【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策による行動制限が段階的に緩和され、経済活動は緩やかな持ち直しの動きが見られるものの、ロシア・ウクライナ情勢も長期化し、急激な円安が進行する中でエネルギー価格や原材料の上昇が続き、厳しい経営環境で推移しました。菓子・食品業界におきましても、原材料費や物流費の上昇に対する商品価格改定の動きが見られる中、お客様の節約志向の強まりも懸念され、厳しい経営環境が続くことが予測されます。このような状況のもと、本年当社グループは創業125年 会社設立75周年を迎えました。また、中期3カ年計画「Be Resilient 2023 ~新しい時代をしなやかに生きる~」の2年目にあたり目標達成に向けた重要な年度となります。2022年度は何事にも果敢に挑戦する「進取」をテーマとし、将来を見据え、サステナビリティの高い企業体質構築と収益構造の変革に向け活動しております。井村屋株式会社ではグループ全体の成長戦略の一環として、三重県津市の中勢北部サイエンスシティ内に価値創造を高めた新工場である「あのつFACTORY」の建設を進めており、順調に進捗しております。当第2四半期連結累計期間における当社グループの売上高は、井村屋株式会社の冷菓カテゴリーが順調に推移するとともに、全カテゴリーで売上が増加しました。米国で事業展開しているIMURAYA USA, INC. (以下「IMURAYA USA」と記載)では日本から輸入した井村屋商品の販売が大きく伸長しました。また、井村屋フーズ株式会社においてもOEM受託商品の売上が堅調に推移しました。その結果、連結売上高は、214億93百万円(前年同期比10.1%増)となりました。損益面では、原材料価格、エネルギーコストが高騰する中、継続した生産性向上活動によりコスト削減が図られました。また、円安の進行で海外事業との取引における為替差益の発生や、建設中の井村屋株式会社の新工場「あのつFACTORY」は、輸出促進に関する補助金収入を得て利益が増加しました。その結果、営業利益は11億43百万円(前年同期比82.7%増)、経常利益は15億26百万円(同103.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は13億37百万円(同189.8%増)となり、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益において第2四半期連結累計期間で過去最高の業績となりました。
各セグメントの概況は次のとおりであります。
① 流通事業流通事業(BtoC事業)の中心となる井村屋株式会社では、夏場の主力となる冷菓カテゴリーの売上が順調に推移し、全カテゴリーで前年同期から売上が増加しました。BtoB事業の井村屋フーズ株式会社では、スパウチ商品の受注が堅調に推移しました。また、IMURAYA USAでは日本からの輸入商品の販売が大きく伸長しました。以上の結果、流通事業の売上高は192億98百万円(前年同期比11.0%増)となり、セグメント利益は15億93百万円(同50.9%増)となりました。
流通事業におけるカテゴリー別の概況につきましては以下のとおりです。
(菓子カテゴリー)災害用備蓄商品として評価の高い「えいようかん」が優れた災害食・非常食を国内外に発信する「災害食大賞2022」において「健康・アレルギー対応部門」で優秀賞を受賞し、売上も順調に伸長しました。「もっちりぷるんわらびもち」など「水ようかん類」が好調に推移し、冷凍和菓子の季節限定商品「4コ入 よもぎ草餅(つぶあん)」、「4コ入 黒ごまクリーム大福」も売上増加に貢献しました。また、IMURAYA USAでは日本から輸入したカステラの売上が大きく増加しました。以上の結果、菓子カテゴリーの売上高は37億50百万円(前年同期比30.3%増)となりました。
(食品カテゴリー)夏物商品の「氷みつ」の売上が伸長しました。今年発売60周年を迎えた「ゆであずき」や「お赤飯の素」も順調に推移し、新商品の「日本酒香るあんこ」「ラム酒香るあんこ」が好評をいただいております。冷凍食品では「井村屋謹製カリーぱん」やコレステロールゼロの「2コ入 大豆ミートまん」が売上を伸ばしました。井村屋フーズ株式会社の食品加工事業では、高粘性のタンパク入りゼリーや固形入りゼリーの生産技術を活用したスパウチ商品の受託加工が引き続き堅調に推移しました。以上の結果、食品カテゴリーの売上高は26億76百万円(前年同期比8.5%増)となりました。
