【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から輸出や生産、設備投資などを中心に持ち直しの動きはみられるものの、足元での感染者数再拡大による緊急事態宣言の再発出により個人消費が弱含みに転じるなど、依然として厳しい環境が続いております。海外では、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況は継続しておりますが、北米は経済対策もあり回復の動きが見られ、中国では景気は緩やかに回復しています。市場別では、国内の住宅市場で新設住宅着工件数が減少しましたが、自動車市場や家電市場は回復が見られました。このような環境の中、当社グループはグローバルな視点で市場別に顧客のニーズをきめ細かく確実に捉え、国内および海外の経営資源を効率的に活用して受注につなげることで業績の向上に努めました。その結果、連結売上高は88,224百万円、前連結会計年度比(以下「前年同期比」)10.7%減少、連結営業利益は5,313百万円(前年同期比4.8%減少)、連結経常利益は5,652百万円(前年同期比0.3%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,234百万円(前年同期比5.5%増加)となりました。なお、売上高につきましては、過去最高を更新いたしました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
<トランスポーテーション>国内では、新型コロナウイルス感染症の影響により低迷した自動車市場が下期より回復し、同市場へのエラストマーコンパウンドの販売が増加しましたが、前年の水準には至らず減収となりました。海外では、新型コロナウイルス感染症の影響から、中国の自動車市場は早期回復、7月以降北米・ASEAN・インドの各市場も回復基調に推移しましたが、コンパウンド販売は前年の水準には至らず減収となりました。セグメント利益につきましては市況の回復は見られましたが、販売数量減少により減益となりました。その結果、売上高は24,310百万円(前年同期比18.3%減)、セグメント利益は2,146百万円(前年同期比21.7%減)となりました。
<デイリーライフ&ヘルスケア>国内では、新型コロナウイルス感染症の影響により生活資材市場のメディア・サイン分野向けフィルムの販売が減少しましたが、抗ウイルスフィルムのリケガードおよび食品包材市場の業務用ラップの販売が増加し、全体として増収となりました。海外では、ASEAN諸国での生活資材市場・医療市場向け塩ビコンパウンドの販売が増加し、増収となりました。セグメント利益につきましては、医療市場および食品包材市場で販売が増加したことにより増益となりました。その結果、売上高は25,037百万円(前年同期比3.0%増)、セグメント利益は2,740百万円(前年同期比47.4%増)となりました。
<エレクトロニクス>国内では、各種ディスプレイ用抗ウイルスフィルムのリケガードの販売の深耕が進みましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により低迷したエネルギー市場への塩ビコンパウンドの販売が前年を下回り、全体として減収となりました。海外では、北米およびタイ国での販売は増加しましたが、インドネシア国におけるエネルギー市場向けの塩ビコンパウンドの販売が低迷し、全体として減収となりました。セグメント利益につきましては、抗ウイルスフィルムの販売が増加したことにより増益となりました。その結果、売上高は17,430百万円(前年同期比16.5%減)、セグメント利益は379百万円(前年同期比34.3%増)となりました。
<ビルディング&コンストラクション>国内では、新型コロナウイルス感染症の影響により低迷した住宅市場・非住宅市場へのコンパウンドおよびフィルムの販売は下期から増加に転じましたが、前年の水準には至らず減収となりました。海外では、タイ国でのコンパウンドの販売が増加し、増収となりました。セグメント利益につきましては、国内での販売数量減少により減益となりました。 その結果、売上高は21,033百万円(前年同期比9.7%減)、セグメント損失は33百万円(前年同期は561百万円の利益)となりました。
当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金等の流動資産が1,762百万円増加し、時価評価の影響により増加した投資有価証券等の固定資産が1,577百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ3,339百万円増加し、95,208百万円となりました。負債は、未払法人税等の流動負債が167百万円増加、長期借入金等の固定負債が318百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ150百万円減少し、34,132百万円となりました。純資産は、利益剰余金等の株主資本が2,460百万円増加し、その他有価証券評価差額金等のその他の包括利益累計額が1,570百万円増加し、非支配株主持分が540百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ3,490百万円増加し、61,076百万円となりました。なお、自己資本比率は56.4%となり、前連結会計年度から2.3ポイント上昇しました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ3,268百万円増加し、21,080百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によって得られた資金は、前連結会計年度に比べ582百万円増加し、9,387百万円でした。その主な内容は、税金等調整前当期純利益5,630百万円、減価償却費3,713百万円、売上債権の減少728百万円等による資金の増加、たな卸資産の増加633百万円、仕入債務の減少58百万円、法人税等の支払1,265百万円等による資金の減少であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べ477百万円増加し、3,002百万円でした。その主な内容は、有形固定資産の取得による支出2,581百万円、無形固定資産の取得による支出1,015百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べ2,683百万円減少し、2,796百万円でした。その主な内容は、短期借入金の減額による支出241百万円、長期借入金の返済による支出811百万円、自己株式の売却による収入124百万円、配当金の支払額(非支配株主への配当を含む)1,853百万円等による資金の支払であります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称
当連会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
トランスポーテーション(千円)
23,837,848
79.8
デイリーライフ&ヘルスケア(千円)
23,094,590
109.5
エレクトロニクス(千円)
16,310,570
81.8
ビルディング&コンストラクション(千円)
17,610,992
89.4
報告セグメント計(千円)
80,854,003
89.2
その他(千円)
6,087
77.4
合計(千円)
80,860,090
89.2
(注) 1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注状況当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
トランスポーテーション
25,103,456
86.8
1,990,351
163.3
デイリーライフ&ヘルスケア
25,538,626
105.8
1,350,717
156.5
エレクトロニクス
18,283,948
89.4
2,439,487
152.7
ビルディング&コンストラクション
21,281,532
91.8
1,985,701
