【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結累計期間の末日現在において判断したものであります。(1) 業績の状況当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、WITHコロナでの経済活動・社会活動の正常化に向けた動きが再開されつつあります。一方で、ウクライナ情勢に起因するエネルギー資源、原材料価格の高騰や、急激な円安進行等に伴う物価上昇により、個人消費や経済活動への影響が懸念されるなど、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。このような経営環境の下、当社グループは、グループの持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上を図るべく、中長期戦略「長期ビジョン100」で掲げた5本の柱を軸とした諸施策を引き続き進めてまいりました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、57,992百万円(前年同期比2.2%増)となりました。利益面では、原料である粗留アルコールやコーン価格の大幅な高騰などの影響を受け、869百万円の営業損失(前年同期は952百万円の営業利益)、799百万円の経常損失(前年同期は993百万円の経常利益)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純損失は1,351百万円(前年同期は206百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
販売実績
セグメントの名称
アイテム
当第3四半期連結累計期間(自 令和4年1月1日至 令和4年9月30日)(百万円)
前年同期比(%)
酒類
和酒部門
焼酎
26,089
95.1
チューハイ
10,191
110.6
清酒
2,350
106.9
合成清酒
1,287
102.2
販売用アルコール
7,733
113.8
みりん
443
85.5
48,094
101.4
洋酒部門
3,368
108.2
その他の部門
427
97.2
51,890
101.8
加工用澱粉
3,070
109.9
酵素医薬品
2,688
99.9
不動産
286
107.7
その他
57
113.0
合 計
57,992
102.2
<酒類事業>酒類事業におきましては、国内の人口減少や少子高齢化、飲酒機会の減少により市場の伸張が期待しにくく、価格競争も激化しております。飲用シーン別においては、家飲みの定着により、チューハイなどのRTD分野に加えて、居酒屋の味を自宅で自分好みに楽しむことができる“チューハイの素”と呼ばれる、割って飲む希釈タイプのリキュール(RTS)が伸張しております。このような環境の下、売上高は51,890百万円(前年同期比1.8%増)となりました。利益面につきましては、1,140百万円の営業損失(前年同期は318百万円の営業利益)となりました。和酒部門のうち焼酎につきましては、本格焼酎の「博多の華」シリーズや、しそ焼酎「鍛高譚」が好調に推移したものの、PB商品等の減少により、売上高は減少いたしました。同カテゴリーでは、甲類焼酎「ビッグマン」をはじめとした焼酎などのペットボトル商品について、ケミカルリサイクル方式でリサイクルされた原料を20%使用したペットボトル容器に変更する、酒類業界初の取組みを昨年度より行ってまいりましたが、本年4月より順次、リサイクル原料の使用割合を30%に引き上げた容器に変更しております。「ビッグマン」シリーズのペットボトル商品を始めとした一部商品ではこれに伴い、パッケージに“PETボトルリサイクル推奨マーク”を採用し、環境に配慮した商品であることを訴求しております。チューハイなどのRTD分野につきましては、「昔懐かしい」シリーズやPB商品が好調に推移し、売上高は増加いたしました。同カテゴリーでは、レトロな雰囲気や懐かしい味わいを楽しめる「昔懐かしい」シリーズより、昔ながらの喫茶店で親しまれてきたコーラフロートの味わいを再現した「昔懐かしいコーラフロートサワー」を新たに発売し、ラインアップを強化しております。清酒につきましては、市場の低迷が続いておりますが、「福徳長 米だけのす~っと飲めてやさしいお酒 純米吟醸酒パック」やPB商品が好調に推移し、売上高は増加いたしました。販売用アルコールにつきましては、消毒用アルコール等の原料となる工業用アルコール及び酒類原料用アルコールが好調に推移し、売上高は増加いたしました。洋酒部門につきましては、炭酸水で割るだけで手軽にレモンサワーを楽しむことができる、RTSの「酎ハイ専科 レモンサワーの素」や「ウイスキー 香薫(こうくん)」が好調に推移し、売上高は増加いたしました。同カテゴリーでは、好調に推移しているRTSの「酎ハイ専科」シリーズに、炭酸水で割るだけで華やかな香りの梅酒サワーが楽しめる「酎ハイ専科 梅酒サワーの素」を追加し、家飲みの選択肢を増やしたいお客様のニーズにお応えしております。
<加工用澱粉事業>加工用澱粉事業につきましては、原料であるコーン価格の大幅な高騰に対応するべく、販売価格の改定に取り組んだことにより、売上高は3,070百万円(前年同期比9.9%増)となりました。しかしながら、急激な原価上昇に追いつかず、273百万円の営業損失(前年同期は20百万円の営業損失)となりました。
<酵素医薬品事業>酵素医薬品事業につきましては、酵素部門における海外での販売や、原薬及び診断薬が減少したため、売上高は2,688百万円(前年同期比0.1%減)となりました。また、原料価格及びエネルギー価格の高騰等による原価の上昇や製品構成の影響により、営業利益は381百万円(前年同期比24.5%減)となりました。
<不動産事業>不動産事業につきましては、売上高は286百万円(前年同期比7.7%増)、営業利益は151百万円(前年同期比8.6%増)となりました。
