【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、人流の拡大やインバウンド需要の増加などにより、緩やかな回復基調が見られましたが、ロシア・ウクライナ情勢の長期化の影響など、先行き不透明な状況が続いております。菓子・食品業界におきましても、原材料費や物流費用の増加する中、物価上昇に対するお客様の節約志向や消費動向の変化もあり、引き続き厳しい経営環境が続いております。このような状況のもと、当社グループは2023年度、中期3カ年計画「Be Resilient 2023 ~新しい時代をしなやかに生きる~」の最終年度を迎え、財務目標並びに非財務目標の達成と今後の中長期プランを策定する重要な年次となります。中期3カ年計画の目標数値に対しては計画に沿って進捗しております。今年度の目標数値は最終年度の目標数値と同様であり、目標達成を目指してまいります。今年度はパーパスである「おいしい!の笑顔をつくる」を追求していくため、活動テーマを「倦まず・弛まず・積極果敢」として、サステナブル経営を目指し、目標達成に向けたイノベーションに取り組んでおります。グループ全体の成長戦略の一環として三重県津市「中勢北部サイエンスシティ」内に竣工した井村屋株式会社「あのつFACTORY」は輸出やEC販売強化に向け、計画に沿って順調に稼働しております。また、井村屋フーズ株式会社の調味料事業では粉末加工拡大に向け、品質面と環境面そして生産性向上の観点から新たな付加価値を創造する新工場スプレードライヤー6号機が9月に竣工しました。独自技術を活かした新規商材の提案を行い市場開拓を進めていきます。海外事業においても、積極的な販売活動を展開し、更なる成長戦略に取り組んでおります。当第2四半期連結累計期間における当社グループの売上高は、井村屋株式会社の冷菓カテゴリーや点心・デリカテゴリーの売上が増加しました。また、井村屋フーズ株式会社におけるOEM受託商品の受注が順調に推移しました。その結果、連結売上高は、229億79百万円(前年同期比6.9%増)となりました。損益面では、原材料価格、物流費用が増加する中、価格の改定を行うとともに継続した生産性向上活動によりコスト削減に取り組みました。計画的な設備投資に伴う減価償却費の増加や為替差益及び補助金収入が前年同期より減少した影響により、各利益は前年同期からは減少しましたが、当初の連結業績予想数値は大きく上回りました。その結果、営業利益は11億4百万円(前年同期比3.4%減)、経常利益は13億78百万円(同9.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は9億54百万円(同28.6%減)となりました。
各セグメントの概況は次のとおりであります。
① 流通事業流通事業(BtoC事業)の中心となる井村屋株式会社では、夏場の主力となる冷菓カテゴリーの売上が増加し、「肉まん・あんまん」などの点心・デリカテゴリーが下期のシーズンに向けて好調なスタートとなりました。BtoB事業の井村屋フーズ株式会社では、スパウチ商品の受注が順調に推移しました。以上の結果、流通事業の売上高は207億72百万円(前年同期比7.6%増)となり、セグメント利益は16億4百万円(同0.7%増)となりました。
流通事業におけるカテゴリー別の概況につきましては以下のとおりです。
(菓子カテゴリー)「片手で食べられる小さなようかん」や「もっちりぷるんわらびもち」シリーズが順調に推移しましたが、鳥インフルエンザの影響による鶏卵不足から生産調整を行った「どら焼き」や「カステラ」の売上が減少しました。以上の結果、菓子カテゴリーの売上高は36億2百万円(前年同期比1.1%減)となりました。
(食品カテゴリー)チューブ入り商品「トッピング」シリーズの「かけるご褒美 あん×バター」が順調に推移しました。また、新商品「レンジで煮物 かぼちゃのそぼろ煮」「レンジで煮物 なすのみぞれ煮」を発売し、好評をいただいております。冷凍食品では「ゴールドまん」シリーズの売上が増加しました。井村屋フーズ株式会社の食品加工事業では、新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、スポーツやイベントの活発化に伴いスパウチ商品の受託加工が順調に推移しました。以上の結果、食品カテゴリーの売上高は29億14百万円(前年同期比7.2%増)となりました。
(デイリーチルドカテゴリー)「豆腐類」では「硬め豆腐」や「そのまま食べて美味しい豆腐」が順調に推移し、販売を強化した業務用向け商品の売上が増加しました。以上の結果、デイリーチルドカテゴリーの売上高は7億22百万円(前年同期比2.1%増)となりました。
(冷菓カテゴリー)発売50周年を迎えた主力商品「あずきバー」シリーズが猛暑の影響もあり順調に推移し、上期において過去最高の売上本数2億54百万本を記録しました。50周年の記念商品として新商品の「こしあんバー」を数量限定で発売させていただきました。米国のIMURAYA USA, INC.やマレーシアのIMURAYA MALAYSIA SDN. BHD.においても現地で「あずきバー」の販売促進活動を積極的に展開し、海外市場での更なる成長戦略に取り組みました。「やわもちアイス」シリーズでは、新たにかき氷に着目した新商品「やわもちアイス 抹茶氷」が売上増加に大きく貢献しました。以上の結果、冷菓カテゴリーの売上高は112億60百万円(前年同期比11.4%増)となりました。
(点心・デリカテゴリー)「肉まん・あんまん」などの点心・デリカテゴリーは、8月からのコンビニエンスストア導入が順調にスタートし、付加価値を高めたリニューアル商品が好調に推移しました。また、新商品も売上増加に貢献しました。以上の結果、点心・デリカテゴリーの売上高は20億15百万円(前年同期比11.8%増)となりました。
