び設備投資資金については、内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しては、運転資金のみであり、期限が一年以内の短期借入金で、各々の連結会社が調達しております。当連結会計年度末現在、短期借入金の残高は5億60百万円で、全て銀行借入金からなっております。
当社グループは、現在健全な財政状態を維持しており、また、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力もあるため、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えております。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標に達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2020年4月から2024年3月までの中期的な経営戦略において、連結売上高370億円以上、400億円の達成、連結経常利益率5.0%以上、ROE8.0%以上を持続的に達成すべき経営指標としてまいりました。
中期的な経営戦略の最終年である当連結会計年度は、連結売上高335億57百万円、連結経常利益率2.6%、ROE3.0%といずれも達成すべき経営指標を下回りました。
以上の結果を踏まえ、翌連結会計年度以降は従来以上に社内事業部門間及び専門技術を有する他社との事業連携をより一層強化し、持続的に達成すべき経営指標の実現に向け、取り組みを継続してまいります。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収入・費用の報告数値等に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。このため、完成工事高及び工事損失引当金の見積りに係る仮定設定の判断に対して、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、継続して評価を行っております。当社グループでは、当連結会計年度における工事収益、工事原価総額及び工事損失引当金の見積りについて、事象の変化等により必要に応じて見直しを行い、会計上の見積りを行っておりますが、今後、ウクライナ情勢の一段の悪化が生じた場合には、部材供給の長期化等に伴い工事の中断や延期が発生し、社会経済活動に影響を与える恐れがあります。この場合、人手不足による労務単価の上昇や銅価格上昇による資機材価格の高騰等と併せて、上記見積りの前提に齟齬が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法による完成工事高の計上及び工事損失引当金の計上
当社グループの完成工事高の計上については、履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法では、見積工事原価総額に対する発生原価の割合をもって工事の進捗率を見積り、工事収益総額に進捗率を乗じて完成工事高を計上しております。
また、工事損失引当金については当連結会計年度末における手持ち工事のうち、将来の損失の発生が見込まれ、かつ、工事収益総額及び工事原価総額を合理的に見積ることができる工事について、見積工事原価総額が工事収益総額を超過する金額から既に計上された損失の額を差し引き、その残額を将来の損失見積額として計上しております。
工事原価総額の見積りにおいては、図面・施工状況等を勘案し、資機材及び電工人員の必要量を算定しております。また、資機材や電工費の金額については業者の見積回答を基礎とし、見積回答が入手できない場合については市場価格や過去の類似の案件を参考にしております。しかしながら、この見積りには工事仕様・施工方法の変更及び建設資材価格や外注工賃の変動、自然災害等の発生による工事の中断等の様々な要因により完成工事高及び完成工事原価の実績金額に変動が生じ、当連結会計年度に見積もられた工事損失引当金と乖離が生じる可能性があります。