113.4
報告セグメント計
90,207,563
93.3
7,766,257
143.0
その他
373,654
68.5
3,420
8.1
合計
90,581,217
93.2
7,769,678
142.0
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称
当連会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
トランスポーテーション(千円)
24,310,922
81.7
デイリーライフ&ヘルスケア(千円)
25,037,406
103.0
エレクトロニクス(千円)
17,430,259
83.5
ビルディング&コンストラクション(千円)
21,033,635
90.3
報告セグメント計(千円)
87,812,224
89.4
その他(千円)
412,217
72.6
合計(千円)
88,224,442
89.3
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容売上高当連結会計年度の売上高は、88,224百万円、前連結会計年度比10,584百万円(10.7%)の減少となりました。国内は食品包材部門及び抗ウイルス・抗菌のリケガードの拡販をいたしましたが、自動車市場の回復の遅れ及び住宅市場の低迷により売上高は減少しました。海外においても、タイ国・ベトナム国での拡販は進みましたが、インドネシア国・米国・等での需要低迷により、売上高は減少しました。
売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度比9,423百万円(11.7%)減少し、71,409百万円となりました。主な要因は、売上数量の減少によるものです。また、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比892百万円(7.2%)減少し、11,501百万円となりました。主な減少要因は、旅費交通費、減価償却費及び接待交際費の減少によるものです。その結果、営業利益は、前連結会計年度比268百万円(4.8%)減少し、5,313百万円となりました。
営業外損益当連結会計年度における営業外収益は、為替差益等により、前連結会計年度比154百万円(35.8%)増加の587百万円となり、営業外費用は、支払利息及び為替差損等により前連結会計年度比94百万円(27.6%)減少の248百万円となりました。
経常利益当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度比18百万円(0.3%)減少の5,652百万円となりました。
特別損益当連結会計年度における特別利益は、固定資産売却益等の減少により、前連結会計年度比400百万円(96.2%)減少の15百万円となりました。また、当連結会計年度における特別損失は、環境対策費等の減少により、前連結会計年度比24百万円(39.5%)減少の37百万円となりました。
税金等調整前当期純利益税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度比394百万円(6.6%)減少の5,630百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比169百万円(5.5%)増加の3,234百万円となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、中長期的な経営の方向性として3ヵ年中期経営計画「More Value to All 2021 共に生み出せ!さらなる価値を!」を経営方針とし、全ての生活空間に快適さを提供するリーディングカンパニーを目指しております。中期経営計画2年目となる当連結会計年度における5つの主要課題への取り組みは以下の通りです。
「グローバル経営の深化とシナジー」においては、グローバル運営の徹底と共に、ASEANでのコンパウンド事業に注力し、タイ・ベトナムで売り上げが伸長しました。「戦略思考による収益力向上」においては、管理業務のシェアード推進による経費削減を行なうと共に、ACS樹脂資産の譲受を完了し、製造も確立いたしました。「効率を極めた生産体制の実現」においては、生産ライン自動化設備の導入及びIoT活用による設備予兆管理を開始いたしました。「サステナブルな社会への貢献」においては、活動全体をBlue Challengeと総称しSDGsを軸とした活動に積極的に取り組みました。また、ゴム製品の代替としてリサイクル可能なエラストマーコンパウンドの拡販、抗ウイルス・抗菌のリケガード製品の拡販及びバイオマスコンパウンドのRIKEBIOの上市を行ないました。「人材育成とガバナンス重視の経営による企業体質の強化」においては、様々な採用手法による新卒・中途採用の実施、コーポレート・ガバナンスポリシーの制定を行ないました。
中期経営計画における当連結会計年度の具体的な経営指標等の目標値は、売上高110,000百万円、営業利益7,500百万円、経常利益7,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益4,300百万円としております。 当連結会計年度における売上高は88,224百万円(計画比80.2%)、営業利益は5,313百万円(計画比70.8%)、経常利益は5,652百万円(計画比75.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,234百万円(計画比75.2%)となりました。 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた市場の需要低迷等により、売上高及び利益の実績は計画を下回りましたが、5つの主要課題に対する取り組みを進め、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、過去最高を更新いたしました。
引き続き「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」で記載しました新3ヵ年中期経営計画「More Value to All 2021 共に生み出せ!さらなる価値を!」に全グループを挙げて取り組んでまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、次のとおりであります。 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益は減益であったものの、法人税等の支払額の減少により、前連結会計年度比で増加しており、投資を行うための十分な資金を獲得しております。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に製造設備への投資となりますが、事業計画に基づいており、その投資額につきましては適切であると認識しております。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出の減額により、前連結会計年度比で大幅に支出が減少しております。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性についての分析につきましては、次のとおりであります。 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資やその他の投資資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。 当社グループは、中長期的に安定した成長のため製造設備への投資が必要となりますが、投資額については適切に管理されており、資金の流動性に問題はないと認識しております。 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は10,291百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は21,080百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。