(デイリーチルドカテゴリー)「豆腐類」では「美し豆腐」や「大豆屋和蔵 大豆ッ子」の売上が伸長し、新製法で大豆の甘味・風味を引き立てた「そのまま食べて美味しい豆腐」も順調に推移しました。また、秋冬物商品の「チルドパックまん」も順調なスタートとなりました。以上の結果、デイリーチルドカテゴリーの売上高は7億67百万円(前年同期比21.0%増)となりました。
(冷菓カテゴリー)夏場の主力商品「あずきバー」シリーズが引き続き順調に推移しました。今年で発売10周年を迎えた「やわもちアイス」シリーズでは、限定商品「やわもちアイス 焦がしみたらし」、「やわもちアイス みかん大福味」が好調に推移し、新商品「やわもちアイス パフェ いちご大福味」も好評をいただきました。「ボールアイス」シリーズでは発売50周年を迎えた「メロンボール」や期間限定で販売した新商品の「ドラえもんボール」が売上増加に貢献しました。また、IMURAYA USAでは「やわもちアイス」や「あずきバー」など日本からの輸入商品の売上が増加しました。以上の結果、冷菓カテゴリーの売上高は100億37百万円(前年同期比4.0%増)となりました。
(点心・デリカテゴリー)「肉まん・あんまん」などの点心・デリカテゴリーは、8月からのコンビニエンスストア導入が順調にスタートしました。リニューアルした「肉まん」等の定番商品や高付加価値商品が好調に推移し、新しい企画商品も売上増加に貢献しました。以上の結果、点心・デリカテゴリーの売上高は17億45百万円(前年同期比11.4%増)となりました。
(スイーツカテゴリー)スイーツカテゴリーでは、各店舗の客数も回復傾向が見られ、売上は前年同期を上回りました。また、「アンナミラーズ」の日本唯一の店舗であった高輪店は国土交通省による品川駅西口基盤整備事業に伴う移転要請に合意し、2022年8月31日で閉店いたしました。発表以来、幅広い年代の多数のお客様にご愛顧を得てまいりましたが、この度はテレビ番組や雑誌等のメディアからも注目され、SNSなどを通じてお客様の発信によるコミュニケーションが活発化したことで、営業最終日まで連日の来店が続き、たくさんの感謝や励ましの声をいただく運びとなりました。ご愛顧に心から感謝し、今後も「アンナミラーズ」ブランドの価値を守り、継続して商品をお買い求めいただけるよう、努力してまいります。「JOUVAUD(ジュヴォー)」では新たに「La maison JOUVAUD (ラ・メゾン・ジュヴォー)虎ノ門ヒルズ店」を7月20日にオープンしました。店舗は再開発の中心地であり、上質でハイセンスな居住地として注目される「虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワー」2階にあります。コロナ禍でのスタートとなりましたが、高い技術を活かしたプロヴァンス菓子の数々を提供し、集客数も着実に増加しております。以上の結果、スイーツカテゴリーの売上高は2億66百万円(前年同期比59.6%増)となりました。
(VISON(ヴィソン)カテゴリー)国内新規事業として2年目を迎えるVISON(ヴィソン)カテゴリーでは、2021年7月より三重県の水と酒米、酵母を使用し、テロワール*に根差した日本酒の製造・販売を行う「福和蔵(ふくわぐら)」と、和菓子を販売する「菓子舗井村屋」の2店舗を三重県多気町の大型商業リゾート施設「VISON(ヴィソン)」内にて運営しております。「福和蔵」においては、期間限定で販売している「福和蔵 純米大吟醸」が三重県新酒品評会での優等賞受賞に続き、全国新酒鑑評会においても入賞し、高い評価をいただいております。また、「福和蔵 純米酒」も全国燗酒コンテスト2022において金賞を受賞し、認知度の向上が図られました。「菓子舗井村屋」においては、「酒々(ささ)まんじゅう 芳醸菓」など特色のある商品を店舗にて販売しておりますが、夏場に「かき氷」や「贅沢あずきバー」など夏季メニューが人気となり、売上が伸長しました。以上の結果、VISON(ヴィソン)カテゴリーの売上高は55百万円(前年同期比160.4%増)となりました。
