【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)業績等の概要
①業績
我が国における個人のスマートフォン保有率は前年比3.0ポイント増の77.3%(出典:総務省「令和4年通信利用動向調査の結果」)と伸びる一方、2022年の国内ゲームアプリの市場規模は前年比4.4%減の1兆2,433億円(出典:株式会社角川アスキー総合研究所「ファミ通ゲーム白書 2023」)となりました。
このような環境のもと、当社グループはインターネット・エンタメ事業、投資・インキュベーション事業の各事業において、積極的な投資に取り組んで参りました。
当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高75,440百万円(前連結会計年度比0.7%増)、営業利益12,498百万円(同8.7%増)となりました。経常利益は為替差益が前連結会計年度より大きく減少し13,086百万円(同7.2%減)となりました。また、特別損失として投資有価証券評価損636百万円を計上したこと等により親会社株主に帰属する当期純利益9,278百万円(同8.3%減)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
a.インターネット・エンタメ事業
主力とするゲーム・アニメ事業においては、既存スマートフォン向けゲームの長期運営体制による収益安定化及び海外展開による収益力向上に取り組むとともに、新規スマートフォンゲームの開発を進めて参りました。メタバース事業においては、スマートフォン向けメタバース「REALITY」のコンテンツ拡充及びコミュニケーション機能拡充を進めるとともにグローバル展開を進めて参りました。また、DX・コマース事業においては、メディア力強化とSaaS機能強化及び企業のDX支援を進めて参りました。
当連結会計年度の業績は、売上高66,737百万円(前連結会計年度比7.2%減)、営業利益6,622百万円(同32.0%減)となりました。
b.投資・インキュベーション事業
投資・インキュベーション事業においては、インターネット・IT領域を中心に投資するベンチャーキャピタルやスタートアップへの投資に取り組んで参りました。当社グループ出資ファンドが保有株式を売却したことにより、当連結会計年度の業績は、売上高8,702百万円(前連結会計年度比187.3%増)、営業利益5,875百万円(同233.1%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ7,668百万円増加し、当連結会計年度末の残高は74,293百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は、4,590百万円(前連結会計年度は13,218百万円の獲得)となりました。これは主に、営業投資有価証券の増加2,817百万円及び法人税等の支払額4,674百万円があった一方、税金等調整前当期純利益12,693百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は、439百万円(前連結会計年度は5,299百万円の支出)となりました。これは主に、敷金の回収による収入1,184百万円があった一方、投資有価証券の取得による支出1,500百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は、3,264百万円(前連結会計年度は37,516百万円の支出)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出2,414百万円及び配当金の支払額1,970百万円があった一方、社債の発行による収入7,700百万円があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
インターネットを利用したサービスの提供及びベンチャーキャピタルやスタートアップへの投資を事業としており、提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
b.受注実績
概ね受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
販売高(百万円)
前年同期比(%)
インターネット・エンタメ事業
66,737
△7.2
投資・インキュベーション事業
8,702
187.3
合計
75,440
0.7
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
(自 2021年7月1日
至 2022年6月30日)
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
販売高(百万円)
割合(%)
販売高(百万円)
割合(%)
Apple Inc.
28,895
38.6
24,974
33.1
Google Inc.
21,415
28.6
19,310
25.6
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成し
ております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見
積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があり
ます。
重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結
財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
②財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は124,806百万円(前連結会計年度末比8,076百万円増)となりました。
流動資産は107,367百万円(前連結会計年度末比7,164百万円増)となりました。主な増加要因は「現金及び預金」が4,331百万円減少した一方、「金銭の信託」が12,000百万円増加したことによるものであります。
固定資産は17,439百万円(前連結会計年度末比912百万円増)となりました。主な増加要因は投資その他の資産の「その他」が1,015百万円減少した一方、「繰延税金資産」及び「投資有価証券」がそれぞれ1,190百万円、748百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は32,256百万円(前連結会計年度末比6,456百万円増)となりました。
流動負債は20,391百万円(前連結会計年度末比4,416百万円増)となりました。主な増加要因は「1年内償還予定の社債」が5,000百万円増加したことによるものであります。
固定負債は11,865百万円(前連結会計年度末比2,040百万円増)となりました。主な増加要因としては「その他」が659百万円減少した一方、「社債」が2,700百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は92,549百万円(前連結会計年度末比1,619百万円増)となりました。主な増加要因は、「その他有価証券評価差額金」が3,633百万円減少、「自己株式」が2,145百万円増加した一方、「利益剰余金」が7,370百万円増加したことによるものであります。
企業の安定性を示す自己資本比率は、当連結会計年度末は73.7%であります。また、支払い能力を示す流動比率は当連結会計年度末は526.5%となっております。
③経営成績の分析
売上高は、75,440百万円(前連結会計年度比0.7%増)となりました。売上高の分析につきましては、「(1)業績等の概要 ①業績」をご参照ください。
売上原価は、28,831百万円(前連結会計年度比4.1%減)となりました。
主な減少要因は、協業ゲーム運営に係る業務委託費等の減少によるものであります。
販売費及び一般管理費は34,110百万円(前連結会計年度比2.3%増)となりました。
主な増加要因は、広告宣伝費の増加によるものであります。
営業外収益は、810百万円(前連結会計年度比70.5%減)となりました。
主な減少要因は、為替差益の減少によるものであります。
営業外費用は、222百万円(前連結会計年度比56.1%増)となりました。
主な増加要因は、支払利息の増加によるものであります。
特別利益は、321百万円(前連結会計年度比58.6%減)となりました。
主な減少要因は、違約金収入の減少によるものであります。
特別損失は、713百万円(前連結会計年度比151.5%増)となりました。
主な増加要因は、投資有価証券評価損の増加によるものであります。
④キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)業績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
⑥経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
⑦資本の財源及び資金の流動性
当社グループは将来の経営環境の変化への対応や新規事業の開発等のために必要な資金を内部留保しております。当社グループの運転資金需要の主なものは、ゲーム・アニメ事業における開発費、各事業における広告宣伝費等の営業費用になります。また、重要課題である新たな収益源の確保のため、ゲーム・アニメ事業の継続成長、DX・コマース事業の強化、メタバース事業の推進に取り組んでいく方針であります。これらの資金需要は自己資金でまかなうことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施致します。
また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は74,293百万円となっております。
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