【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
1.財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症流行の社会的抑制が緩和されたことで徐々に再開され、緩やかに持ち直しの動きが見られました。しかしながら、ウクライナ情勢による影響、円安や資材価格及び金利の急上昇等により、依然として先行き不透明な状況にあります。
コロナ禍において、物流は止められない社会インフラとして改めて認識され、巣ごもり消費の拡大によりECや食品物流が伸びている状況下において、物流施設への旺盛な需要が継続しております。投資家からも物流アセットが魅力的なアセットタイプとして認識されている状況で、売買マーケット環境は良好であると捉えております。加えて、首都圏の倉庫の約3割は築35年以上であり、老朽化が進んでおります。各企業は、消費者の多様化するニーズへ対応するため、物流の効率化・合理化を推進し、利便性の高い物流施設を必要としていることや、物流業界における2024年問題対応のため、物流拠点の分散化による需要も想定され、Withコロナ・Afterコロナにおける今後も物流施設の需要は伸びていくと予想しております。
このような事業環境のもと、不動産管理事業セグメントでは、中小型倉庫のマスターリース事業の強化を継続的に進めております。オーナー及びテナントとの連携強化のためウェブサイトの構築・運用、物流セミナーの開催、メールマガジン等の配信、ソーシャルメディアの活用を強化し、マスターリース事業の面積の拡大を図ってまいります。
物流投資事業セグメントでは、静岡県で初となる開発事業に着手いたしました。また、埼玉県朝霞市においては、当社として初めて土地区画整理事業に業務代行者として事業参画いたしました。立地環境を活かした良好な産業用地の創出や農地及び公園の整備を行うほか、河川改修計画等も踏まえ、周辺環境や自然環境と調和したまちづくりを計画してまいります。海外においては、ベトナムで2案件(合計6棟)の建設に着手し、ベトナムにおいて10棟目の物流施設開発となりました。今後も引き続き東南アジアでの事業展開を積極的に推進してまいります。
アセットマネジメント事業セグメントでは、連結子会社であるCREリートアドバイザーズ株式会社が資産運用するCREロジスティクスファンド投資法人において、投資法人設立以来、初めての物件売却を行い、投資主価値の向上に努めました。また、私募ファンドを運営する連結子会社のストラテジック・パートナーズ株式会社においては、運用中のセルフストレージ特化型ファンドに対し、不動産管理事業セグメントが保有するセルフストレージの当該ファンドへの組み入れを行いました。現在進行中の第2次中期経営計画では、フロービジネスである物流投資事業を成長ドライバーに、ストックビジネスである不動産管理事業の管理面積及びアセットマネジメント事業の受託資産残高を増やすことで、ストックビジネスを着実に成長させてまいります。
2023年4月には、持分法適用関連会社である株式会社エンバイオ・ホールディングス(以下、「EBH」)との間で新たな資本業務提携契約を締結いたしました。EBHは国内外の太陽光発電を中心とした自然エネルギー事業投資及びその運営を行い、太陽光発電におけるパネル出力の短期的目標を100MWとしております。その一環として、2023年7月には、当社開発物件である「ロジスクエア枚方」及び「ロジスクエア白井」の屋根を活用した太陽光発電所の建設を開始いたしました。今後も、当社及びEBHの両社の経営資源を最大限活用、協業することにより、EBHが行う太陽光発電を中心とした国内外の自然エネルギー事業を拡大させ、環境配慮型企業グループとして両社の企業価値を向上させてまいります。
現在、物流不動産を取り巻く環境は、大きな転換期を迎えていると考えております。当社としましては、この事業環境の中、さらに付加価値の高いサービスを提供し、顧客の発展に貢献することを目指し、物流インフラプラットフォームの実現を事業ビジョンに掲げております。そのため、物流不動産に係るサービスに加え、物流施設内の管理システム及びロボティクス対応、ドライバーやトラックのマッチングなど、様々なソリューションを提供する企業グループへの成長を目指してまいります。
当連結会計年度の事業活動の結果、売上高52,159百万円(前年同期比16.9%減)、営業利益7,147百万円(前年同期比29.8%減)、経常利益6,697百万円(前年同期比27.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4,387百万円(前年同期比24.0%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
①不動産管理事業
不動産管理事業につきましては、高稼働を維持しつつ収益性の向上を目指した結果、2023年7月末時点での管理面積は約185万坪となりました。マスターリース物件が前期に引き続き高い稼働率を維持したこと、管理面積が堅調に推移したことから、安定的に収益が計上されました。加えて、セルフストレージ特化型ファンドに対して当社保有のセルフストレージを売却したことと土地の有効活用による建設工事を行った結果、売上高は28,205百万円(前年同期比0.5%増)、営業利益は2,286百万円(前年同期比21.0%減)となりました。
②物流投資事業
物流投資事業につきましては、当社開発物件である「ロジスクエア枚方」及び「ロジスクエア白井」をCREロジスティクスファンド投資法人へ売却いたしました。その結果、売上高は22,411百万円(前年同期比32.6%減)、営業利益は5,302百万円(前年同期比32.0%減)となりました。
③アセットマネジメント事業
アセットマネジメント事業につきましては、CREロジスティクスファンド投資法人と私募ファンドの2023年7月末時点での受託資産残高は281,440百万円となりました。これにより、アセットマネジメントフィー等が順調に計上されたことに加え、セルフストレージ特化型ファンドを組成したことによるアレンジメントフィー等を計上いたしました。その結果、売上高は1,536百万円(前年同期比9.1%増)、営業利益は968百万円(前年同期比14.3%増)となりました。
2.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、28,274百万円となり、前連結会計年度末と比べ8,514百万円減少となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、22,790百万円の資金使用(前年同期は15,689百万円の資金獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益6,558百万円により資金が増加し、一方で棚卸資産の増加28,273百万円により資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、3,609百万円の資金使用(前年同期比38.6%減)となりました。これは主に、有価証券及び投資有価証券の取得による支出2,176百万円、貸付けによる支出799百万円、有形固定資産の取得による支出609百万円により資金が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、17,859百万円の資金獲得(前年同期比137.9%増)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出16,950百万円、自己株式の取得による支出1,246百万円、短期借入金の返済による支出874百万円により資金が減少し、一方で長期借入れによる収入37,281百万円により資金が増加したことによるものであります。
3.生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当社グループは、不動産管理事業、物流投資事業、アセットマネジメント事業を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。
②受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前年同期比(%)
受注残高(百万円)
前年同期比(%)
不動産管理事業
1,374
37.0
608
32.8
(注)不動産管理事業の請負工事についてのみ記載しております。
