【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識並びに分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財務状態及び経営成績の状況a.経営成績の状況当連結会計年度(2022年8月1日~2023年7月31日)の連結売上高は3,006,121千円(前期比3.0%減)となりました。海外売上高は、新型コロナウイルス感染症が収束に向かうなかで、各国経済の回復の濃淡度合いを反映する形となりました。なかでも当社グループの主力市場の一つである中国はゼロコロナ政策を採用したため、当連結会計年度の上半期において特に大都市圏で個人消費が低迷し、ゼロコロナ政策終了後も厳しい雇用・所得環境下で賃金上昇率が新型コロナウイルス感染症禍前の水準を下回り、若年失業率も20%を上回ったこと等により消費者マインドが低迷しました。こうした結果、当連結会計年度の海外売上高は872,182千円(前期比24.4%減)にとどまりました。一方、国内売上高は、新型コロナウイルス感染症が収束に向かうなかで、当社グループが主力とする中低価格帯製品の需要は取引先店舗や催事に客足が戻り切るに至らない等の事象はありましたが、ペントアップ需要を受けてハイエンド品が需要を牽引する形となりました。この結果、当連結会計年度の国内売上高は2,133,939千円(前期比9.7%増)となりました。売上総利益は、国内売上の売上総利益率が新型コロナウイルス感染症の影響からの回復途上にあること、また国内海外のセールスミックスが前連結会計年度と異なった結果、874,553千円(前期比16.8%減)となりました。販売費及び一般管理費は、売上減少による利益減を補うべく経費節減に努めましたが、売上総利益の減少影響を賄えず営業損失は203,777千円(前連結会計年度は営業利益44,344千円)となりました。また、期首に比べて当連結会計年度末の為替レートが1ドル140.97円と約8円の円安となったことで為替差益を27,286千円計上しましたが、期末に製品抗菌サービスの販売終了に伴い薬剤20,478千円の棚卸資産評価損を計上したこと等により経常損失は224,159千円(前連結会計年度は経常利益103,641千円)となりました。加えて、当連結会計年度に繰延税金資産を取り崩したことを主因とし、法人税等調整額50,439千円を計上したことで、親会社株主に帰属する当期純損失は272,400千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益221,512千円)となりました。
当連結会計年度の業績は、誠に遺憾ながら各ステークホルダーのご期待に沿うことができませんでしたが、当社グループがグローバルで唯一無二のジュエリー・アクセサリーブランドであり続け、未来に向けて着実に成長していくための布石を打っております。具体的には以下の通りです。1)世界中のブランドと共生できるオリジナル製品の開発・セラミックアートシリーズの開発・ステンレスシリーズの開発2)グローバル拡販の加速・北米市場の深耕・PIA JEWERLY社と中国国内におけるブランド戦略パートナー契約を締結・YT Gold社の中空チェーン国内独占販売契約を締結3)デジタルトランスフォーメーションの推進・クロスフォーfor Business(※1)と基幹業務システムの連携による全世界を対象としたデジタルマーケティングと受注自動化への備え4)事業の拡大とサステナビリティへの取組み・RJC(※2)への加盟手続きの開始
※1「クロスフォーfor Business」とは、企業間の取引(モノやサービスの売買等)をインターネット上で行うサイトです。※2「RJC(Responsible Jewellery Council:責任あるジュエリー協議会)」とは、金及びダイヤモンドを取り扱う宝飾業界を対象とした、社会・環境責任の範囲をカバーする規範と規格を開発する国際的な非営利組織です。
b.財政状態の状況
ⅰ.資産の部当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ74,242千円増加し、5,259,654千円となりました。これは主に、商品及び製品が297,126千円、無形固定資産が99,295千円増加し、現金及び預金が138,752千円、売掛金が87,738千円及び繰延税金資産が47,532千円減少したこと等によるものであります。ⅱ.負債の部当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ395,831千円増加し3,451,969千円となりました。これは主に、長期借入金(1年以内返済予定を含む)が521,288千円増加し、支払手形及び買掛金が91,025千円、短期借入金が70,000千円減少したこと等によるものであります。
ⅲ.純資産の部当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ321,589千円減少し、1,807,684千円となりました。これは主に、剰余金の配当59,104千円行ったこと及び親会社株主に帰属する当期純損失272,400千円を計上したこと等によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、前連結会計年度末に比べ141,152千円減少し、584,844千円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により使用した資金は、406,378千円(前期は248,327千円の支出)となりました。これは主に、売上債権の減少額99,433千円等の資金増加要因があったものの、税金等調整前当期純損失217,983千円及び棚卸資産の増加額288,916千円等の資金減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動により使用した資金は、165,014千円(前期は121,973千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出125,475千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により獲得した資金は、415,551千円(前期は230,086千円の収入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出458,711千円等の減少要因があったものの、長期借入れによる収入980,000千円等の増加要因によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況当社グループは、ジュエリー事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
a.生産実績
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年8月1日至 2023年7月31日)
生産高(千円)
前年同期比(%)
ジュエリー事業
2,523,826
112.9
合 計
2,523,826
112.9
(注) 金額は、製造原価によっています。
b.受注実績当社グループでは、概ね受注から販売までの期間が短く、また、一部については見込生産を行っているため、受注実績の記載を省略しております。
c.販売実績当社グループの販売実績を地域別に示すと次のとおりであります。
地域別
当連結会計年度(自 2022年8月1日至 2023年7月31日)
販売高(千円)
前年同期比(%)
国内向け商品及び製品販売
2,133,939
109.7
海外向けパーツ、製品販売
872,182
75.6
合 計
3,006,121
97.0
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
SWAROVSKI MANUFACTURING(THAILAND) CO., LTD.