(2) 財政状態の分析当第3四半期連結会計期間末の総資産につきましては、52,534百万円となり、売上債権は減少したものの、有形固定資産や棚卸資産が増加したため、前連結会計年度末と比較し254百万円の増加となりました。負債につきましては、32,225百万円となり、未払酒税は減少したものの、短期借入金が増加したため、前連結会計年度末と比較して1,990百万円の増加となりました。純資産につきましては、20,309百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,736百万円の減少となりました。これは主に利益剰余金の減少によるものであります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
① 株式会社の支配に関する基本方針当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者とは、当社グループの財務、事業の内容及び当社の企業価値を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を持続的に確保、向上していくことを可能とする者でなければならないと考えております。 当社株式について大規模な買付けがなされる場合であっても、これが当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。また、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方は、最終的には株主全体の意思により決定されるべきであり、特定の者の大規模な買付けに応じて当社株式を売却するか否かは、最終的には当社株主の判断に委ねられるべきものだと考えております。 しかしながら、株式の大規模な買付けの中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益を損なうことが明白であるもの、買収に応じることを株主に強要するおそれがあるものなど、被買収会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。 当社としては、そのような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大規模な買付けを行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、そのような者による大規模な買付けに対しては、必要かつ相当な対抗措置を講じることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えております。② 基本方針の実現に資する取組みア.企業価値の最大化に向けた経営戦略当社は、企業理念の下、酒類や酵素医薬品の分野において、普遍概念「顧客志向」「収益志向」を両軸として、「将来価値の共創」に向けた取組みを実行してまいりました。また、当社は、「長期ビジョン100」を策定し、当社グループの持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上に向けた取組みを進めております。「長期ビジョン100」は、企業理念に基づくグループの使命・将来像を描いた7つの指針と、これを実現するにあたっての最重要課題である5本の柱で構成されております。
<7つの指針>① 顧客重視の経営② 収益重視の経営③ 株主重視の経営④ グループ全体最適化⑤ 経営監督機能の強化⑥ 強固な財務体質の確立⑦ 社会的良識を意識した経営<5本の柱>① 焼酎事業に集中② アルコール事業販売の拡大③ 生産改革④ 酵素医薬品事業の新展開⑤ CRE戦略
当社は、かかる「長期ビジョン100」を着実に実行していくことが、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保、向上に繋がるものと考えております。イ.コーポレート・ガバナンスに関する取組み当社は、「長期ビジョン100」において経営監督機能の強化を指針の一つとして掲げ、独立社外取締役の監督機能を活かしたコーポレート・ガバナンス体制の強化を進めております。 コーポレート・ガバナンスの具体的な内容につきましては、当社ウェブサイト(www.oenon.jp/)をご参照ください。
ウ.不適切な支配防止のための取組み当社は、当社を取り巻く経営環境等の変化、金融商品取引法による大量買付行為に関する規制の整備の浸透状況などを鑑み、大規模買付ルールの取り扱いについて慎重に検討を重ねた結果、平成28年3月23日の第109回定時株主総会終結の時をもって、大規模買付ルールを継続しない(廃止する)こととさせていただきました。なお、当社は、本大規模買付ルールの有無に関わらず、今後とも中長期的な企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上にグループをあげて取り組んでまいります。また、当社は本大規模買付ルール終了後も、大規模買付行為を行おうとする者に対しては、大規模買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法その他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。③ 基本方針の実現に資する取組みについての当社取締役の判断及びその判断に係る理由上記②基本方針の実現に資する取組みは、いずれも、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し向上を目的とするものであります。その結果として、当社の企業価値及び株主の共同の利益を著しく損なう大量買付者が現れる危険性を低減するものとなり、上記①株式会社の支配に関する基本方針に沿うものであると考えます。また、当該取組みは、当社の企業価値を向上させるものであることから、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、当社取締役の地位の維持を目的とするものではないことは明らかであると考えます。
(4) 研究開発活動 当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は296百万円であります。 また、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。