③販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年8月1日
至 2023年7月31日)
前年同期比(%)
不動産管理事業 (百万円)
28,205
0.5
物流投資事業 (百万円)
22,411
△32.6
アセットマネジメント事業(百万円)
1,536
9.1
その他 (百万円)
6
△19.7
合計(百万円)
52,159
△16.9
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年8月1日
至 2022年7月31日)
当連結会計年度
(自 2022年8月1日
至 2023年7月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
CREロジスティクスファンド投資法人
27,092
43.2
23,850
45.7
合同会社CB1
6,463
10.3
-
-
3.販売実績が総販売実績の100分の10未満の相手先については記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
1.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
2.当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
①財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における流動資産は109,658百万円となり、前連結会計年度末に比べ17,384百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が8,513百万円、前渡金が4,780百万円減少した一方、仕掛販売用不動産が14,607百万円、販売用不動産が13,658百万円、未収消費税等が1,969百万円増加したことによるものであります。固定資産は29,150百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,196百万円増加いたしました。これは主に長期前払費用が414百万円減少した一方、投資有価証券が2,166百万円、投資その他の資産のその他が838百万円、敷金及び保証金が450百万円増加したことによるものであります。繰延資産は12百万円となり、前連結会計年度末に比べ7百万円減少いたしました。これは主に社債発行費が7百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は138,821百万円となり、前連結会計年度末に比べ20,573百万円増加いたしました。
(負債の部)
当連結会計年度末における流動負債は35,357百万円となり、前連結会計年度末に比べ14,661百万円増加いたしました。これは主に未払法人税等が2,628百万円、未払消費税等が1,786百万円減少した一方、1年内返済予定の長期借入金が17,333百万円、預り金が1,011百万円増加したことによるものであります。固定負債は64,986百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,592百万円増加いたしました。これは主に匿名組合出資預り金が446百万円減少した一方、長期借入金が3,155百万円、受入敷金保証金が924百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は100,344百万円となり、前連結会計年度末に比べ18,253百万円増加いたしました。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産は38,477百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,319百万円増加いたしました。これは主に自己株式消却に伴い資本剰余金が1,168百万円減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益4,387百万円の計上と配当金719百万円の支払に伴い利益剰余金が3,668百万円増加したことによるものであります。
②経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、52,159百万円(前年同期比16.9%減)となりました。詳細については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 1.財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、39,322百万円(前年同期比16.4%減)となりました。これは主に物流投資事業における不動産販売原価等を計上したことによるものであります。この結果、当連結会計年度の売上総利益は12,837百万円(前年同期比18.3%減)となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は5,689百万円(前年同期比2.8%増)となりました。これは主に事業規模の拡大に伴う人員増加により人件費等が増加したことによるものであります。この結果、当連結会計年度の営業利益は7,147百万円(前年同期比29.8%減)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は656百万円となりました。主な内訳は、持分法による投資利益552百万円、受取保険金67百万円であります。また、当連結会計年度の営業外費用は1,106百万円となりました。主な内訳は、支払手数料565百万円、支払利息494百万円であります。この結果、当連結会計年度の経常利益は6,697百万円(前年同期比27.1%減)となりました。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は10百万円となりました。主な内訳は、固定資産売却益8百万円であります。また、当連結会計年度の特別損失は142百万円となりました。主な内訳は、減損損失91百万円、投資有価証券評価損28百万円であります。さらに、匿名組合損益分配額6百万円を計上した結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は6,558百万円(前年同期比28.4%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は4,387百万円(前年同期比24.0%減)となりました。
なお、当社グループは、2022年7月期から2026年7月期までの第2次中期経営計画を策定し、最終年度である2026年7月期において事業利益140~150億円、ROE15%以上を数値目標としております。当連結会計年度の事業利益は8,023百万円、ROEは11.8%となりました。
③キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 2.キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
④経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
⑤資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、物流投資事業における物件の取得及び開発の資金と、不動産管理事業における設備投資の資金であります。資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、金融機関からの借入による資金調達等にて対応しております。当連結会計年度におきましては、総額38,299百万円を借入により調達いたしました。結果、当連結会計年度末における有利子負債は総額76,004百万円(前連結会計年度末比20,440百万円増)となりました。
今後の資金需要におきましては、長期経営方針に基づき、ネットD/Eレシオを1.5倍から2.5倍を目安にコントロールし、借入期間の最適化と調達資金の多様化を推進してまいります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 1.財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。