323,711
10.4
301,766
10.0
(注) MARIGOTJEWELLERY(THAILAND) CO., LTD.は、2022年9月13日にSWAROVSKI MANUFACTURING(THAILAND) CO., LTD.に社名変更しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財務状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容(財政状態の分析)財政状態の分析については「(1)経営成績等の状況の概要 b.財政状態の状況」をご参照ください。
(経営成績の分析)a.売上高当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ92,130千円減少し、3,006,121千円となりました。売上高の分析については「(1)経営成績等の状況の概要 a.経営成績の状況」をご参照ください。
b.売上原価、売上総利益当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ84,331千円増加し、2,131,567千円となりました。主な要因は、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ92,130千円減少したものの、相対的に海外売上高よりも売上原価率の高い国内売上高の比率が前連結会計年度に比して増加したことによるものであります。この結果、当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べ176,461千円減少し、874,553千円となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ71,660千円増加し、1,078,331千円となりました。販売費及び一般管理費、営業利益の分析については「(1)経営成績等の状況の概要 a.経営成績の状況」をご参照ください。この結果、当連結会計年度の営業損失は203,777千円(前期は営業利益44,344千円)となりました。
d.営業外損益、経常利益当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べ50,501千円減少し、34,899千円となりました。主な要因は、為替差益が43,066千円、補助金収入が5,786千円減少したことによるものであります。また、当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度に比べ29,176千円増加し、55,281千円となりました。主な要因は、期末に製品抗菌サービスの販売終了に伴い薬剤20,478千円の棚卸資産評価損を計上したこと、支払利息が1,639千円が増加したこと等によるものです。この結果、当連結会計年度の経常損失は224,159千円(前期は経常利益103,641千円)となりました。
e.特別損益、税金等調整前当期純利益当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に比べ18,573千円増加し、21,679千円となりました。主な要因は、当連結会計年度において国庫補助金を21,633千円計上したこと、前連結会計年度においては固定資産売却益を2,874千円計上していたことによるものであります。また、当連結会計年度の特別損失は、前連結会計年度に比べ15,503千円増加し、15,503千円となりました。主な要因は、固定資産圧縮損を15,503千円計上したことによるものであります。この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は217,983千円(前期は税金等調整前当期純利益106,746千円)となりました。
f.親会社株主に帰属する当期純利益当連結会計年度の法人税等は54,416千円となりました。主な要因は、繰延税金資産を取り崩したことを主因とし、法人税等調整額50,439千円を計上したことによるものであります。この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は272,400千円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益221,512千円)となりました。
(経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容)a.売上高・売上原価当社グループは、売上高を地域別、商品及び製品別、顧客別に分析しております。当連結会計年度においては売上高に占める海外売上高及びパーツ売上高の比率が、それぞれ前連結会計年度に比して低下し業績悪化につながりました。中期経営計画の達成に向けては、売上総利益率の高い海外売上高及びパーツ売上高を伸長させることが必須の条件であり、また同時に特定地域、顧客、商品及び製品に売上を依存しないよう販売ポートフォリオの適正化も進めていく必要があると考えております。b.棚卸資産当連結会計年度は前連結会計年度に比して棚卸資産が288,737千円増加し、2,302,627千円となりました。海外大手ブランドの発注ロットに迅速に対応していくためには、一定の棚卸資産を保有することは必要ですが、キャッシュ・フローを安定させる目的からも、商品及び製品販売マトリクス戦略に従った商品及び製品別適正在庫残高の管理を一層進めていく必要があると考えております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報(キャッシュ・フローの状況の分析)キャッシュ・フローの状況の分析については「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)当社グループの資金需要のうち主なものは、製品を製造するための地金購入費用及びその加工費であります。それらの財源は営業キャッシュ・フロー及び金融機関から調達した有利子負債であり、状況に応じて充当しております。また、当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保するため、PSIに基づいた在庫の適正化及び売上債権の適正管理に努めてまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
#C7810JP #クロスフォー #その他製品セクター