【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国の経済状況は、世界的な金融引締めによる海外景気の下振れや中国経済の減速に加えて、原材料やエネルギー価格及び物価の上昇が景気を下押しする懸念はあったものの、円安を背景としたインバウンド需要の回復や供給制約の緩和等により、引き続き緩やかな回復基調で推移いたしました。
当社グループが属する電子基板(※1)業界は、巣ごもり需要の反動によりスマートフォン及びパソコン等の民生品、並びに設備投資への慎重姿勢によりデータセンター向け及び産業機器向け製品の需要は低迷したものの、EVや先進運転支援システムを中心とした自動車向け製品の需要がけん引し、引き続き堅調に推移いたしました。収益面においては、原材料価格の高騰が利益を圧迫する等、取り巻く経営環境は厳しいものとなりました。
このような経済環境の下、鏡面研磨機(※2)事業において販売は増加したものの、電子基板事業、テストシステム事業及び産機システム事業において販売が減少したことから、売上高は減少いたしました。
これらの結果、連結売上高は2,504百万円(前年同四半期比4.2%減)と、前年同四半期連結累計期間に比べ110百万円の減収となりました。
損益については、鏡面研磨機事業において売上高が増加したこと及び産機システム事業の売上総利益率が上昇したことに伴う影響はあったものの、電子基板事業及びテストシステム事業の売上高が減少したこと並びに人件費等の販売費及び一般管理費が増加したことに伴う影響により営業損失138百万円(前年同四半期は66百万円の営業損失)、経常損失113百万円(同4百万円の経常損失)、繰延税金資産の取崩しに伴う法人税等調整額を計上したことにより親会社株主に帰属する四半期純損失134百万円(同4百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(電子基板事業)
産業用タッチパネル等の需要が引き続き堅調に推移したことによりディスプレイメーカー向けの販売は増加したものの、在庫調整が長引いている影響等によりその他セットメーカー向けの販売、及び高機能品FPC(※3)案件の減少により医療機器メーカー向けの販売が減少したことから、売上高は減少いたしました。損益については、売上高減少による影響や仕入販売製品の増加等により売上総利益率が低下したこと、及び人件費や海外拠点での売上増に伴う費用が増加したことにより減益となりました。
その結果、売上高1,874百万円(前年同四半期比4.7%減)、セグメント利益317百万円(同23.7%減)となりました。
(テストシステム事業)
リジッド板(※4)及びパッケージ基板向け検査機の販売は増加したものの、国内外の電子基板メーカー各社におけるスマートフォン向け等のFPCの生産活動が停滞し、外観検査機(※5)の販売が減少したことから、売上高は減少いたしました。損益については、売上高減少に伴う影響により損失が拡大いたしました。
その結果、売上高275百万円(前年同四半期比9.1%減)、セグメント損失114百万円(前年同四半期は102百万円のセグメント損失)となりました。
(鏡面研磨機事業)
リチウムイオン電池用フィルム加工向け等の研磨機や研磨に使用する消耗品の販売が増加したこと及び機械の修理・メンテナンスの受注が堅調に推移したことから、売上高は増加いたしました。損益については、売上高増加に伴う影響により黒字転換いたしました。
その結果、売上高207百万円(前年同四半期比44.1%増)、セグメント利益22百万円(前年同四半期は6百万円のセグメント損失)となりました。
(産機システム事業)
大型パッケージ基板の自動検査ライン及びローダー・アンローダー装置等のロボット案件は販売できたものの、検査システム事業における各種検査システムの販売及び仕入販売商品が低迷したことから、売上高は減少いたしました。損益については、前述のロボット案件が販売できたことにより損失が縮小いたしました。
その結果、売上高147百万円(前年同四半期比27.0%減)、セグメント損失28百万円(前年同四半期は50百万円のセグメント損失)となりました。
※1 電子基板
電子部品を表面に固定し当該部品間を配線で接続するために必要な導体パターンを、絶縁基板の表面のみ又は表面及びその内部に形成した板状又はフィルム状の部品であるプリント配線板と、プリント配線板に電子部品を実装したモジュール基板の総称。前者は材質によりリジッド板、FPC等に区分される。
※2 鏡面研磨機
素材表面の凹凸を砥石等で磨きこむことにより、素材表面を鏡のように加工する機器。
※3 FPC
Flexible Printed Circuit(フレキシブルプリント配線板)の略。プリント配線板の一種であり、ポリイミド等の屈曲率が高く薄い絶縁材料を支持体とした、柔軟に曲がる基板。
※4 リジッド板
リジッドプリント配線板の略。プリント配線板の一種であり、ガラスエポキシ等の屈曲率が低く厚い絶縁材料を支持体とした基板。
※5 外観検査機
プリント配線板やプリント配線板に部品を実装したプリント回路板等の外観状況を光学的に把握し、コンピュータを用いた画像処理によって良否を判断する検査を行う機器。
② 財政状態の状況
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ35百万円増加し、2,767百万円となりました。これは主として、売上債権が減少した一方、現金及び預金並びに棚卸資産が増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ3百万円減少し、2,059百万円となりました。これは主として、保険積立金の満期により投資その他の資産が減少したことによるものであります。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ159百万円増加し、1,051百万円となりました。これは主として、仕入債務が減少した一方、短期借入金が増加したこと及び冬季の賞与引当金を計上したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ0百万円減少し、1,234百万円となりました。これは主として、長期借入金が増加した一方、長期未払金が減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ127百万円減少し、2,539百万円となりました。これは主として、利益剰余金が減少したことによるものであります。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は53百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況について重要な変更はありません。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金需要のうち主なものは材料仕入、外注費及び人件費等の営業費用であり、運転資金及び設備資金等を自己資金にて賄うことを基本としておりますが、資金の安定及び効率的な調達を行うため、金融機関からの借入れ及び割賦契約による調達を行っております。また、取引銀行6行と当座貸越契約を締結しており、今後も資金の流動性に留意しつつ機動的な資金調達を行ってまいります。
なお、財務状況については、自己資本比率52.0%であり、健全な状態を確保しているものと認識しております。また、流動比率263.1%であり、十分な流動性を確保しているものと認識しております。