(スイーツカテゴリー)スイーツカテゴリーでは、コロナ禍からの社会経済活動の活性化に伴い集客数も増加し、「La maison JOUVAUD(ラ・メゾン・ジュヴォー)」各店舗の売上は前年同期を上回りました。「アンナミラーズ」では前年の8月31日に「アンナミラーズ高輪店」を閉店した影響により売上は減少しましたが、6月13日にはバーチャルショップをグランドオープンし、お客様に感謝の気持ちをお伝えするとともに様々なブランドの活用を展開しております。8月にはエキュート品川において期間限定で「アンナミラーズ」のポップアップショップを出店し、連日好評をいただきました。以上の結果、スイーツカテゴリーの売上高は1億98百万円(前年同期比25.6%減)となりましたが、今後のブランド活用に期待がもてる状況となっております。
(VISON(ヴィソン)カテゴリー)VISON(ヴィソン)では、三重県の水と酒米、酵母を使用し、風土に根差し、素材にこだわった日本酒の製造・販売を行う「福和蔵」と、和菓子を販売する「菓子舗井村屋」の2店舗を三重県多気町の大型商業リゾート施設内にて運営しております。「福和蔵」においては、「福和蔵 純米大吟醸」が、5月に世界的に最も権威のある審査会の一つであるIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2023 SAKE(日本酒)部門「純米大吟醸酒」カテゴリーにおいてゴールドメダルを受賞しました。更に9月には「福和蔵 純米吟醸」が全米日本酒歓評会において金賞を受賞し、高い評価をいただいております。「菓子舗井村屋」においては、「酒々(ささ)まんじゅう 芳醸菓」や季節の味覚を取り入れた限定商品を店舗にて販売し、好評を得ております。以上の結果、VISON(ヴィソン)カテゴリーの売上高は57百万円(前年同期比3.8%増)となりました。
② 調味料事業国内では井村屋フーズ株式会社のシーズニング事業において、家庭内食向け需要の高まりと健康・機能性素材のOEMが伸長しました。また、9月に竣工した新工場スプレードライヤー6号機は計画に沿って本格稼働を開始しております。中国での調味料事業は、ゼロコロナ政策終了後の経済回復の遅れもあり、中国国内の売上が減少しました。以上の結果、調味料事業の売上高は20億95百万円(前年同期比0.2%増)となり、セグメント利益は3億13百万円(同5.7%減)となりました。
③ その他事業イムラ株式会社においてSDGsの一環として井村屋商品のアウトレット販売を行っている「MOTTAINAI屋」は、引き続き地域のお客様に好評をいただいており、売上も増加しました。また、「ソフトアイスクリーム&スイーツ店WaiWai(ワイワイ)」においては、「アンナミラーズ」のアップルパイや季節のスイーツなどを販売し売場の活性化を図りました。以上の結果、井村屋グループ株式会社の賃貸事業を加えた、その他事業の売上高は1億11百万円(前年同期比7.7%増)となり、セグメント利益は24百万円(同259.8%増)となりました。
(2) 財政状態の状況当第2四半期連結会計期間の財政状態は以下のとおりであります。総資産は404億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ63億78百万円の増加となりました。流動資産は、夏物商品の販売及び月末銀行休業日に伴う売掛金の増加などにより、51億68百万円増の179億3百万円となりました。固定資産は、新しい製造設備の導入に伴う建物及び機械装置の増加や、投資有価証券の時価の増加などにより、12億10百万円増の225億81百万円となりました。負債は210億10百万円となり、前連結会計年度末に比べ55億87百万円の増加となりました。流動負債は、冬物商品の生産に連動した買掛金、短期借入金の増加などにより、54億42百万円増の183億63百万円となりました。固定負債は、長期繰延税金負債の増加などにより、1億44百万円増の26億46百万円となりました。純資産は親会社株主に帰属する四半期純利益の増加などにより、7億90百万円増の194億74百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、11億5百万円となり、前連結会計年度末比で5億83百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の減少は16億8百万円となり、前年同四半期に比べ、収入は22億5百万円減少いたしました。この減少の主な要因は、当第2四半期末日が金融機関の休日だったことによる売上債権の増加によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は17億15百万円となり、前年同四半期に比べ、支出は8億12百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の増加は26億89百万円となり、前年同四半期に比べ、収入は26億18百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、短期借入による収入が増加したことによるものであります。
(4)
優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題第3四半期に向けて、下期の主力商品となる点心・デリ商品類の売上増加など、順調に推移する見込みではありますが、不安定な世界情勢を背景に原材料価格や物流コストの上昇が続いており、消費動向も依然として先行き不透明な状況を慎重に考慮し、2023年5月11日付の「2023年3月期決算短信」において公表いたしました業績予想につきましては現時点では変更はありません。ただし、今後の業績推移等によって通期業績予想の見直しが必要と判断した場合には、速やかに開示いたします。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は2億43百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。