*テロワールはワイン等の生産に関わる「土地の要素」「気候の要素」「人的要素」を総合した生産環境のことを指し、味覚を決定する重要な要素とされています。
② 調味料事業国内では井村屋フーズ株式会社のシーズニング事業において、家庭内食向けの商材と機能性素材が堅調に推移しました。中国での調味料事業は、依然としてコロナ禍の影響が続く中、売上は増加に転じています。以上の結果、調味料事業の売上高は20億90百万円(前年同期比2.4%増)となりました。セグメント利益は3億32百万円(前年同期比8.5%増)となりました。
③ その他事業イムラ株式会社において井村屋商品のアウトレット販売を行っている「MOTTAINAI屋」は、感染防止対策の徹底とお客様へのサービス向上に取り組みました。「ソフトアイスクリーム&スイーツ店WaiWai(ワイワイ)」においては、「贅沢あずきバー」の取扱いを開始し、季節のデザートとともに好評を得ております。以上の結果、井村屋グループ株式会社の賃貸事業を加えた、その他事業の売上高は1億3百万円(前年同期比4.0%増)となりました。セグメント利益は6百万円(前期は10百万円のセグメント損失)となりました。
(2) 財政状態の状況当第2四半期連結会計期間の財政状態は以下のとおりであります。総資産は328億3百万円となり、前連結会計年度末に比べ33億81百万円の増加となりました。流動資産は、夏物商品の販売に伴う売掛金の増加などにより、31億82百万円増の139億21百万円となりました。固定資産は、新工場の建設に伴う建設仮勘定の増加などにより、1億98百万円増の188億82百万円となりました。負債は145億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ24億74百万円の増加となりました。流動負債は、未払金や冬物商品の生産に連動した買掛金、短期借入金の増加などにより、24億44百万円増の128億22百万円となりました。固定負債は、長期繰延税金負債の増加などにより、29百万円増の16億81百万円となりました。純資産は親会社株主に帰属する四半期純利益の増加などにより、9億7百万円増の182億99百万円となりました。その結果、自己資本比率は前連結会計年度末59.0%から55.7%へ減少しました。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、10億7百万円となり、前連結会計年度末比で62百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結会計年度における営業活動による資金の収入は5億97百万円となり、前年同四半期に比べ、収入は1億12百万円減少いたしました。この減少の主な要因は、売上債権及び棚卸資産が増加したことによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結会計年度における投資活動による資金の支出は9億2百万円となり、前年同四半期に比べ、支出は2億85百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結会計年度における財務活動による資金の収入は71百万円となり、前年同四半期に比べ、収入は1億27百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、長期借入金及びリース債務の返済による支出が減少したことによるものであります。
(4)
優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題第3四半期に向けて、下期の主力商品となる点心・デリ商品類の売上増加など、順調に推移する見込みではありますが、不安定な世界情勢を背景に原材料価格や物流コストの上昇が続いており、消費動向も依然として先行き不透明な状況を慎重に考慮し、2022年5月12日付の「2022年3月期決算短信」において公表いたしました業績予想につきましては現時点では変更はありません。ただし、今後の業績推移等によって通期業績予想の見直しが必要と判断した場合には、速やかに開示いたします。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は2億22百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。